姉と仇と妹
ある朝、スマホの通知履歴を見ると見知らぬ番号から着信があることに気づいた。留守電が入っていた。 「初めまして、急にお電話を掛けてすみません。私、H子の妹です。もしご迷惑でなければ、お電話頂きたいです......。」 あどけなさの残るその声は緊張で震えていて、そしてH子にそっくりだった。 私には、4歳年下の弟がいる。H子の妹さんは確か同い年で、そんなところまで私とH子は似ていた。もし私が一人で死に、H子が生き残っていたのなら、弟もこんな声でH子に電話を掛けたのだろうか。 姉を死に導いたこの私に妹さんが電話を掛けて来るという事態は、いずれにしても尋常ではない話を想起させた。が、覚悟を決めて折り返し…
2020/09/21 14:33