ばかもの/絲山秋子 本レビュー。
主人公は、ばかものである。 酒に溺れ何もかもを無くしてしまう。 そんなばかものでも、好ましく思う者もいる。 蓼食う虫も好き好きか。 物語中に漂う気だるい雰囲気。「〜しねぇよ!」という乱暴な口調が似合う男と女。 傍から見ると悲壮な感じのする2人だが、少し離れて俯瞰して見ると、付かず離れずで上手いこと関係を保っているように見えてくる。 後半、額子が片腕を失い片品に引きこもったのを知って主人公が様子を見に行く場面、そこから腐れ縁とも思える2人の物語が始まっていく。 ネユキが逮捕されるのも必要なスパイス的事件だし、主人公に寄り添うおばやんの優しさが所々で沁みる。 ばかものでいいじゃないか。 相性がいい…
2022/03/25 17:01