ナイトホークス
街角のダイナーに入って、モーニングを注文する。楕円形のカウンターは、右側にスーツを着た男が一人、左側は男女のカップルで、めかし込む女と話す男の方はやはりスーツ姿だった。 店内は硝子張りで、信号機の灯りに照らされる夜道が覗える。人どおりはまだかなりあった。人どおりの上に傘がひらきはじめた。雨脚は強くなってくるようだった。 カウンターごしに給仕がモーニングを渡してきた。トーストと玉子と分厚いベーコン、昼夜逆転した味覚で食しつつ、手帖をひらく。手帖に目を落とし、けれども読みはしない。 右の男に用があるのだ。気づかれないよう観察していると、男は給仕に御手洗いの場所を聴いて席を立っ
2024/06/21 17:00