紫式部
彼は物書き志望だ。筒井康隆になりたくて、本気で直木賞を取ろうとしている。今までも小説や詩を書いて、詩集を出したりなんかもしている。 初めて彼の姿を見たとき、私は彼が何を考えているのか分からなかった。いや、人が何を考えているかなんて知る由もないのだが、彼は本当に分からなかった。どんな世界をどんな目で見ているのか、興味があった。だからという訳でもないが、私は彼の文章を読むのが好きだ。同じ空でも彼のフィルターを通すと違って見えるあの感覚が楽しい。 彼は多趣味だ。音楽は聴くのも演奏するのも好きで、私とは比にならない読書家で、村上春樹から夏目漱石、ドストエフスキーや漢詩まで幅広く読む。あとはバイクとかスケボーとか服とか、とにかく好きなものが多い。そして彼のずば抜けた記憶力はそれぞれの基礎知識や面白みを彼のものにさせ、...紫式部
2020/09/28 15:54