過去からの使者。故郷へ (2)
八百八狸(はっぴゃくやだぬき)の話は、江戸末期に創作された講談によって全国に広まったとされている。 神通力を身につけた変幻自在のタヌキ・隠神刑部(いぬがみぎょうぶ)をリーダーとする八百八狸は、藩の守護神として人々に尊敬されていた。 ところが、享保のころ、城代家老によるクーデターが起こった。隠神刑部は、藩のお家騒動に巻き込まれて戦うことになったが、不思議な杖を使う忠臣派の武士に捕らえられて、洞窟に閉じ込められた。 しばらくしてから、刑部狸は、これまでの功績に免じて、罪を許され、里人たちと仲良く暮らした、という物語だ。 江戸時代に創作された講談は、時を経て民話となり、里のタヌキ信仰へと変化していった。 いまでも、タヌキのことを「おタヌキさん」と呼ぶ人がいて、境内にタヌキの祠(ほこら)がある神社や、タヌキを祀(まつ)...過去からの使者。故郷へ(2)
2022/02/02 13:11