【源氏物語 777 第25帖 蛍2】 兵部卿の宮の手紙などを、すこし興味を持つって眺めるようにした。源氏の恋からのがれるためには、兵部卿の宮に好意を持つふうを装うのも一つの方法であると思うのである。
まだたいして長い月日がたったわけではないが、 確答も得ないうちに不結婚月の五月にさえなったと恨んでおいでになって、 ただもう少し近くへ伺うことをお許しくだすったら、 その機会に私の思い悩んでいる心を直接お洩《も》らしして、 それによってせめて慰みたいと思います。 こんなことをお書きになった手紙を源氏は読んで、 「そうすればいいでしょう。 宮のような風流男のする恋は、近づかせてみるだけの価値はあるでしょう。 絶対にいけないなどとは言わないほうがよい。 お返事を時々おあげなさいよ」 と源氏は言って文章をこう書けとも教えるのであったが、 何重にも重なる不快というようなものを感じて、 気分が悪いから書…
2024/11/29 20:24