悩ましいマスク

悩ましいマスク

ダウンジャケットにカッパを着せてもらって、午前十時過ぎに外へ出た。用足しである。 令和四年十二月二十二日、冬の雨は冷たくて、身にしみた。 電動車いすで歩道を進んでいく。行き交う車を見ようとした。マスクが襟に引っかかり、「まずい」 目がかくれそうになって、とまる。後ろをついてきてくれていたヘルパーさんへ、「マスクを下にひっぱってもらえますか」 ぼくは手指が、あまりいうこときかない。マスクがよく動くので、直してくれる介助者がいないと、電動車いすはあっても、ひとりではこわくてどこへも行けなくなっていた。 おまけに言語障害があり、マスク越しでは、さらに言葉がこもってしまう。関わりなれている人でさえ、ぼ…