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2021/06/06

1件〜100件

  • 新ジャーナルリスト(心理学、行動科学、脳科学・神経科学、精神医学・臨床心理学)

    この記事は新たに創刊された心理学、行動科学、脳科学(神経科学)、精神医学・臨床心理学に関するジャーナル情報をまとめたものです。年度は第1巻が発刊された年としています。括弧内は各新ジャーナルの出版社です。大手の場合に出版社の記載を付与しました(大手以外はわかる範囲でぼちぼちと無理せずに)。分野による分類のため、分野横断色・学際色が強いジャーナルに関しては重複があります。今後、随時更新していきます。もし…

  • Snapchatを使用した日の自伝的記憶の成績は向上する

    一口にソーシャルメディアといってもその内容は千差万別です。中には相手に送信したコンテンツが消えるタイプもあります。その代表例がSnapchat(スナップチャット)で、このソーシャルメディアではコンテンツの最長表示時間は10秒間に限られます。つまり、コンテンツが消えるソーシャルメディアは対面での交流と同様の一過性が特徴になります。 そこで、今回紹介する論文では、そんな儚いソーシャルメディアで個人的経験を投稿…

  • マネキンの身体所有感錯覚による記憶正確性や追体験の向上

    身体は過去の事象の記憶についての必要な足場となります。しかし、リアリティある事象の記銘中に感じる自己の身体感覚がどのように記憶を形成するかについての研究は始まったばかりです。 そこで、今回紹介する論文の出番というわけです。 Iriye, H., & Ehrsson, H. H. (2022). Perceptual illusion of body-ownership within an immersive realistic environment enhances memory accuracy and re-experiencing. iScie…

  • 母親の社会的支配志向性が高いほど、子供の不平等嫌悪が低い

    子供は全体的に不平等に敏感で、資源を公平に分配することを選好します。ですが、それと同時に子供は内集団ひいきを示すこともあります。 さて、子供でこれら一見すると矛盾する傾向と関連する要因は何か?という点を調べるうえで、今回紹介する論文では両親の役割に注目しています。 Guidetti, M., Carraro, L., & Castelli, L. (2021). Children’s inequality aversion in intergroup contexts: The role of parents’ …

  • ソーシャルサポート希求の文化差は関係懸念だけでなく、共感的関心によっても媒介される

    先行研究によれば、西欧人よりも東アジア人の方が必要な時にソーシャルサポートの希求意図が低いとされます。 この文化差を説明する要因は何なのかということを検討した研究はこれまでにも行われてきました。そこでは、関係懸念の媒介効果が調査されていました。 そこで、今回紹介する論文では、困っている人に対する同情や気遣いを意味する共感的関心がサポート希求を促進するとの予測をたて、検証しました。これは何より…

  • 好きな色と性格との関連、認められず

    メディアは好きな色で性格が分かると騒ぎ立てます。しかし、好きな色と性格との関連を支持する科学的知見はありません。 そこで、今回紹介する論文では、このことを2つのステップを通して評価しています。 Jonauskaite, D., Thalmayer, A. G., Müller, L., & Mohr, C. (2021). What Does Your Favourite Colour Say About Your Personality? Not Much. Personality Science, 2, doi: 10.5964/ps.6297

  • 幸福に関する本質主義信念が高いと、幸せになろうとする動機づけが低い

    今回取り上げる論文は、幸福に関する本質主義的な素人理論とその自身の幸せを高める動機づけとの関連を検討したものです。 なお、幸福に関する本質主義的な素人理論とは、幸福というものは遺伝によって決定されるものであり、それゆえに変えられないという信念のことです。 Choi, I., Yu, J., Lee, J., & Choi, E. (2021). Essentializing happiness reduces one’s motivation to be happier. Journal of Personality<…

  • ヒトはロボットにそそのかされると、リスクテイキング傾向が増す

    同調圧力がヒトのリスクテイキング行動に影響し得ることが先行研究で示唆されています。 今日、ロボットが様々な状況で活用されており、今後もこの傾向は続くと考えられます。その中において、ロボットも同様の影響力を発揮するのかどうか検証することは重要であります。 で、今回紹介する論文で、実験参加者のリスクテイキング行動を、1人でいる時、喋らないロボットがいる時、リスクテイキング行動を能動的に奨励するロ…

  • 犬には物体の接触に伴う発進運動の因果についての潜在的予期がある

    接触因果は物理的環境の理解を可能とする基本的な原則の内の1つです。 ヒトでは幼少期から時空間的に連続した発進事象を因果的なものとして知覚します。 しかし、ヒト以外の動物、特に霊長類目以外での因果知覚については研究がほとんどされていません。 ヒトの乳児での実験では、物理的予想の研究に、予想違反パラダイムとアイトラッキングおよび瞳孔測定を併用した方法がとられてきました。 そこで、今回紹介する…

  • 短期留学プログラムへの参加は日本の大学生の気分状態を向上させる

    海外で学術活動を行うことを考えていない学生でも、短期留学(Short-Term Study-Abroad,STSA)プログラムならば容易に利用可能です。 STSAプログラムに参加することで異⽂化感受性や学術に関する全般的な事柄が向上するかどうかは、先行研究で検証されていました。しかし、STSAプログラムが学生の気分に与える影響に関しては研究不足なのが現状です。 そこで、今回紹介する論文では、日本の大学生がSTSAプログラムに参加する…

  • バーチャルリアリティーで自身の生き写しが社会的交流をする様子を体験すると、パラノイアが低下する

    被害的思考を経験するヒトの割合は10~15%だとされています。被害的思考を経験すると、安全希求行動にはしり、社会的交流を避けることが通例です。そうなると、被害的思考経験が正しくないことを示す反証が経験できず、パラノイアが持続します。 で、今回はそんな悪循環に陥りがちな被害的思考を弱める方法に関する報告になります。その方法とは、バーチャルリアリティーで社会的交流をする前に、研究参加者がバーチャルリア…

  • 人が大勢いるのに、孤独感を強く感じる

    社会的要因や環境要因と関連する孤独感は、公衆衛生上の中でも主要な関心ごとの1つです。 先行研究では、回顧的な横断デザインで孤独感を安定的な情動状態として捉えて調査するのが通例でした。しかし、ヒトというものは周囲環境によって1日の内で感じる孤独感に違いがあります。 そこで、今回紹介する論文では、社会的要因や環境要因である過密、人口密度、社会的包摂性、自然とのふれあいと孤独感との間の関連をリアルタ…

  • 児童書に登場する主人公の性別の男女比が男優位である状況は2020年になっても変わらない

    児童文学は文化規範を反映するものとして、社会的態度の獲得や発達に不可欠な役割を担っています。 先行研究では、子供向けの本で男性/男子が過度に多いことが報告されており、これはメディアや社会でジェンダー格差があった(そして今現在進行中でもある)歴史と整合性がある知見です。 しかし、近年、ジェンダー公平を重視する傾向が強まり、書籍の利用しやすさも向上しており、子供向けの本での男性優位バイアスが弱まっ…

  • 医者はいつもシンプルな言葉の使い方をするよりも患者の健康リテラシーにマッチした言葉の使い方をする方が患者の理解が高くなる

    どのような臨床家のスキルや行動が患者とのコミュニケーションを促進するのかといったことを定量的に検討した研究はほとんどありません。 患者の健康リテラシーが限られている場合は、医者と患者との間の相互理解は特に困難となります。 医者と患者との間のコミュニケーションを円滑にすると考えられる方略として、医者が使う言葉の複雑性を患者の健康リテラシーにマッチさせる方法と医者が使う言葉をいつもシンプルなもの…

  • 日常生活での社会的においに対する気づきを測るための社会的におい尺度を開発

    ヒトが嗅覚手がかりにどれだけ注意を向けるかというにおいへの気づきレベルは、日常生活におけるにおいの役割に影響します。特に、ヒトの身体がかもしだす社会的においには、様々な情報が入っており、幅広い情動反応を引き起こすことができます。これらの特性ゆえに、ヒトの身体の社会的においは対人関係において重要な役割を果たしています。 したがって、社会的においに対する気づきを評価することは心理学の研究上きわめて…

  • あくびの伝染が生じにくい人はサイコパシー傾向が高い

    あくびの伝染には個人差があります。また、多くの研究が調べてきたのは、あくびの伝染に関わる至近メカニズムです。 ただ、これまでの心理学研究の結果もまた、様々な結果が得られており、一貫した知見が得られていません。また、研究の多くは相対的に小さなサンプルで実施され、サンプル内の同質性も高くなっていました。 コミュニティをサンプルとした先行研究では一応、サイコパシー特性とあくびの伝染との間に負の関係…

  • ノンレム睡眠のステージN1が数列問題のクリエイティブな洞察を促す

    クリエイティブに考える能力は、新たな課題に直面した際に重要となるスキルです。しかし、クリエイティビティがどのように生じるのかは謎のままです。 で、今回取り上げる論文では、睡眠と覚醒との間の中間状態にあたるノンレム睡眠のステージ1/N1に認められることの多い脳活動が、創造性のもとになるということを示唆した研究内容となっています。 Lacaux, C., Andrillon, T., Bastoul, C., Idir, Y., Fonteix-Galet, A.,…

  • 女性は男性の汗の臭いから自尊心の高さを嗅ぎ分けることが可能

    ヒトの汗のにおいは、そのヒトの特性や情動状態を伝える社会的コミュニケーションシグナルとして機能します。 そこで、今回紹介する論文では体臭が自尊心についての情報も伝えることができるかどうか検討しています。また、体臭と自尊心との間の関係において香りを添加した場合の香りの役割についても検証しています。 Croijmans, I., Beetsma, D., Aarts, H., Gortemaker, I., & Smeets, M. (2021). The role of fragranc…

  • ボノボとチンパンジーにおける中断した共同行為の再開行動

    ヒトの共同行為は、共同コミットメントという互いに対して感じる相互的義務感を基礎としているため、特別なことのように思われがちです。 ヒトとヒト以外の大型類人猿での比較研究による共同コミットメントの調査は通常、共同行為を実験的に遮ることで、被験体のとる再開方略を検討することが一般的です。 しかし、そのような実験手続きでは、共同行為の妨害は実験者であるヒトが誘導していることになります。したがって、…

  • 可愛いモノを見ると女性の瞳孔が拡張するが、可愛い女性の顔を見てもそれほど瞳孔拡張は起こらない

    女性は赤ちゃんを見ると、瞳孔が拡張するとされています。しかし、このような女性の瞳孔反応が可愛さ知覚そのものによって引き起こされているかどうかは分かっていません。 幸いなことに赤ちゃん以外にも多くの客体が可愛いと知覚されます。そこで、今回紹介する論文では、女性の瞳孔拡張と関連するのが可愛さ知覚なのかそれとも観察対象の客体の種類なのかどうか検証することを目的とした実験を実施し、その結果を報告してい…

  • 娘を養育する父親が抱く、道徳的に問題がある企業へのアンビバレントな態度

    先行研究によれば、娘がいる男性の判断や決定は女性の判断、決定といくらか似ていることが示唆されています。 そこで、今回紹介する論文では、さらに道徳的に認めがたい企業である罪ある株式(sin stocks)に関わる会社への投資やそれらの会社で働くことの適切さに関する判断にジェンダーと娘の養育がどのような影響を与えるのかを検証することを目的とした研究を2つ実施しています。 Niszczota, P., & Białek, M. (2021).…

  • 共感は虚偽情報に惑わされるのを抑止する

    心理学や生理学のエビデンスでは、共感を支えるメカニズムと自伝的記憶を支えるメカニズムとがけっこう関連していることが示唆されています。 しかし、共感が記憶に与える促進効果が虚偽情報にも当てはまるかどうかは分かっていません。 そこで、今回紹介する論文では、共感が虚偽情報に関する記憶に与える影響を検証することを目的とした実験を行いました。 Lo, S-Y. (2021). Empathy reduces susceptibility to false…

  • 独裁者ゲームで気前よく相手に金銭を渡す人達のおかげで、オンラインコンテンツが成り立っている

    最も人気のあるウェブサイトの中には、ユーザーが作ったコンテンツで、彼ら無償のボランティアの貢献を集めたものに依拠しているものがあります。たとえば、ウィキペディアだったり、Amazonの商品レビューだったり。 このような形で貢献することは、他者を利することになるものの自己の時間とエネルギーを費やすため、気前のいい行動の1種として考えることが可能です。 そこで、今回紹介する論文では、様々なオンライン情…

  • 科学的合意の伝え方で一般人の態度変容への効果が異なる?

    今回紹介する論文では、科学的合意の伝え方の効能知覚に研究デザインの決定がどの程度の影響を与えるのかを調査することにありました。その際に医療用大麻を例として取り上げました。 この研究目的を達成するために、ソロモン集団デザイン修正版を用いました。この修正版では、参加者はプレテストもポストテストも受ける被験者内実験デザイン(参加者内実験デザイン)かポストテストしか受けない被験者間実験デザイン(参加者間…

  • モザンビーク内戦での象牙の密猟が牙を持たないアフリカゾウの進化を促進

    人間による収穫活動が以前よりも効率的になっていることを踏まえると、野生動物を搾取する進化上の結果に関する知見を深めることの重要性が大きくなっています。 そこで、今回紹介する論文では、1977年~1992年の間に起ったモザンビーク内戦での象牙の密猟がゴロンゴサ国立公園に生息するアフリカゾウ(Loxodonta africana)の進化に与えた影響を検討しています。 Campbell-Staton, S. C., Arnold, B. J., Gonçalves, D. G…

  • LQBTQのカップルはマイノリティストレスが低い大学構内で愛情表現を公に行うことが多い

    今回紹介する論文は、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クイア/クエスチョニングの人々(Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender, and Queer/Questioning,LGBTQ)のカップルにおいて、LGBTQであることのマイノリティストレスやキスやハグなどの公になる感情表現が文脈の影響を受けるかどうか検討することにありました。 調査対象とした文脈は大学のキャンパスと繁華街でした。なぜこの2つかといえば、大…

  • 同じ抗議運動の映像を視聴しても、トランプ支持者とそれ以外では捉え方が違い、虚偽知覚/記憶さえ起こる

    昨今、アメリカ人はどんどん分極化して、特に政治の分野では2分し、世界観が完全に違っているといっていいほどです。 では、アメリカ人は党派性が違えば世界観だけでなく、事実に対する見方も異なってくるのでしょうか? そこで、今回紹介する論文では、党派性が政治的事象の映像に関する視知覚や記憶、印象に与える影響を調査することを目的とした研究を実施、その結果を報告しています。 Hennessey, E., Feinberg, M.…

  • 記憶固定の初期に関わるシナプス可塑性が海馬→前帯状に移行する時間的流れ

    記憶は初めは海馬にエンコードされますが、後に皮質での固定化を受けます。 シナプス可塑性がこれらのプロセスに重要であることは分かっていますが、その正確な時空間特徴に関する知見は不足したままなのが現状です。 そこで、今回紹介する論文では記憶固定におけるシナプス可塑性の関与をその発生場所やフェイズ、機能の観点から解析して、その結果を報告しています。 Goto, A., Bota, A., Miya, K., Wang, J., Tsukam…

  • 報奨で集団凝集性を動機づけると、集団意思決定が阻害される

    今回紹介する論文では、資源を最も潤沢に与えてくれる、最もお得になるリーダーを、ヒトが見つけ、追従することができるかどうか、もしできるとしたらどのような条件下で可能なのかを、実験的に調べた研究が報告されています。 Ritter, M., Wang, M., Pritz, J., Menssen, O., & Boos, M. (2021). How collective reward structure impedes group decision making: An experimental study using the HoneyComb paradigm. P…

  • 孫の写真を見た時の祖母の脳活動(らしきもの)を調査した初の研究

    多くの社会で祖母は子供(孫)の世話人として重要な役割を果たしています。事実、祖母が投資してくれていると、孫のウェルビーイング(幸福感)が高いものです。 というわけで、今回紹介する論文は祖母の脳機能をfMRIで検討した研究をとりあげます。研究チームによれば、祖母の脳機能を調査したのは本研究が初めてとのことです。 Rilling, J. K., Gonzalez, A., & Lee, M. (2021). The neural correlates of grandmaternal car…

  • お小遣い程度の金銭報奨で新型コロナワクチン接種率が増加する

    新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン接種率の停滞は公衆衛生上の脅威となります。 新型コロナワクチンの接種率を増やすために、世界中の政府が金銭的な報奨を使うことを検討したり、実際に実施したりしています。 そこで、今回紹介する論文では金銭的報奨の支払いを保証することが新型コロナワクチンの接種に与える効果について検討し、その結果を報告した研究を取り上げます。 Campos-Mercade, P., Meier, A. …

  • 歌手は発話の模倣が上手で、体性感覚皮質での喉頭の神経表象が強い

    ヒトには、喉頭筋を精密に制御する優れた能力が備わっています。これは、脳皮質トポグラフィと神経支配のヒトに独特のパターンによるもので、これがヒト以外の霊長類と比較してヒトの方が発声制御能力が高いことの背景にあると考えられています。 そこで、今回紹介する論文では、喉頭制御関連の行動、神経機能を調査しています。また、これらの行動、神経機能と発声の熟練度との関連も検討しています。 Waters, S., Kanber…

  • 赤ちゃんの頃は音楽に触れる機会が毎日のようにある

    音楽は人間社会に普遍的に存在し、子供がいる家庭の生活にとっては際立った要素となっています。 そこで、今回紹介する論文では、乳児を育てる親945人を対象とした調査で、家庭での歌唱頻度と音声記録媒体に記録された音楽を再生する頻度について調査しています。 Yan, R., Jessani, G., Spelke, E. S., de Villiers, P., de Villiers, J., & Mehr, S. A. (2021). Across demographics and recent history, most parents s…

  • 生きがいを求める人はコストのかかる向社会的行動傾向が強い

    生きがいに関する研究は個人的ウェルビーイング(幸福感)との関係を検討したものが大半です。それで、生きがいが他者のウェルビーイングの増大とどのように関連しているのかという観点からの研究は少ないのが現状です。 そこで、今回紹介する論文の出番です。今回取り上げる論文では、生きがいを探している人は個人的ウェルビーイングが低いかもしれないが、他者のウェルビーイングのために、コストのかかる向社会的行為を実行…

  • ニッスル染色法×テンソル解析で脳の白質の軸索構造の詳細が分かる

    脳の白質の軸索の構造化の様式を解明することは、脳ネットワークの研究にとって根本的なことです。 そこで、今回紹介する論文では、~15マイクロメーターの解像度で脳の軸索の志向性を定量化可能な方法を開発しています。 Schurr, R. & Mezer, A. A. (2021). The glial framework reveals white matter fiber architecture in human and primate brains. Science , 374(6568), 762-767. DOI: 10.1126/science…

  • 環境文脈依存記憶に関する古典的な心理学実験の結果の再現に失敗

    水中で学んだことは水中で思い出しやすく、地上で学んでことは地上で思い出しやすい(Godden & Baddeley, 1975)。 この環境文脈依存記憶の実験は心理学概論などの授業でとりあげられることもあるほど、古典的なもので、本ブログ管理人である私も心理学の授業で習った記憶があります。忘れっぽい私がこの実験のことを覚えているのは、「水中で学ぶ」などという実験設定が面白かったからです。 さて、このほど、この古典的な…

  • 恋愛における(意図的な)発声の調節変化

    ヒトが出す声はダイナミックなものです。実際、ヒトは社会的交流のタイプによって声を調整します。 そこで、今回紹介するレビュー論文では、ヒトの配偶や同性内競争に関わる社会的文脈での自然状況での発声調整について調べた研究をまとめています。 Hughes, S. M., & Puts, D. A. (2021). Vocal modulation in human mating and competition. Philosophical Transactions of the Royal Society B: Biological Sciences…

  • 睡眠はなぜ脳の健康に重要なのであろうか?

    睡眠は驚くほど多くの観点から脳機能にとって重要です。 短期的には睡眠不足だと、記憶力や注意力が低下しますし、長期的には寝ないでいると神経学的機能障害をひきおこし、死ぬことさえあり得ます。 そこで、睡眠と脳機能の関係に関する今回のレビュー論文の登場というわけです。 Lewis, L. D. (2021). The interconnected causes and consequences of sleep in the brain. Science, 374(6567), 564-568…

  • 睡眠時脳波と睡眠中の記憶の固定との関係に関するレビュー論文

    睡眠をとることは、記憶を含めた認知機能を健全に保つのに重要です。 睡眠にはREM睡眠とノンREM睡眠という2つの段階があり、それぞれ脳表面に装着した電極や頭蓋内電極を使って記録すると。特徴的な電気生理学的パターンを示します。 これらの電気生理学的パターンは、ノンREM睡眠なら鋭波/リップル波、皮質性徐波、δ波、紡錘波、REM睡眠ならΘ波が代表的な脳波になります。 これらの脳波は、脳内の神経回路の精密にタ…

  • ホホジロザメが人間を襲い、噛みつくのは獲物の鰭脚類と誤解しているから?

    サメがヒトを襲い、噛みつくことは稀ではありますが、皆の関心を呼ぶほどには十分な頻度発生しています。そういうわけで、サメがヒトに噛みつく頻度を下げる対策がとられることになるわけです。 しかし、そもそもなぜサメはヒトに嚙みつこうとするのでしょうか?その理由がまだ未解明です。 サーファーなど、水表面でヒトがサメに噛みつかれる理由として考えられるのは、サメがヒトを通常食としている被食者(獲物)と誤解…

  • 3人集まるより4人集まった方がダメになる

    今回紹介する論文では、集団意思決定において、パフォーマンスと学習傾向という観点から、4人より3人の方が優れているかどうか検証することを目的とした研究を実施しています。 論文著者が考えた仮説は、4人から成る集団だと、2人と2人の2集団に分かれたときに多数決原理が適用できないために、4人から成る集団では学習の統一性が損なわれるというものでした。その結果どうなるのかといえば、3人集団よりも4人集団の方が成績…

  • ビジランスのどの側面の注意を測るかで生じやすいマインドワンダリングの種類が異なる

    課題に取り組む時間が経過するとビジランスという注意が低下し、課題から注意がそれて課題に無関連の思考をするマインドワンダリング状態になりがちです。 今回紹介する論文では、それぞれビジランスの違った側面(覚醒と実行)を測る課題をしている最中の意図的マインドワンダリングと非意図的マインドワンダリングについて検討した実験を実施し、その結果を報告しています。 Martínez-Pérez, V., Baños, D., Andreu,…

  • 被害者は道徳的な人物だと感じられやすい

    被害者の道徳的側面について人はどのように感じるのかを調べた研究をとりあげます。 Jordan, J. J., & Kouchaki, M. (2021). Virtuous victims. Science Advances, 7(42): eabg5902. DOI: 10.1126/sciadv.abg5902 研究の結果、明らかになったことは様々な道徳的違反で、全く同じ行動をした被害者でない人よりも悪事の犠牲になった人の方が道徳性が高いと感じられることが多くなりました。 研究チームは…

  • 楔状束核を含む神経回路が手先の器用さを支える触覚フィードバック調整を可能とする

    手先の器用さは感覚情報の途切れることのない伝達に依拠しています。ただ、感覚情報だけではだめで、フィードバックも働かないと上手くいきません。 しかし、手からの体性感覚フィードバックがどのように調整されているのか詳しいことは分かっていません。また、この種の調整が身体の動きに影響を与えるのかどうかについても謎が残されています。 で、この問題をマウスで検討した研究が実施され、下記の論文に報告されまし…

  • 帝王切開か普通分娩かの医者の決定は前の患者の出産での合併症の発生の有無に影響される

    分娩(出産)現場で行われる臨床的な決定は、高いプレッシャーや不確実性のもとで行われます。もし、お産中になにか1つでも間違いがあれば、母子ともに重大な結果をまねきかねません。 意思決定の理論によれば、そのようなプレッシャーが高い状況、不確実性が高い状況で重大な局面にある人は、複雑な意思決定を支えるのにヒューリスティックといって単純化された意思決定ルールに頼るようになるとされます。 そこで、今回紹…

  • 喃語は発声学習に必要か?ー比較心理学的アプローチー

    発声レパートリーが広い様々な分類群における音声の個体発達が持つ重要な特徴は、その発達パターンにあります。どのような発達パターンなのかといえば、発声を探索する時期の後に、カテゴリー形成期がやってきて、最終的に成熟した腫特異的な発声レパートリーが発生するのです。 成獣(成人)の発声レパートリーに成熟する前の発声発達は喃語と呼ばれることもあります。たとえば、ヒトに加えて、音声学習をする鳥類、海生哺乳類…

  • 評判が生じる領域の比較文化、通文化的研究ー民族誌学的アプローチー

    評判は、ヒトの社会性や協力・集団生活の進化にとり、重要な特徴です。 評判に注目する研究者は多いです。ですが、向社会性や攻撃性(の低さ)といった狭い領域の評判、しかもそれぞれ別々に研究されることが通例であります。 でも実際は、ヒトが評判を形成するのは単独の情報からだけではなく、様々な情報の集合からなのです。 そこで、従来の評判研究が狭い領域にしか注目してこなかった限界を克服するための調査が実施…

  • 淡蒼球外節ニューロン種によって興奮/抑制の違いを付けた脳刺激法で治療効果が長引くようになる

    神経疾患の症状は、拡散した神経回路の機能不全を通して出現します。この神経回路の絡み合った構造は的確な治療を施す上で、けっこうやっかいな課題になります。 脳深部刺激療法はパーキンソン病の症状を急性的に改善させますが、その標的とする神経回路の特異性が高いわけではありません。また、脳深部刺激を中断すると、その効果は急速に落ちていきます。 ところが、近年の研究によれば、ドーパミンを枯渇させたパーキン…

  • ワーキングメモリが評判に基づく協力を支えるメカニズムとは?

    ヒトは何かと良い評判を持つことを気にしています。良い評判は、リターンとなる便益が明らかでない状況で他個体を援助する行動を促進する機能を果たします。 評判に対する関心が、血縁関係やペア、小集団を超えた協力を安定化させているという仮説を支持するゲーム理論モデルには様々なものがあります。 しかし、そのようなモデルでは評判に基づく協力を支える心理学的メカニズムに関してはっきりしているわけではありませ…

  • 統合失調症群でも道具使用の心的想像で統制群と同様のバイアスを示す

    ヒトは、道具を使って行為に伴う労力を減らそうとすることがわりとあります。 実際には、そんな効用などないのに、運動想像課題中は、労力知覚の低下という形で道具関連のバイアスが生じることを示唆した研究もいくらかあります。 統合失調症患者では労力配分が低いことが先行研究で繰り返し見出されています。しかし、統合失調症患者が労力に関する道具関連の便益をどのように知覚しているのか、よく分かっていません。 …

  • ナガスクジラの歌が海洋地殻の構造探査研究に役立つ

    ナガスクジラの鳴き声は動物の発声の中でも特に大きく、海洋で距離が遠く離れていても検出可能です。 今回はなんと、そんなナガスクジラの鳴き声(歌)が地殻構造の研究に役立つという内容の論文です。 Kuna, V. M., & Nábělek, J. L. (2021). Seismic crustal imaging using fin whale songs. Science, 371(6530), 731-735. DOI: 10.1126/science.abf3962

  • 両親間の関係の質ときょうだい関係の質との間の関連をメタ解析

    家族システム理論によれば、家族というものは体制化された全体としてみなせ、この家族システム内の関係性は相互に連関しているとされます。 しかし、これまでの研究で両親間の関係ときょうだい関係とが関連しているかどうかについてそれほど分かっているわけではありません。また、仮に両親間関係ときょうだい関係との間に関連があったとして、その関係性がポジティブなのかネガティブなのかについても謎です。 両親間関係…

  • SARS-CoV-2感染拡大抑止に最も効果的な対策は何か?

    世界中の政府は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の拡散を抑えようと、様々な対策を実行しています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックによる死者数の増加、感染拡大防止策の中には社会的コストが大きなものがあることを踏まえると、対策の相対的な効果を理解することは重要です。 そこで、今回取り上げる論文では、新型コロナの第一波で各国政府がとった対策の効果を検証することで、パンデミックを抑え、収束さ…

  • 非注意性盲目で、麻酔科医はレントゲン写真の「ゴリラ」を発見するのが難しい

    ヒトは、予想外の事象が生じることを見込んでおくことはできません。いわゆる「ゴリラ実験」に代表される非注意性盲目は普通の人がなじみのない課題に取り組んでいる時だけでなく、何年も訓練・研修を積んだ、その道の専門家でも生じます。 麻酔科は高度な注意を要する分野の1つです。そこで、今回紹介する論文では、非注意性盲目が日常業務での麻酔科医のパフォーマンスに影響し得るのか検討することを目的とした研究を実施…

  • ビデオゲームをする時間が長い子は選択的注意スキルが高い

    ビデオゲームへの暴露が年少児の発達とどのように関連しているかに関する関心が増大してきています。 ビデオゲームをすると、ゲームに時間がとられて、発達的に重要な活動に割く時間が減る恐れがあります。また、ビデオゲームをしているほど、リーディングスキルが低いということもこれまでの研究で示唆されています。 ですが、その一方で年長児や青年での研究では、注意が要求されるゲーム、素早い反応が求められるゲーム…

  • 最終氷期極大期の北アメリカにヒトがいたというエビデンスとなる足跡を発見

    考古学やその周辺分野の学問研究では、北アメリカへのヒトの定着に関する知見を深めることが長年の課題であります。 たとえば、研究課題として、いつ、どのように、ヒトが北アメリカに移動してきたのか、彼らはいったいどこからやってきたのか、北アメリカにヒトが来たことで、もともとその土地に住んでいた動物相や地形への影響はどうだったのかといった問題が未解決のままです。 そこで、今回紹介する論文では、北アメリ…

  • ウルトラマラソン中の気分の揺らぎが大きいと、完走に時間がかかる

    ウルトラランニングには、並外れた持久力が必要です。メンタルも重要でしょうから、ウルトラランニングが上手くいくには心理的要因、精神的要因も関与しているはずですが、それほど研究が進んでいるわけではありません。 気分の揺らぎ(変動)が持久力が必要なことのパフォーマンスに重要な役割を果たしていると考えられています。ですが、この考えは、マラソンやそれより短いランニング前後の気分を比較した研究が主たる根拠と…

  • オンライン検索で民族マイノリティに対するデマへの信念は弱まるが、感情は悪化する

    「フェイクニュース」という言葉に代表されるように、オンライン上のデマに関する関心が増してきています。 そこでオンライン検索の認知的影響や感情的影響について実験的に検討した研究が実施され、下記の論文に報告されました。 Kobayashi, T., Taka, F., & Suzuki, T. (2021). Can “Googling” correct misbelief? Cognitive and affective consequences of online search. PLoS ONE, 16(9): e0256575. …

  • 世界宗教は国の境界を越えた高次の文化的アイデンティティを形成する

    文化的進化理論によれば、様々な地域に広まった世界宗教は、民族を超越した文化的アイデンティティ内で信念、価値観、実践をまとめあげてきたとされます。 このことから、宗教的伝統に従うことは、文化的特性の世界規模でのばらつきと関連することが予想されます。 このことを検証した研究が実施され、その結果を報告したのが、下記の論文になります。 White, C. J. M., Muthukrishna, M., & Norenzayan, A. (2021). Cu…

  • 就学前幼児は大人と違って、他者の行為が効率的か否かを認識できない

    観察は他者から効率的な行為を学習する方法として影響力があります。しかし、他者の行為の効率を評価する際の観察者の側の運動スキルが果たす役割については十分に分かっているわけではありません。特に就学前期の幼児は、道具の取っ手をつかむといった、複数の段階から成る行為をすることが苦手であることが知られています。 というわけで、この就学前期の幼児の特性を利用して、他者の行為の効率を評価する際の観察者の運動…

  • 自動化への信頼が高いドライバーは、運転とは関連のない他の視覚性行動をしがち

    自動車の自動化技術がどんどん向上しており、自動化に対する信頼に関する研究も注目されています。 そこで、今回紹介する論文では、自動化に対する信頼がドライバーの視覚的注意散漫に与える影響を検討することを目的とした研究を実施し、その結果を報告しています。 Zhang, Y., Ma, J., Pan, C., & Chang, R. (2021). Effects of automation trust in drivers’ visual distraction during automation. PLoS ONE, …

  • 個人的目標の追求時に感じる疑問のレベルの個人差と変動

    アクションの危機とは、個人的目標を追い求め続けるのかそれともその目標を手放してあきらめるのかの間で思い悩む心の中の葛藤のことです。 アクションの危機の特徴として、目標関連の疑問を経験することがあげられます。 今回紹介する論文では、アクションの危機に関する現在の知見をさらに深めるため、日常生活で感じる疑問の動態について調査しています。 Ghassemi, M., Wolf, B. M., Bettschart, M., Kreibich, A.,…

  • 写真の世界と実際の世界との違い

    大きさの恒常性のように、視覚系は修正をほどこします。これにより、たとえ網膜上のイメージが変化していても、首尾一貫した、安定的な視点が得られるようになります。 今回紹介する論文では、写真のようにまるで無修正の2次元画像のような視点を教示したら、成人は自身の視覚をどのように捉えるかを検討することを目的とした実験をしています。 Samuel, S., Hagspiel, K., Cole, G. G., & Eacott, M. J. (2021). ‘Seeing…

  • コカイン嗜癖への道に眼窩前頭皮質-背側線条体でのセロトニン系が関与

    有害な結果が待ち受けているにもかかわらず、強迫的に薬物を使用することは、嗜癖に該当します。 中脳辺縁系のドーパミン信号伝達が強迫行為を駆動させるのに十分であることは分かっています。ですが、他の神経伝達物質系の関与もあります。つまり、コカインなどの精神刺激薬にはセロトニンの再取り込みを阻害することで細胞外セロトニンレベルを高める作用もあるのです。 そこで、今回紹介する論文では、薬物嗜癖における…

  • 温暖化の影響を小型哺乳類は穴居で緩和できるが、鳥類はできない

    気候変動の温暖化への暴露で多くの生物が絶滅リスクにさらされ、生物多様性の喪失の危機が深刻化すると考えられています。 ただ、生物は受動的ではなく、能動的な主体で、極端/異常な温度環境の影響を緩和する様々な方略を駆使することがあります。 今回はそんな方略の一端が垣間見える研究を取り上げます。 Riddell, E. A., Iknayan, K. J., Hargrove, L., Tremor, S., Patton, J. L., Ramirez, R., Wolf, B. O., & Be…

  • タイヘイヨウヌタウナギの眼に脊椎動物の特徴が存在

    ヌタウナギの眼は他の脊椎動物の眼と比較して、必要最小限のものしかありません。したがって、ヌタウナギの眼には色素上皮、水晶体および光受容体、介在ニューロン、神経節細胞という3つの細胞層から成る網膜構造がないのです。 ヌタウナギが無顎類という最初期に分岐した脊椎動物グループであることと共に、このような派生特徴が欠損していることもあって、ヌタウナギの眼は脊椎動物の視覚の初期進化における過渡的な形態だ…

  • セナスジベラというサンゴ礁魚の仔魚は月明りに成長が左右される

    仔魚の成長と生存は、変動性、予測不能性が高いことが知られています。 この種の変動性に対する理解が不十分なために、魚類の個体群動態を予測し、漁業を効果的にマネジメントすることができないでいるのが現状です。 で、今回紹介する論文は、魚類の中でもサンゴ礁を生息地とするセナスジベラ(Thalassoma hardwicke)の成長速度を毎日調査した研究をとりあげます。 Shima, J. S., Osenberg, C. W., Noonburg, E. G., Al…

  • 欺瞞関連脳ネットワークの中でも縁上回が重要な役割を果たす

    欺瞞研究の脳科学は20年前に始まったばかりですが、それ以降様々な文脈や反応モダリティでの実験パラダイムで欺瞞研究が行われています。 この種の研究をすることで、ヒトが他者を騙すことに関わる神経科学的知識や法学的知識が深まることが期待されます。 そこで、今回紹介する論文では、BrainMapソフトウェアを用いて活性化尤度推定法(Activation Likelihood Estimation,ALE)とメタ解析的結合モデリング(Meta-Analytic C…

  • コロナウイルスは白黒画像を用いると、科学的で現実感があると感じやすい

    新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックでコロナウイルス関連情報が洪水のようにあふれかえっています。多くの場合、これらの情報には新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の画像が付随しています。 そこで、今回紹介する論文の研究目的は、2020年のコロナウイルス流行による公衆衛生上の危機の初期の段階で使用された新型コロナの画像の属性が、一般人の知覚に与える影響がどのようなものなのか調査することとしました。…

  • 新生代で海洋温度が高いほど、軟体動物の種数が多く、生態学的機能の冗長性も大きい

    気候変動が生物多様性や生物地理学的パターンに与える長期的効果に関しては、その理解が不確かな点があります。 ところで、地理的面積と種数との間には種数面積関係、地理的面積と生態学的機能群数との間には機能的多様性面積関係として知られている関係性があることが分かっています。 そこで、今回取り上げる論文は、ニュージーランドにおけるおよそ4,000万年におよぶ新生代の頃と思われる、浅海で発掘された軟体動物の…

  • ワーキングメモリでの復帰抑制様効果の追試研究、先行研究結果の再現に成功

    "Inhibition of Return"とは、知覚心理学で未探索領域に視線をやるよりも間近に探索した領域に再び視線を向ける方が時間がかかるという現象のことです。日本語では、復帰抑制と呼ばれています。 一方、ワーキングメモリとは、認知心理学分野の中心をなすといってもいいほど重要な概念で、短期間の間、情報の処理と保持を行う能力のことをいいます。日本語だと、作業記憶と呼ばれています。 先行研究(Johnson et al., 2013)…

  • 歌鳥の発声を制御する神経回路の進化的起源

    哺乳類の新皮質は6層構造をしており、他の動物にはないような高い認知機能を可能にしていると考えられています。しかし、哺乳類とは異なる脳組織構造を有する鳥類も、多くの哺乳類に匹敵するような複雑な運動、認知能力(道具の使用、問題解決)を示します。 鳥類の脳には新皮質に匹敵する部分がある(特に発声学習や発声を担う領域)とされますが、これらの領域が新皮質と共通の進化的起源を持つ相同領域なのか、それとも進化的…

  • 社会的情報探索能力の発達に関する実験

    学習者としてのヒトは、価値のある社会的情報を受動的に受け取るだけにとどまるのは稀です。むしろ、色んな人から情報を能動的に引き出し、誰が有益な情報を提供してくれるのか決定しなければなりません。 しかし、発達社会的学習の研究パラダイムの多くは、参加者自身が情報を他者から引き出す能力を検討していません。 そこで、今回紹介する論文では、子供が適切な社会的情報を捜し求める能力の年齢に伴う変化を調べるこ…

  • ネアンデルタール人からの分岐以降の現生人類特有のNOVA1置換が脳発達機能に影響

    NOVA1(Neuro-oncological ventral antigen 1)は、発達中の神経系で選択的スプライシングを制御しており、シナプス形成に関わるスプライシング遺伝子のマスターレギュレーター(主要制御因子)です。NOVA1スプライシング活動に異常があるヒトは神経疾患をきたしがちであることから、NOVA1が神経機能に重要であることが分かります。 そんなNOVA1ですが、実はその遺伝子は現生人類のゲノムと古代のヒト族のゲノムとの間で違いがあ…

  • 結果の不確実性が高い宝くじでは好奇心が強いが、幸福感は低くなる

    ヒトは好奇心の対象がなんであるかは自分でわかるでしょうが、そもそも好奇心ってどんな心的状態なんでしょうか? 先行研究によれば、不確実性が高い時や情報で知識がアップデートされる時に好奇心を持ちやすいことが示唆されています。 しかし、好奇心は新規情報を得ることにこころが動くポジティブな欲求動因としても働き得ますし、あるいは情報がない不確実な状況におかれた時、つまり不安さえ引き起こし得る不確実な嫌…

  • オオシマサシオコウモリの赤ちゃんはヒトの乳児が出すのと似た喃語を発声する

    喃語とは、ヒトの乳児の発話の発達における重要な段階の1つで、この発声練習を通して声の出し方を学んでいきます。 ただ、発声学習(音声学習)をするのはヒトだけでなく、鳥類やコウモリなどの他の動物も発声学習をします。 しかし、ヒト以外の哺乳類で喃語があるとのエビデンスはほとんどありません。このことが、動物種間、特にヒトと他の動物との間の喃語の比較をするのを妨げてきました。 で、今回紹介する論文は、…

  • 「専門家」は全然専門家じゃなかった

    科学の専門家、特に動物行動の専門家なら、素人よりも専門分野に関する判断力が高いはずです。 ところで、主要な科学ジャーナルに出版された研究には、ニシツノメドリ(Fratercula arctica)の道具使用についての逸話に関するものが近年報告されていました。このウミスズメ科の鳥の道具使用の様子はビデオ映像にも記録されています。ただ、この報告については懐疑的な見方も存在します。 で、今回紹介する論文では素人よりも…

  • マウスの抑制性回路のシナプス形成過程に関するコネクトミクス

    介在ニューロンの移動や統合の時間経過についての研究は始まっており、これまでシナプス神経支配を選択的に増強または抑制する初めての分子手がかりが同定されてきました。しかし、出生後の発達における皮質の抑制性神経支配に関する包括的なマッピングに関する報告はありません。 神経組織に対するハイスループットな3D電子顕微鏡イメージングと解析法が開発され、コネクトーム解析が可能となってきています。これにより、多…

  • 親は子供との会話で他人の顔から受ける第一印象を強化する

    顔の見た目から第一印象を形成する傾向は、発達初期に出現します。これらの印象が学習されるルートの1つに親子の交流が考えられます。 そこで、親子に人物顔を見せて、その人の性格などについて話し合ってもらう研究が実施され、下記の論文に報告されました。この論文では研究が2つ実施されました。1つは親子にコンピュータで合成した顔4つを見せて、その顔から受ける印象を話し合ってもらう実験でした。もう1つは最初の研究…

  • 藻類から陸上植物が進化したのはいつか?

    分子的な分岐年代のデータ解析によれば、陸上植物(有胚植物)の起源はおよそ5億年前で、カンブリア紀に相当します。 一方、植物の化石記録のデータによれば、陸上植物が初めて出現したのは、それからほぼ8,000万年後で、その時代は中期シルル紀に該当します。 この分子データと化石データとの間における陸上植物の出現時期をめぐる矛盾は、いまだ発掘されていない植物化石があって、そのデータが欠損していることが原因だと…

  • ケナガマンモスはライフステージによって移動パターンが変化していた?

    今は絶滅していますが、昔はケナガマンモス(ウーリーマンモス,Mammuthus primigenius)という哺乳類が地球上に生息していたことが知られています。 しかし、このケナガマンモスの移動性や行動圏についてはそれほどよく分かっていないのが現状です。 そこで、この問題を克服するために、ケナガマンモスの1.7 mの全長の牙に沿ってストロンチウム同位体比の系列分析を時間的側面に関して高解像度で行った研究があります。これ…

  • 額嚢節弁翅亜節のハエは平均棍を使って離陸時の速度と安定性を支える

    双翅目とは、2枚の翅を持つ昆虫のことです。昆虫の翅は4枚のことが多いですが、双翅目の場合、後翅が平均棍という機械感覚を担う器官になっているため、翅が2枚になっています。平均棍の用途は、飛行や他の行動の最中に生じる身体の回転を検出し、安定性を維持することにあります。 ところで、双翅目の中には額嚢節弁翅亜節という単系統の分岐群があります。額嚢節弁翅亜節のハエは双翅目の多様性のおよそ12%を占めます。イエ…

  • 子供型アンドロイド、ibukiの曖昧表情の情動価は、身体情報で明瞭になる

    様々なモダリティを通して情動を表出することは、ヒトだけでなくロボットにとっても重要です。 ロボットの情動表出に関する研究では、表情から基本的情動へのマッピング法が広く使われています。このマッピング法を用いた研究によれば、それぞれの情動表出に特異的な顔面筋の活動パターンがあって、ヒトはこれらの活動パターンを読み取ることで当該の情動を知覚できるとされます。 しかし、ヒトの行動に関する近年の研究に…

  • 課題をこなしながら次の課題への準備をするのに作業記憶資源が重要

    進行中の活動をこなしながら将来に備えて準備することは、重要なスキルです。ですが、他の課題をしながら将来に向けて準備できる程度については現在のところ研究が進んでいません。 そこで今回紹介する論文では、2つの実験を実施することを通して、現在行っている課題のいかなる特徴が将来に向けての準備に影響し、また将来への準備をする時に影響するのかを準備の有用性への影響とともに検討することを目的とした研究を行い…

  • 伝えるエビデンスの種類が違えば、相手に与える人物印象が変わる

    説得に関する研究は、メッセージのソースとなる話者の特徴が相手の態度変容にどのように影響するのかどうかという疑問を探求する傾向にあります。ですが、メッセージの特徴がそのソースとなる話者に対する知覚を変えることもあり得ます。 メッセージに基づく印象形成効果によれば、受け手となる知覚者は、メッセージの特徴を使ってソースの話者の特徴を推論します。そのような推論で様々な結果が引き起こされたりすることも想…

  • キツネリスの樹上生活には身のこなしの華麗さだけでなく、学習も重要

    樹上性の動物は、複雑な林冠の間を跳躍することで移動したり、捕食者を回避したりします。 樹上性動物がその生体力学的能力を活用して、このような失敗すると命に危険が及ぶような決定を、瞬時に行い、成功して無事に枝から枝へと飛び移れるには、アクロバティックな身体の操作を巧みに行い、過去の跳躍経験から学習する必要があります。 そこで、今回紹介する論文では、樹上性動物の1種、キツネリス(Sciurus niger)の野生…

  • 運動学習、認知機能、脳生理は概日リズムの選好時間帯で高い

    ヒトにはサーカディアンリズム(概日リズム)があって、その個人差でクロノタイプが生まれます。クロノタイプとは簡単にいってしまえば、朝型人間か夜型人間かということですが、生理学的、行動学的あるいは遺伝学的な特徴に特異的なものがあります。 しかし、クロノタイプがヒトの脳の生理学的側面や認知機能を調整するか、仮に調整するとしたらそれはどんな様式によるのかについての知見が不足しています。 そこで、今回紹…

  • ラッコの基礎代謝率の高さの発生源は筋肉代謝にある

    哺乳類では、基礎代謝率は体質量と関係します。ところが、体質量から予測される基礎代謝率から外れている生物もいます。この予測のはずれの1つの解釈としては、適応的なもので、代謝リモデリングが生じているというものがあります。 ラッコも体質量から予測されるよりも約3倍高い基礎代謝率を示す動物です。ラッコのこのような基礎代謝率の高さは、水温の低い海水を生息地とすることへの熱産生適応だと考えられています。 …

  • マカクザルの側頭極に個々の既知顔への選択的応答性が高い細胞を発見

    脳がどのように知っている個体(相手がヒトの場合は個人、知人)の顔を認知しているのかという疑問は、神経科学の歴史の中でも重要視されてきたトピックの1つです。そのような研究文脈では、視覚処理と人物記憶(動物の場合は個体記憶)とを関連づける細胞があるだろうと考えられてきたものの、これまで見つかっていませんでした。 で、今回そのような細胞が見つかりましたという報告をした研究論文が発表されました。 Landi, …

  • テキストが長いと非意図的マインドワンダリングが多くなる

    英語にはTL;DRという頭字語表現があります。TL;DRとは、"Too Long, Didn't Read"の略語で、「長すぎて、読まない」という意味です。つまり、「長文うざい」という意味になります。 TL;DRという表現が人口に膾炙しているということは、テキストが長いと意図的に注意を文章から別のところに向ける習性がヒトにあることを示唆します。 さて本当にそうでしょうか?ということを教育という文脈で検証したのが今回紹介する研究に…

  • 選択した選択肢の価値が低いと、選択しなかった選択肢の価値を高く感じる

    2つの選択肢があった時、熟慮して一方の選択肢を選択して、もう片方の選択肢をそのまま選択しないでおくことがあります。つまり、2つの選択肢が分離されるわけですが、逆説的に熟慮によって選択した選択肢と未選択の選択肢との間で記憶上に連合を形成し得ることにもなります。 そこで、今回紹介する論文では、この連合形成の可能性を検討し、その影響について、選択した選択肢の価値への効果だけでなく、選択しなかった選択肢…

  • アメリカ人の「大統領記憶」は名前より顔の方が低い

    集合的記憶研究によれば、アメリカ人の大統領に関するテストの記憶成績のパターンは決まり切っています。それは、いわゆる「系列位置曲線」というやつで、それに加えてなぜかエイブラハム・リンカーン第16代大統領の記憶成績が高くなります。 しかし、これらの先行研究はすべて、アメリカ人の大統領に関する集合的記憶を名前で検証したものでした。では、大統領についての集合的記憶を顔で調べたらどうなるのでしょうか? …

  • 寄生蜂に毒性のあるpkf遺伝子がウイルスと鱗翅目昆虫のゲノムで見つかる

    膜翅類の捕食寄生者とこの捕食寄生者と昆虫宿主が同じ昆虫ウイルスとの間では、生物競争が生じます。 捕食寄生者の幼虫は、寄生先の宿主の死とともに死亡するか、宿主資源をめぐる競争の結果として死亡するかするとこれまで考えられてきました。 今回紹介する論文は、捕食寄生者に毒性のあるタンパク質をエンコーディングし、寄生の成功に影響する遺伝子ファミリーを発見したという報告になっています。 Gasmi, L., Sie…

  • キバタンによる家庭のごみ箱漁り文化の地理的拡散と多様化

    文化内でのイノベーションの出現、拡散、確立によって、人為性の変化に対する適応反応が促進され得ます。 そんな文化内でのイノベーションの中でも、今回は都会環境に対して文化的適応が発展したと考えられるケースを取り上げた論文を紹介します。それは、野生のキバタン(Cacatua galerita)というオウムが家庭のごみ箱を開けることです。 Klump, B. C., Martin, J. M., Wild, S., Hörsch, J. K., Major, R. E., & Aplin,…

  • 休眠状態を数分以内に切り替えられ、高温に適応可能なコウモリ

    熱帯に生息する哺乳類の多くは、熱(暑さ)に弱いです。これは、水収支のために、熱を相殺するための蒸発冷却の活用に限度があるためです。したがって、地球温暖化等の要因で温度がさらに上昇し、乾燥化が進行すると、動物の体温調節能の限界を超えることが懸念されます。 本研究では、動物が持つ暑さへの対処を行うための効率的なメカニズムとして、通常なら冬の低温環境や食物資源の不足に対する応答で生じるはずの休眠をとる…

  • ブチハイエナの仔の社会的関係性の母親からの継承は社会的ランク依存的

    動物の社会的ネットワークの構造は、病原体伝播や情報伝達だけでなく、生存や繁殖成功度にも影響します。 しかし、社会的構造を決定する一般的なメカニズムついての知見は不足しています。 そこで、野生のブチハイエナ(Crocuta crocuta)を対象に、27年間にわたって収集した73,767もの社会的交流データを使った本研究による解析が実施され、下記の論文に報告されました。 Ilany, A., Holekamp, K. E., & Akçay, E. (20…

  • 研究者自身の個人的関心に従った研究が、科学の信頼性、信用性評価に与える影響

    研究は研究者の科学的関心によって促進されますが、それだけではありません。科学者の個人的関心でも研究が促されることがあります。つまり、特定の研究上の疑問に答えることが研究者自身に特有の関係があるため、研究者がそのような研究上の問いを追求するのを決定する場合もあるのです。 今回紹介する論文では、そのような科学者の個人的関心に基づく研究のことを"me-search"と呼んでいます。このme-searchは研究の質だけで…

  • クロアシナガバチは顔の全体処理ができるが、ヨーロッパアシナガバチはそうでない

    刺激認知のほとんどは、その特徴を同定することでなされます。ですが、霊長類が有する顔認知の特殊化は全体処理と呼ばれる別のメカニズムによります。全体処理とは、複数の顔の特徴が合わさって、部分の寄せ集め以上のゲシュタルト知覚が形成されることです。 で、今回紹介する論文ではアシナガバチの個体の顔認知能力にも全体処理が関与しているかどうか検証した研究を実施し、その結果を報告しています。本実験ではアシナガ…

  • 霊長類におけるリスク下の意思決定

    不確実性は、ヒトの経済行動でありふれた要素ですが、リスク選好は人口(個体群)、個人(個体)、異時点によって違います。 不確実性は、動物の意思決定の多くの側面の特徴ともなっています。なので、動物種間、動物種内の比較研究によって、生物学的な差異または成熟に伴う変化 vs. 文化的学習といった、リスク選好のばらつきを生む可能性のある様々なメカニズムについて評価する助けになり得ますし、経済的意思決定でヒトに特…

  • 社会経済的地位が高いと、向社会的行動が低いということはない

    社会経済的地位が高いことは、向社会的行動が低いことを予測するのでしょうか? この問題に答えるために様々な研究がされてきたとはいえ、それらはいずれも向社会性を測るのに自己申告法をとった調査研究に依拠していたり、実験での相対的なインセンティブの統制が不十分だったり、サンプルが無作為でなかったりと、方法論的問題を抱えていました。これらの方法論的問題ゆえに、社会経済的地位と向社会性との間の負の関連があ…

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