彼女は雨の日の夕暮れみたいで
昼休みに会社を中抜けした私は、日比谷のカフェで男を待っていた。 待ち合わせの時間にはまだ早かったけれど、少しでもアポイントを確実なものにしたいと思った。元号が令和になったというのに、薄暗い店内には銀ブラよろしく昭和と思しき歌謡曲が流れレトロな雰囲気を演出していた。 そして今さらになって、「どうしてオレはこんなところにいるのだろう。」という根本的な疑問が頭をもたげてきた。 私はこの一件に多大な労力を払ってきた。一銭の金にもならないばかりか、時間と私の有象無象を尻の穴から濁濁と無為へと流出させる日々を送っている。しかし私にはこうする他なかった。 この辺りの会社は大企業ばかりだから、テレワークを導入…
2020/04/28 21:46