第24話 最後の授業
「もう今さら何を言ってもしかたがない。ただ、シンジがオアハカからいなくなるのは寂しいよ」 僕のギターの先生はアメリカ人だ。日本的な奥ゆかしい表現はしない。 ストレートに僕が上達したことを自分のことのように喜び、これから、どうやって続けていくかのアドバイスをくれた。 「日本にだってギターの先生はいるはずだ。自分で見つけて、教えてもらうといい。それがかなわないなら、もう自分で学ぶことができるレベルにまで来ている」 そうやって心配するなと僕を勇気づけた。 もう、最後の授業で何をやったかは覚えていない。ただ、最後に記念撮影させてくれとお願いした。そして僕と彼の文字が往復書簡のように入り乱れたキンバリー…
2021/11/26 00:00