【源氏物語726 第22帖 玉鬘26】「事情を知っていらっしゃらない方がいられるのだからね」と源氏が隠すように言うと「私がお邪魔なの、私は眠くて何のお話だか分からないのに」と女王は袖で耳をふさいだ。
「発見したって、どんな人かね。 えらい修験者などと懇意になってつれて来たのか」 と源氏は言った。 「ひどいことをおっしゃいます。 あの薄命な夕顔のゆかりの方を見つけましたのでございます」 「そう、それは哀れな話だね、これまでどこにいたの」 と源氏に尋ねられたが、ありのままには言いにくくて、 「寂しい郊外に住んでおいでになったのでございます。 昔の女房も半分ほどはお付きしていましてございますから、 以前の話もいたしまして悲しゅうございました」 と右近は言っていた。 「もうわかったよ。 あの事情を知っていらっしゃらない方がいられるのだからね」 と源氏が隠すように言うと、 「私がおじゃまなの、私は眠…
2024/07/31 15:06