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第9章 12月-決意 しんとする寒さの中、高志は来た道を戻った。無意識のうちに顔が歪む。 アルコールで火照った頬に、冬の夜風が冷たかった。高志はただ少しでも遠くに行くことだけを考えて、足早に歩き続けた。駅前通りに出ると、駅には向かわずに反対側に折れた。このまま線路沿いをずっと歩いて行けば、そのうち自宅に着く。それまでただ頭を空っぽにして歩き続けたかった。全てがどうでもいいと思えるまで。 上着のポケットに入れたスマホが震える。案の定、茂からの着信だった。取らずにいると
2021/04/30 00:04