妹
一つ年下の妹、不二子が、死んでしまった。仕方がない事なのだ。 海辺の火葬場に来て、妹を火葬した。外で煙突を見上げると、不二子の煙が空へ広がって行く。黒い海猫が火葬場の角から現れる気がして、視線を落とすと、本当に黒い海猫が現れて、足元をすり寄ったかと思うと海の砂辺の方角へ歩いて行ってしまった。 もう一度、煙突を見上げると、あの不二子の煙が大気に満ちて行くらしいのを感じて、裏淋しい気分でいると、雨が降って来た。傘を差してピースに火をつけた。吐くけむりが、雨の中を漂いながら、消えて行く。かと思うと、唐突に、雨が水柱になって、その中を物凄い速度で移動している。そのうち、僕が水の中を移動
2020/02/29 19:13