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2020/04/05

1件〜100件

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  • 『森の来訪者たち』--70代の作家が別荘にプチ引きこもり、生物と人間について考える

    10月31日、草思社より新しい訳書が刊行された。 森の来訪者たち 草思社 (soshisha.com) 著者ニーナ・バートンは1946年生まれ。スウェーデン語原著の刊行は2020年なので、74歳のときの発表作となる。 著者の執筆意欲は旺盛で、この別荘を購入したのも「原稿を持って引きこもれそうだったから」。 おそらくかなり安い物件だったのだろう。天井裏にはリスが棲みつき、床下にはキツネやアナグマが出入りする。壁の中には二種類のハチが巣をつくり、壁の上ではアリの隊列が行進する……。 とどめは、なんと湿気のために海に面した壁が腐敗していて、取り壊すことに……。 執筆

  • リューベン・オストルンド監督は、お好きですか?

    今回は、今年のカンヌ国際映画祭で二度目のパルムドールを受賞したスウェーデン人映画監督、リューベン・オストルンド(Ruben Östlund)について、過去作を振り返りながらご紹介したいと思います。 一度目のパルムドールを受賞した前作『ザ・スクエア 思いやりの聖域』は、現代美術館のキュレーターである主人公クリスティアンが、財布と携帯をすられたことに端を発して、一人の少年にしつこく謝罪を要求される状況に陥ります。クリスティアンは理知的で社交的な人物ですが、プライドが高く、なかなか自分の誤りを認めることができません。 私はオストルンド監督の作品がとても好きですが、手放しでそ

  • 『LAMB/ラム』をアイスランドで観たときのこと

    アイスランド発の映画『LAMB/ラム』(原題:Dýrið(動物))が日本で公開されてから約1 か月が経った。興行収入が1 億円を突破し、封切り後早々に売り切れたパンフレットや公式グッズの一部が再版されるなど、非常に人気らしい。 筆者は、本作がアイスランドで公開されたときに最寄りの映画館で鑑賞し、それからアイスランドでの批評記事もできるかぎり目を通したが、これほどの小さな熱狂が日本で巻き起こるとはまったく予想していなかった。実のところ、公開されたら「なんだこれは!」と混乱から声を荒げる観客が少なくないのではないか、と思っていた。いや、これは、アイスランドで観たときの周囲の観客の反応が

  • ブックフェア(Bokmässan) in Göteborg 2022

    スウェーデンでは9月22~25日にヨーテボリでブックフェアが行われました。私も参加したのですが、パンデミック後、初の本格的な開催ということで盛り上がっていました。 まずは月曜日に(ブックフェアのプログラムの一環というわけではないのですが)、ヨーテボリ大学日本語科が主催するワークショップに参加させていただきました。 ワークショプ「キャラクターと同一性・個体性」 役割語研究の創始者であり大阪大学名誉教授・放送大学大阪学習センター所長の 金水 敏 先生がスウェーデンにいらしての、対面ワークショップでした。 当日は日本語を教えている先生や日本語を学ぶ学生が参加し、金水先生のお話を興味深く

  • 読書のネタ探し ~フィンランド語訳が出ている日本の小説~

    情報の発信者は、その情報が確かに“誰か”に届くことを《願って》、あるいは届くことを《狙って》発信し続けます。一方、情報発信者からそれらの情報の受け手と想定されている私たちの側も、自分が求める情報はいずこにあるかを積極的に探しに出かけることも、また大切なことだと常々感じ、考えてもいます。ということで、今回は私が能動的に集めた情報を、私が発信者となってNoteのページからお届けします。 フィンランドの小説や絵本、児童文学の中で読みがいのある作品に出合いたい、といつも新刊書を中心に探します。もちろん、この《探す》という作業には、私自身がひとりの読者として、自分が楽しめる、と思える作品探

  • ミステリーで外国語を

    ミステリー小説と外国語が何より好きな私にとって、寝る前に外国語のミステリーを読むのが至福の時間です。私にとっては、リンドグレンの『長靴下のピッピ』のような少し古い児童小説よりも、現代の平易な文章で書かれたミステリーの方がどうも読みやすいようです。単語の面でも、話が論理的に展開するので推測できるという面でも(女の子が片手で馬を持ち上げたりしない!)、そして、クライマックスになると本がぐいぐい背中を押してくれます。 これからスウェーデン語の本を読んでみようと思っている中級学習者の方々に向けて、まだなんでも読めるという段階に至ってないからこそわかる、文章が易しいスウェーデンのおすすめミ

  • 「若者」と「住まい」から考えるスウェーデン社会

    8月20日、グレタ・トゥンベリさんが、学校ストライキを始めてから4年になることをツイートしていました。4年前のこの日は月曜日、新学期の始まりに合わせて、彼女は「気候のための学校ストライキ」というプラカードを持ち、国会議事堂前で座り込みを始めました。この年の9月、スウェーデンで4年に1度の選挙が行われることになっており、当初、彼女は投票日の9月9日までストを続ける、としていました。スト決行にいたるまでの、何年もの葛藤や困難などは『グレタたったひとりのストライキ』に詳しく記されていますが、この年が選挙の年だったことも大きなきっかけのひとつとなったのではないかと思います。気候変動に関する政

  • みずいろブックス 第一作 記念対談 シッランパー『若く逝きしもの』

    フィンランド文学に特化した出版社の誕生 フランス・エーミル・シッランパー 作/阿部知二 訳 復刊の表紙と帯 セルボ貴子(以下:セ):では改めまして、今日はよろしくお願い致します。今Googleドキュメント共同編集で紙上対談というものをやってみていますが、リアルタイムですからお互い打ち間違いとか(!)変換こうやってるんだとかばれちゃうわけですね(笑)   みずいろブックス 岡村(以下:み):はじめての体験でドキドキしています。さっそく変換ミスばれましたね(笑)今日はよろしくお願いいたします。   (セ):私も打ちながら誤字連射中です。さて、みずいろブックスさんとは去年

  • 5歳と7歳の児童が殺人犯? 抑圧された記憶と虚偽自白、スウェーデンの冤罪事件

    ケヴィン事件の発生 「5歳と7歳の兄弟が4歳の子どもを殺害しました。彼らは自白しています」 こんな警察発表を聞いたあなたはどう思うだろうか? 「まじか?」とまずは耳を疑うだろう。さらに「年齢が低いために裁判にはかけません。これから兄弟は保護観察下に置かれます」と続けば、「いやまて、真相究明しなくていいのか?」とも。 だがこれはスウェーデンで1998年に起こった実際の事件なのだ。 1998年8月16日、4歳の男の子ケヴィンの死体がアルヴィーカという町の湖畔(トップ画像。出典)で発見された。最初は溺死と思われていたが、やがて警察はこれを殺人事件として捜査しはじめる。  

  • 北欧発、勉強したくなる本

    1.塾の夏期講習説明会--何のために勉強する? 翻訳者の枇谷玲子です。 私事ですが、先日、高校受験を控える中3の娘と塾の夏期講習の説明会に行きました。 それまで比較的安価で、ゆったりとした雰囲気の個別指導塾に行っていた娘ですが、部活動引退を機に、厳し目の塾に移ろうかと親子で考え、説明会に参加したのです。 そこで塾の先生が熱く、何のために勉強するのかを説いていました。大筋としては、 1.可能性を広げるため 2.努力する力を養うため 3.学ぶこと自体が尊いから 勉強をしようという内容でした。 勉強ができて、よい高校に行けば、将来の可能性が広がるのでしょうか? 親として答えは出ま

  • ノルウェー文学普及協会(NORLA)主催の翻訳者ホテルに参加して。第2週

    こんにちは! 先週に続き、ノルウェー文学普及協会が主催しているプロジェクト「翻訳者ホテル」についてご報告いたします。 再びエージェンシー訪問です。オスロ・リテラリー・エージェンシーに続いてうかがったのは、ギュルデンダールエージェンシー(Gyldendal Agency)です。 エージェントのアンネ・キャスリン・エングさんとニナ・ペーデシェンさん エージェントのニナさんと一緒に これぞ北欧という感じのすてきな表紙のカタログをいただきました こちらはNORLAの選書リストにもはいったスターゲイトという作品です。 仕事を失った父親とクリスマスの飾りを売る娘の物語 次に訪問した

  • ノルウェー文学普及協会(NORLA)主催の翻訳者ホテルに参加して

        こんにちは! 私はスウェーデン語、ノルウェー語、デンマーク語から日本語への翻訳をしております中村冬美と申します。 今年の5月9日から22日まで私はNORLA(ノルウェー文学普及協会)が主催してくださった、翻訳者ホテルというプログラムに参加していました。     今回のNOTEではこの翻訳者ホテルについて報告したいと思います。     この「翻訳者ホテル」とは、ノルウェー文学を翻訳している翻訳者が2週間オスロに滞在して、その間に翻訳の仕事を進めたり、オスロのエージェンシーを訪問したり、作家さんや色々な言語からノルウ

  • アイスランド映画――2022年5月

    テレビがなければプロジェクターもない自室で映画を観ようとすれば、PC画面と向き合わざるをえない。ただ、その画面の小ささか音の平さゆえにか、どうにも集中できない。90分の映画でも、30分ごとには一旦止めてしまう。つまらないものを観ているわけではない。けれども、その気になれば自由に振る舞える環境で観ていると、どうにも集中できないのだ。時計を見ることが憚られる真っ暗な映画館のなか、ここでお前はこの映像を見るしかないのだ、と強いられないと――自ら望んで代金を払ってそうされているのだが――映画を一気に観ることができなくなって久しい。○○を観た、と誰かが口にするときにオンラインでしか配信していな

  • 『未邦訳書籍展』 開催報告

    去る2022年4月12日に初の試みである『未邦訳書籍展』を出版ホール@神保町で開催いたしました。当初の予定では、北欧語書籍翻訳者の会のメンバー4名が参加予定でしたが、パンデミックの影響や、仕事の都合等で2名での実施となりました。 開催形態は、事前に登録いただきました出版社の編集担当の皆さまとの個別商談会。1社30分という時間の中で、ご興味のあるジャンルの書籍を中心に、翻訳者が準備した未邦訳書籍をご案内しました。 会場の様子 その1 当日は、総勢17名の編集者の方々にお越しいただくことができました。単なる書籍の紹介にとどまることなく、各国の出版界事情や読書スタイルなども含め、直

  • 楽しい北欧フィルムデーズ!

    今年も5月下旬から8月にかけて、EUフィルムデーズが開催されます。 EUフィルムデーズ 2022 欧州連合(EU)加盟国の在日大使館・文化機関が提供する作品を一堂に上映するユニークな映画祭です。20回目の節目を迎える本年 eufilmdays.jp 東京 国立映画アーカイブ 5/28(土) - 6/23(木) 京都 京都府京都文化博物館 6/21(火) - 7/18(月・祝)) 広島 広島市映像文化ライブラリー 8/23(火) - 8/31(水) オンライン配信 7/8(日) - 7/31(日) (*オンライン配信の作品や視聴方法については、こちらをご参照

  • ミステリ作家になるには?

     先日、わけあってスウェーデンミステリ執筆講座に参加しました。自分でミステリを書こうとたくらんでいるわけではないのですが、仲間と主催しているスウェーデン・ミステリフェスティバルのイベントのひとつとして企画しました。講師は有名ミステリ作家Dag Öhrlund氏で、金・土・日の三日間の濃密なコース。受講者の大半は私も知っている人で、地元の新聞記者、フリージャーナリスト、すでに自費出版でミステリを出している人たちでした。毎年多数のミステリ作家がデビューするスウェーデン、私の周りにもミステリを書いている人、書きたいと思っている人が何人もいます。専業作家を目指しているというよりは、普

  • 主人公たちが話す言葉は? 方言と翻訳

    小説を読んでいるとき、登場人物が話している「言葉」を気にしていることがどれほどあるでしょうか。登場人物の生きる時代、年齢や出身地、あるいは彼ら、彼女たちの職業や物語上の立場の違いによって話し言葉は、当然のことながら異なっているはずです。 古典の中でも特に数多くの言語に翻訳されている『源氏物語』。河添房江氏はまず伊藤鉄也氏が「海外源氏情報」というWEBサイトで、英語、中国語等「33の言語」で翻訳されていることに触れておられると紹介した上で、明治以降、与謝野晶子の『新訳源氏物語』を始め、日本を代表する幾人もの作家たちが現代語訳を試み、近くは平成に入ってからも新訳のニュアンスの異なる橋本

  • オーディオブックは本の世界をどう変えるのか?

    ここ数年、飛ぶ鳥を落とす勢いなのが「オーディオブック・サービス」です。 オーディオブック・サービスとは、定額サブスクリプション型サービスで、月額でいうと約5ユーロから20ユーロくらいの価格帯で朗読された書籍がほぼ聴き放題になるというもの。オーディオブックだけでなく、電子書籍が読める場合も多いようです。日本でも大手を始め、複数のサービスが開始されているようですね。以前、よこのななさんが書かれた、「大手オンライン書店以外から本を買う(スウェーデンの場合)」 でも同サービスが言及されていましたが、北欧を中心にスウェーデン発の企業に勢いを感じます。今回はその良し悪し、出版業界や書き手の受け止

  • 北欧語書籍翻訳者の会メンバーによる『未邦訳書籍展』へのご案内

    出版編集者の皆様へ   私ども北欧語書籍翻訳者の会は、来る4月12日に翻訳者と各出版編集者の皆さまと一対一で未邦訳書籍をご紹介させていただくワークショップを開催いたします。   フィンランド語の翻訳者、上山美保子およびスウェーデン語、ノルウェー語、デンマーク語の翻訳者、中村冬美が各国のフィクション、ノンフィクション、児童書、絵本、その他をご紹介させていただきます。どうぞ奮ってご参加ください。 開催日時 2022年4月12日(火)13時~19時 開場 12時45分 最終面談開始時間 18時30分 会 場 日本出版クラブ内会議室 402

  • 老人と猫―ある愛の物語

    今日はスウェーデンの心温まる本をご紹介したいと思います。ニルス・ウッデンベリ著『老人と猫―ある愛の物語』です。引退した心理学教授(著者)の家に、ある日子猫が住み着きます。元教授は子猫に対して「うれしいに違いない」と決めつけたり、「これをしてほしいはずだ」などと勝手に推測せず、心理学者らしく、対等な存在として猫の気持ちを理解しようと努力します。ペットの可愛さをただ描写する本ではありませんが、読んだ後幸せな気持ちになれるすてきな本です。 邦訳は『老人と猫』というタイトルでエクスナレッジからでています。 まだ翻訳はありませんが、続編『猫とふたりぼっち』が出ているそうです。

  • 翻訳やことばに興味がある人におすすめの本

    今回は、最近買った・読んだ本の中から、翻訳やことばに関する書籍をいくつかご紹介したいと思います。新刊が2冊、それ以外もこの1年ほどの間に発刊された本です。 日々翻訳ざんげ エンタメ翻訳この四十年 (本の雑誌社) 田口 俊樹 著 日々翻訳ざんげ エンタメ翻訳この四十年 訳書200冊の名翻訳家が、自身の訳書を読み直し、翻訳人生最大の危機からチャンドラー新訳での大発見まで、40年におよぶ翻訳 honto.jp 翻訳家として40年以上の経歴(訳書200冊!)をお持ちの田口俊樹さんが、ご自身の訳書と当時の出来事を振り返る回顧録です。インターネットがなかった時代の翻

  • あなたはどのくらい幸福ですか?

        本日はスウェーデンの幸福の本、『幸福についての小さな書』をご紹介したいと思います。 世界幸福度ランキングを見ると、北欧諸国は常に上位にあります。 1位 フィンランド、 2位 デンマーク 3位 スイス 4位 アイスランド 5位 オランダ 6位 ノルウェー 7位 スウェーデン   2017年にマイク・ヴァイキング著『ヒュッゲ365日「シンプルな幸せ」のつくり方』という本がベストセラーになったことは、皆さんまだ記憶に新しいと思います。 HYGGE 365日「シンプルな幸せ」のつくり方 こちらの本ではいかに日常生活の中にくつ

  • 今週(2/9)のブログはお休みです

    今週(2/9)のブログはお休みします。 2019年4月にブログを開始してから初めての休載です。執筆はメンバーの回り持ち。しかし翻訳者も人の子、いろいろあります。コロナに感染した人、親を自宅介護することになった人、仕事のクライマックスを迎えた人……。 来週(2/16)は新しい記事を公開しますので、楽しみにしてくださいね。 その後は当分の間、隔週(二週間に一度)の更新になります。 「北欧語書籍翻訳者の会」のメンバーは全員、ぜひともこのブログを継続したいと希望しております! 今後とも、このブログをどうぞよろしくお願いいたします。 (文責:羽根 由)

  • 北欧語の翻訳者4人が訳書について語る座談会動画 ぜひ見てね!

    こんにちは! 寒い日々が続きますね。 1月21日、「北欧語書籍翻訳者の会」のメンバー4人がFacebook上で座談会をやり、視聴者の方からコメントしていただく……という企画を予定していたのですが、なんと! システムがうまく動かず、中止することになりました(涙)。 しかし、その翌日の22日、同じメンバーが集まり、オンラインで座談会をしました。その様子をYouTubeでご覧いただけます! 参加者の顔ぶれは、 セルボ貴子(フィンランド在住) 久山葉子(スウェーデン在住) 中村冬美(日本在住) 枇谷玲子(日本在住) の4人です。 時差が最大8時間あるのですが、国境を越えて座談会が

  • 日本でできるスウェーデン語の勉強&ナチスによるアーリア人増殖施設で生まれた女性の実話

    トップ画像:ルンド大学(Credits: Aline Lessner/imagebank.sweden.se) スウェーデン語のようなマイナーな言語の翻訳。どういう経緯でそんな職業にたどり着くのか、不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれません。 たまたま本日発売のこちらの雑誌で、翻訳者になろうと思ったきっかけや、どのようにして最初の仕事をゲットしたかをお話させていただいています。 通訳者・翻訳者になる本2023 (イカロス・ムック) その記事に補足する形で、今日は私がどのようにスウェーデン語を勉強したかをお話しようと思います。 スウェーデンとの出合いは高校時代の交換留学で

  • 新語・流行語 フロム フィンランド2022&2021

    2019年秋に「新語・流行語 フロム フィンランド2019」をお届けしました。が、昨年(2020年)は、このテーマを取り上げませんでしたので、2022年に入って間もない今回は、2020年と2021年の2年間に現れたフィンランド語の、新語・流行語・注目語の中から面白いな……と感じたものを幾つかお届けすることにします。情報源は、前回同様『フィンランド国語センター(Kotimaisten kielten keskus)』です。 【2020年篇】 japandi ⇒ヤパンディ 日本を表す「Japan」とスカンディナヴィアを表す「Skan

  • スウェーデンの新しい児童文学賞

    昨年の秋、ノーベル文学賞の選考で知られるスウェーデン・アカデミーが、児童・ヤングアダルト向け文学に対する新たな賞を創設したことを発表しました。同時に発表された初代の受賞者はフリーダ・ニルソンです。1979年生まれ、2004年のデビュー後、コンスタントに作品を発表し、国内外の文学賞の候補にもたびたび挙げられる作家で、昨年4月には日本語訳として初めての作品『ゴリランとわたし』が刊行されました。同書を翻訳させてもらったこともあり、とてもうれしいニュースでしたが、同時にとても驚きました。あのスウェーデン・アカデミーが児童文学賞を創設するとは、と。   スウェーデン・アカデミーはス

  • カウトケイノー血塗られたナイフ

    あけましておめでとうございます。今年が皆様にとって良い年になりますように。   昨年は、カウトケイノのトナカイ警察が活躍する『影のない四十日間』(オリヴィエ・トリュック著、久山葉子訳)が翻訳ミステリー大賞シンジケート「書評七福神の十一月度ベスト!」に選ばれ、北極圏ミステリーの時代が到来したか、とちょっと期待しております。   カウトケイノを舞台にするミステリーのシリーズは、もうひとつ、ラーシュ・ペッテションによる検事アンナシリーズがあります。 物語は、アンナが、夜遅く雪道をアルタからカウトケイノに車で向かう途中、トナカイと衝突する場面から始まります。アンナ

  • ゆく年くる年

    あっという間に年の瀬ですね。(トップ画像は私の住むPori市の旧市庁舎です) 日本の皆さまは学生さんなら冬休み、社会人の方は仕事納めとともに、年賀状宛名印刷(or手書き)に追われていらっしゃるでしょうか。  こちらフィンランドでは、12月24日のイブがクリスマス本番。つまり準備する側は一番力が入る日なので、日本より一週間前に忙しさのピークがやってくるといえば分かりやすいかもしれません。  コロナ禍も丸二年が経とうとしている今、完全にコロナ前に戻るということは無く、制限を緩めては引き締め、状況を見ながら気を付けて生活をしていく時期がこちらでもまだ半年は続きそうな

  • ノーベル財団の介入とスウェーデン・アカデミーの改革

    『ノーベル文学賞が消えた日』(平凡社、2021)を訳したあと、私の頭の中にはスウェーデン・アカデミーについて疑問や不満がいくつか残った。例えば、A)「なぜいつまでもスウェーデン・アカデミーがノーベル文学賞を選考しているのだろう?」ということ。 『ノーベル文学賞が消えた日』にはこんな記述がある。 スウェーデン・アカデミー初の女性事務局長が追放された〔注:2018年4月12日〕というニュースは、世界中に広まった。すぐさまノーベル賞全般に責任を持つ組織が反応した。ノーベル財団だ。 何人かのアカデミー会員を前にして、ノーベル財団は二〇一八年のノーベル文学賞の発表を中止する提案をおこなっ

  • 日本未公開のスウェーデン映画『Tigrar(英題:Tigers)』に注目!

    ロンニ・サンダール(Ronnie Sandahl)監督の『Tigrar(英題:Tigers)』は、スウェーデン人サッカー選手マルティン・ベントソン(Martin Bengtsson)の自伝を元に、プロサッカー界の闇の部分に焦点を当てた映画です。北欧の映画祭や各賞の情報で概要を目にして、とても興味深い作品だと感じました。日本での配給の情報は今のところ見当たりませんが、公開されることを願ってご紹介したいと思います。 スウェーデン出身のサッカープレーヤーといえばズラタン・イブラヒモビッチ選手が有名ですが、ベントソンは「第二のイブラヒモビッチ」と称されるほど将来を期待された選手でした

  • 『よるくまシュッカとゆきのおふとん』ご紹介

    今回は、拙訳『よるくまシュッカとゆきのおふとん』 についてご紹介させてください。 『よるくまシュッカとゆきのおふとん』は11月10日に発売された絵本で 作家はエミリー・メルゴー・ヤコブセンさんというデンマーク人です。 日本での出版社は百万年書房さんです。https://millionyearsbk.stores.jp/items/614a6d0ac120966e1d3ae99e この絵本の主人公は、一作目の『よるくまシュッカ』と同じように、 読み聞かせをしてもらっている子どもたちです。 絵本の中には(…………)という部分がでてくるのですが、ここに読んでもらっているお子さんの名

  • 物語中で障がい者はなぜ残酷な仕打ちを受けたのか?――障がいを持つ登場人物が、負わされがちな役割について

    海外文学の中で突然に殺された障がい者 ある文学作品の中で、障がいを持つ少年が、残虐に殺された。作品を読んだ人の多くは、人間の狂気、残忍さを描いた傑作などと絶賛していた。 私(枇谷玲子)も一緒に「いいよね」とうなずいて、仲間に入りたい。だけど、疑問を抱かずにいられなかった。「どうしてその障がいを持つ少年は、殺されなくてはならなかったのだろう?」「障がい者が物語の雰囲気作りの道具に使われたのではないか?」と。 私の世界を見る目を変えた、ある作家との出会い そんな風に感じたのは、自分自身の思考の癖によるのかもしれないが、ある作家との出会いも、無関係とは言い切れない。 その

  • アイスランドで出会ったさむがりや

    一時帰国中の今週の当番、朱位昌併(あかくらしょうへい)です。 てっきりアイスランドで見守ることになると思っていた、ラニ・ヤマモト作『さむがりやのスティーナ』(以下『スティーナ』)の刊行を日本で迎えられたのは、とても幸運でした。 今回は、この絵本の紹介と、アイスランド語版『Stína stórasæng』(/sti:na stou:rasaiŋk/)に出会ったときのことを書きます。 ラニ・ヤマモト『さむがりやのスティーナ』(朱位昌併訳) 2021年11月19日、平凡社から出版 さむがりやの女の子スティーナにはじめて出会ったのは、2020年2月、レイキャヴィーク図書館でで

  • 10周年を迎えたスウェーデン・ミステリフェスティバル&11月の新刊案内

    お久しぶりです、今週のお当番の久山葉子です。 先週は3日間のスウェーデン・ミステリフェスティバルがありました。 今年で10周年を迎えたスウェーデン・ミステリフェスティバル。最初の3年は聴衆として参加し、そのあとは実行委員として主催する側に回りました。仲間と1年間かけて企画や予算組み、助成金の申請を行います。北欧じゅう、時には英語圏からもミステリ作家さんを招聘し、聴きに来てくださるお客さんに楽しんでもらう……。毎年、それをやり遂げたあとはすごい充実感を覚えます。 今年も20名ほどの作家さんに登壇していただきました。邦訳されている方だと、『死ぬまでにしたい3つのこと』が出ているピ

  • 『ヘルシンキ・ブックフェア2021』ハイブリットで開催

    毎年、書物好きの心をワクワクさせるブックフェア。しかし、昨年は残念ながら全面的にオンライン開催になってしまった『ヘルシンキ・ブックフェア2020』。そのことを本欄で記事にした際(2020.11.25)に、2021年のブックフェアは「オンライン開催になるのか、はたまたハイブリッド開催になるのか、いまのところわかりませんが、それがどのようなものになるにせよ、今年の経験を生かしたスタイルの開催になることを今から楽しみにしています」と締めくくりました。早いものであれから一年。そして嬉しいことに、今年は無事、例年の会場で、例年の時期に、4日間にわたって開催され、多くの本好きが楽しみました。今回は

  • ある自転車配達員の日記

    みなさんは日記をつけていますか? わたしは日記をつけるのも、記録を取るのも苦手ですが、日記や紀行文など、日々の記録として書かれた文章を読むのは大好きです。いつ、どこで、なにをしたか、そのときどんなことを考えていたのか。文章をたどっていくと、書いた人の見ていた風景が少し見えてくるような、追体験しているような、そんな気がします。 11月下旬刊行予定の雑誌『シモーヌ(Le Simones)VOL.5』(現代書館)では、「「私」と日記:生の記録を読む」という特集が組まれています。わたし(よこの)も参加させていただき、『リンドグレーンの戦争日記 1939-1945』(アストリッド・リンド

  • 影のない四十日間 - 北極圏ラップランドが舞台のミステリー

    1月11日,40日間地平線の下に隠れ続けた太陽がついに昇る日,人々は丘に集まり太陽を待つ。太陽が地平線に姿を見せると、子供たちは喜んで駆け回り大人たちは手をたたいて迎える。この日太陽は27分で沈んだ。 これは、久山葉子さんの訳で11月に創元推理文庫から刊行される『影のない四十日間』(オリヴィエ・トリュック著)の印象的な一場面です。舞台はノルウェーの思い切り北のカウトケイノです。 シリーズの中心人物はトナカイ警官の二人組で、ノルウェー南部出身でサーミ(ラップランド)の地に赴任したばかりの若い女性警官ニーナと,年季の入ったサーミ人の男性警官クレメットです。トナカイ放牧に携わるサーミ

  • マリメッコを蘇らせたキルスティの物語

    『マリメッコの救世主 キルスティ・パーッカネンの物語』 (祥伝社 2021 年10 月末発売) こちらは私にとっては評伝として二冊目の翻訳となります。 原書は2020 年の春にフィンランドで発売され、直後から数カ月間ノンフィクションの書店売り上げ一位を独走、注目の高さがうかがえる作品でした。 これは! と思い、5 月のはじめに連絡先を電話番号検索サービスで見つけて、作者にいきなり電話をしたのをまだ覚えています。 「西部のポリに住んでいる日本人の翻訳者の者ですが、もし良かったらキルスティ・パーッカネンさんの評伝を日本語に翻訳させて下さい!」 こちらは原書の装丁と原作

  • ノーベル文学賞とスウェーデン・アカデミー

    10月はノーベル賞受賞者が発表される月。 ということで先月、関連書籍の拙訳書が刊行された。タイトルは『ノーベル文学賞が消えた日』(平凡社)。 みなさんは2018年のノーベル文学賞の発表が延期された事件を覚えておられるだろうか? ノーベル文学賞の発表がないなんて、1901年の初授与以来、第二次世界大戦中を除けば異例の事態であった。 ノーベル文学賞は世界最高峰の文学賞と呼んでいいだろう。物理学や化学、平和などのいくつもの分野を含むノーベル賞の一部門であり、それになんといっても賞金額が大きい。一億円以上もあるのだ。 それほど有名な文学賞の発表中止の原因となったのは、選考団体で

  • デンマークオリジナル版VSハリウッドリメイク版:映画『THE GUILTY/ギルティ』

    ジェイク・ジレンホール主演の映画『THE GUILTY/ギルティ』が9月24日より劇場公開、10月1日よりNetflixで配信開始となりました。同名のデンマーク映画をハリウッドでリメイクした作品です。画面に映るのは緊急通報センターの内部のみ(というか、ほぼ主人公の顔)、電話越しの声と音だけで誘拐事件を解決するという設定の面白さから、2019年のデンマーク版公開時にも話題となっていましたが、ハリウッド版は人気と実力を兼ね備えたジェイク・ジレンホールが主演ということで、さらに注目を集めているようです。 さっそくNetflixで視聴しましたので、オリジナルのデンマーク

  • 自分とは何か。『ソフィーの世界』より

    『ソフィーの世界』を書いたノルウェーのベストセラー作家、ヨースタイン・ゴルデルの名前を知っている人は多いと思う。 1995年に『ソフィーの世界』が出版された時、この本は哲学ブームを巻き起こした。私もいそいそと本屋さんに出かけていって購入した。 本書は、14歳の少女ソフィーが哲学者から手紙をもらうことから展開していく。最初に受け取った封筒に入っていたのは紙切れ一枚。そこには「あなたはだれ?」と書かれていた。ソフィーは手紙によって、プラトンの提唱したイデアの世界、プロティノスの考えた光である神、インドの神秘主義、聖書の教える神と人間といった哲学を学ぶ。それらを通し、ソフィーは「自分とは

  • Books from Denmark2021年上半期の選書リスト(ノンフィクションと児童書)――『つきのぼうや』を輩出したデンマーク発、判型、めくる方向が独特な絵本にご注目を

    早いもので、季節はもう秋ですが、前回に引き続きBooks from Denmark2021年上半期の選書リストを紹介いたします。今回はノンフィクション(大人向け)と児童書です。リストを作っているのは、デンマーク文化庁。つい先日、世界の翻訳者を集めて翻訳者セミナーをデンマーク第三の都市オルボーで行ったばかり。執筆者(枇谷)も参加したかったのですが、コロナの状況を鑑みて泣く泣くキャンセルしました。 Kavt og gratv脱rk - overs脱ttere blev klogere p奪 dansk humor og dialekt Klik og

  • アイスランド大学での学生生活

    アイスランドへの関心が高まり、学生の留学先にも希望する声が増えているらしいが、アイスランドでの学生生活についての率直な意見を目にすることは難しいようで、先日「実際どうですか?」と訊かれた。そこで、アイスランドで延々と学生生活を続けている私が、その経験と思うところを(とくにアイスランド大学での勉強について)いくらか書いてみることにした。 下記に述べるのは、国立アイスランド大学で正規学生である場合なので、交換留学生用のプログラムや、レイキャヴィーク大学、アイスランド芸術大学についてはよく分からないことを、ここで予め述べておく。 アイスランド大学の新年度がはじまるのは、夜に空

  • この秋はトーベ・ヤンソン! 映画x評伝x自選短篇集

    以前こちらのブログで、訳書『メッセージ トーベ・ヤンソン自選短篇集』についてご紹介させていただきました。自伝的要素が多く詰まっていて、「トーベ・ヤンソンってどんな人間、そして芸術家だったのかな?」という好奇心を満たしてくれる作品でした。 そんなトーベ・ヤンソンの半生を描いた映画『TOVE』が、日本では10月1日に公開になります。 映画『TOVE』公式サイト わたしはこの春、一足お先にスウェーデンでこの映画を観てきました。ただ日本語の字幕にも興味があったので、その後、日本版の試写をオンラインで拝見させていただきました。なるほど、セリフとはこうやって訳せばいいのか……と大変

  • 読書の季節を前に(2021年ヨーテボリブックフェアのことなど)

    前回の担当記事で書いたスウェーデンの大手オンライン書店BokusのEU圏外への輸送停止問題は、いまだ解消されていません。6月下旬に更新されたお知らせには、8月中には落ち着く見込みとあり、夏季休暇期間中の進展はないと悟りましたが、8月ももう下旬、いまだ進展はありません。そんなわけで、いまはもっぱら、イングランドとオーストラリアに拠点を持つ大手オンライン書店Book Depositoryを利用しています。Bokusの事情を反映しているのかどうかは定かではないですが、スウェーデン語書籍の取扱いが急増しています。ちなみにフィンランド語などの書籍もそろっているようです。 さて、夏休みも終

  • ヴァランダー警部のイースタ

    ヘニング・マンケルの警部ヴァランダー・シリーズは、日本での北欧ミステリー・ブームの火付け役ともいえるでしょう。本格ミステリーとは言えないのですが、主人公の心理と市民の目線で見た社会問題がみごとに描かれています。ヴァランダー警部はごく普通の中年男性。不摂生がたたって糖尿病持ちです。自分の老いに対する不安、時代に取り残されるのではないかという不安が繰り返し描かれています。それでも警部としては優秀です。警部42歳から始まるシリーズの中で、認知症の父親や反抗的な娘との関係、そして遠くにいながら互いに惹かれあうリトアニアの女性バイバとの関係がそれぞれのペースで発展していき、シリーズ最終巻の『

  • スウェーデンの刑法改正と同意

    現在翻訳中のスウェーデン作品のテーマの一つは性的暴行。1985年から2011年にかけて被害に遭った女性たちが登場する。そのうちの一人は何年も経ってから「私はあのとき確かに抵抗した」ということを確認しようとする。 2018年の刑法改正で「同意なき性交」はレイプと見なされるようになったが、当然それ以前は違った。そこで1980年代から現在までの刑法のレイプ罪の規定(刑法第6章第1条第1項)の変遷について調べてみることにした。 1984年改正により、男性もレイプ被害者として扱われるようになった。 だが相変わらず暴行や脅迫によって性行為を強要されたことが要件で、被害者が飲酒のため

  • スウェーデン出身のアニメーション監督:ニキ・リンドロス・フォン・バール

    今回は、スウェーデン出身のアニメーション監督、ニキ・リンドロス・フォン・バール(Niki Lindroth von Bahr)をご紹介したいと思います。 NORDISK PANORAMA 2020 などのインタビューでご本人が語っている内容を元に構成しています。Stop Motion Geekのブログ記事(①、②)は、話の内容もさることながら、キャラクター考案時の資料や制作過程の写真が載っていたりして、とても興味深いです。他にも参考にした動画や記事のURLを末尾に掲載していますので、さらに詳しく知りたい方はぜひご参照ください。 トールとトール【※上

  • 幸福な記憶

    昔私は、カップルが遊園地や駅前やフラワーガーデンで点灯されるイルミネーションを見にいく意味が分かりませんでした。大抵はクリスマスや年末で寒い時期なので、そんな時期に灯りを見に行って楽しいの? と思っていました。独身時代の12月、仕事の帰りにどこかの駅前で輝くイルミネーションを見ると、「う~~、寒い。早く帰って鍋つつきたい~」と考えていました。こういうものを見にいくカップルは寒いからこそ寄り添って、愛を深めるのかもしれないですが。 そんな私がイルミネーションの効果に開眼する出来事が起こりました。それは今年、2021年5月の母の日でした。その日一緒に過ごしたのは愛する夫・・・ではなく

  • コロナ禍でのオンライン通訳

    お久しぶりです。今回は同じく言葉を扱うという仕事という括りで、通訳について、それもコロナ禍が始まったあとの仕事の形態がどう変わったかという体験談を書いてみたいと思います。 まずは少し昨年の状況について思い出してみます。 欧州で特に南の国からSarsCovid-19のパンデミックとなった2020年3月第一週、最後のお客様たちと4日間の対面での通訳を終えていました。 この方々はもうどうしても延期できないプロジェクトがあり、そのために来られていたのですが、社内調整も大変だったと伺っています。 その後、依頼のキャンセルや無期延期のメールがばたばたと受信箱に入ってくるようになりました。 年

  • Books from Denmark2021年上半期の選書リスト(フィクション)――デンマークのユニークな新興出版社が大躍進

    Books from Denmark2021年上半期の選書リスト デンマーク芸術基金がデンマークの優れた本を年2回選定、推薦する選書、翻訳推進プロジェクト、Books from Denmarkの2021年上半期の選書リストが発表されました。 フィクション 今回のNOTEでは、フィクション、ノンフィクション、児童書の3つの部門のうち、フィクション編を紹介いたします。 くそったれ――私達が立てた中指を、あなたは涙で洗い流すの? 『くそったれ――私達が立てた中指を、あなたは涙で洗い流すの?』(Suget eller&n

  • アイスランド語の教材について

    アイスランド在住の朱位昌併(あかくらしょうへい)です。 今回は、1)以前noteで紹介したアイスランド語教材についての補足と、その後に受けた、2)2)アイスランド語のワークブックはないか、という質問にお答えしたいと思います。 以前noteで紹介したアイスランド語教材についての補足 去年、以下の通りアイスランド語の教材を紹介しました。 後者「アイスランド(語)を読もう!(初・中級者向け教材)」で取り上げた『Árstíðir』という掌篇集のオーディオブックが4月に発売されていたので、その紹介をします。 Árstíðir (Hlj

  • こどもサピエンス史 ~生命の始まりからAIまで~

    コロナ二年目の夏がやってきましたが、皆様いかがおすごしでしょうか。 私の住むスウェーデン中部はエゾノウワミズザクラもライラックも終わり、今は芍薬や石楠花が咲き乱れています。長引くステイホームに、隣もそのお隣も庭にプール設置工事をしていて、せっかくのよい季節なのに外に座るとわりとうるさいです。私も負けじと芝刈りの猛音で対抗しています。 ちょうど一年前、コロナで県外への旅行が憚られていたときに、普段なかなか訪ねられずにいた日本人のお友達が経営するB&Bに行ってきました。うちから車で2時間ほどのHaveröという自然豊かでクマも出たりする(!)場所で、この地方の人たちには心の故

  • 海馬を求めて潜水を --作家と神経心理学者姉妹の記憶をめぐる冒険

    中村冬美さんとの共訳書が発売になりました! 書籍の内容について、みすず書房の編集者さんが素晴らしい要約を書いてくださりました。 探究心旺盛なノルウェー人姉妹がコンビを組んで、記憶の不思議をめぐる旅へ。海馬はいつ見つかった? 記憶と思い出す場所の関係は? 記憶力をよくする方法とは? なぜ人は忘れるの? 未来を想像するのにも記憶力は必要?――ときに記憶研究の歴史を紐解き、ときに記憶に問題を抱える人たち(テロの生存者、海馬を損傷した人など)を訪ね、ときに記憶のスペシャリストたち(研究者、タクシー運転手、チェスのグランドマスター、舞台女優、オペラ歌手、記憶力チャンピオン、未来予測家など

  • イラストレーターの起用も戦略!?

    いうまでもなく書籍の<命>はその中身です。あらかじめ書評や広告、あるいは知人・友人や図書館司書の紹介などで、その書籍のことを事前に知っている場合は別として、書店などで初めてその書籍のことを知った人たちに手にしてもらうには、タイトルや装丁が鍵になる、と思っています。 そこで今回は、フィンランドの児童書で、戦略的に挿絵を使っているに違いない、と思われるティモ・パルヴェラ(フィンランディア・ジュニア賞なども受賞している、フィンランドの代表的な現代児童文学者)の作品『エッラと友だち』シリーズをご紹介します。 パルヴェラが『エッラと友だち』シリーズの第一作を出したのは19

  • 大手オンライン書店以外から本を買う(スウェーデンの場合)

    日本にいてスウェーデンの本を物理的に手に入れようとすると、選択肢は限られてきます。出版されるほとんどの本が取り揃えられている大手オンライン書店はスウェーデンにもいくつかあります。けれども、国外への発送はあまり盛んではなく、ヨーロッパ圏外への発送を行っている書店はたったのひとつだけなのです。その唯一の書店 BOKUS は1997年創業と、スウェーデンでは老舗のオンライン書店です。ちなみに、BOKUS に先駆けること3年、1994年創業のアマゾンは、スウェーデンには長らく進出していませんでした。昨年秋にスウェーデンでもサービスが始まりましたが、現時点では国内発送のみとしています。

  • 北極圏ミステリーはいかが?

    以前、グリーンランド人をヒロインとする冒険小説『スミラの雪の感覚』について書きました。 この小説の舞台はほとんどコペンハーゲンで、氷に覆われたグリーンランドは少し出てくるだけです。今回はグリーンランドの普通の生活を描いた小説をご紹介したいと思います。 グリーンランドというと南極のようなイメージを持っていた私ですが、2016年7月に研究集会でグリーンランドのイルリサットを訪れる機会があり、それまでのイメージが塗り替えられました。 イルリサットの町中を歩く人々はアジア系の顔立ちが目立ち、みなさんよく日焼けしています。イルリサットの7月は快適で、Tシャツだけの人もいますし、ジャ

  • 北欧理事会/会議文学賞の日本での認知を広めたい!②

    スウェーデン系フィランド人作家にご注目を! 前回の①の記事で、北欧理事会/会議文学賞(Nordisk Råds litteraturpris/The Nordic Council Literature Prize)の概要と邦訳されている作品をお伝えした。 ①の記事に書いた通り、本賞受賞作の大半は未邦訳なわけだが、とりわけスウェーデン語系フィンランド人作家による重要な作品が未邦訳なのが気になる。ムーミン・シリーズが特に有名で、今年、本会の久山葉子さん翻訳で自選短篇集が発売されたトーベ・ヤンソンなども、スウェーデン語系フィンランド人作家だと言うと、分かりやすいだろう

  • 映像翻訳における「ら抜き言葉」の現在地

    最近、ら抜き言葉が気になる。身の回りの会話や文章で、たくさんのら抜き言葉に遭遇する。みなさんも普段、日常的に使っていると思う。もしかしたら「正しい(あるいは美しい)日本語ではないから撲滅すべき」という反対派の人もいるかもしれないが、個人的には、言語学を学んでいた立場から、ら抜き言葉は日本語の変化の1つであり、抗いようのないものだと考えている。言語学は言語の正しさを定義するものではなく、言語そのものを観察し研究する学問なのだ。言葉は移ろいゆくものであり、その変化こそが面白いと思う。 だから「気になる」というのは「言葉の乱れを指摘したい」という意味ではない。字幕や吹き替えの翻訳をし

  • 『ゴリランとわたし』 とっても愛おしいゴリラのママの物語

    5月の第2日曜日は母の日。 母の日にぴったりの児童文学を一冊紹介したいと思う。 その本は『ゴリランとわたし』 作:フリーダ・ニルソン 訳:よこのなな 絵:ながしまひろみ ~主人公ヨンナは児童養護施設『ヨモギギク園』で育つ9歳の女の子。 ヨモギギク園の子どもたちはいつも園長のヤードに、布団干しや掃除、ジャガイモの皮むきなどに追い立てられている。 時々子どもが欲しい大人がやってくると、子どもたちは品評会のごとく整列させられ、自分が選んでもらえないかとドキドキしながら待つ。 ある日ヨモギギク園に子どもが欲しいという人・・・いやゴリラがやってきた。誰もが怖がって蜘蛛の子を散らすように

  • 翻訳に意外と(?)役立っていること4つ

    翻訳者として仕事をしていくには、原語(私の場合はスウェーデン語)の理解を深めること、日本語力を磨くこと、本をたくさん読むこと、調査力を上げること、これらの努力が最低限であり近道はないと断言できますが、そのほかに「意外と役立つな」と思うことはたくさんあります。中には偶然の産物も多く、たまたま接した漫画や映画に、友人との会話に、遊びに出かけた先に、そのとき取り組んでいる翻訳のヒントが隠れていた、などということはしょっちゅうです。 私は中学からキリスト教系の学校に通っていたため朝の礼拝や聖書の授業があり、当時ははっきり言ってお昼寝の時間でしたが、それでもなぜか頭に残っているキリスト教や

  • 北欧理事会/会議文学賞の日本での認知を広めたい!(前半)

    英語圏には、ピュリッツァー賞、ブッカー賞、カーネギー賞など、日本でも知られる賞があまたある。 北欧語圏の文学賞は、どうだろう? ガラスの鍵賞や、スウェーデンのアウグスト賞受賞作の邦訳は案外進んでいるので、名前を耳にしたことのある人もいるかもしれない。 だが他にも知られるべき北欧の大きな文学賞がたくさんある。そのうちのひとつが、北欧理事会/会議文学賞(Nordisk Råds litteraturpris/The Nordic Council Literature Prize)だ。ちなみに北欧理事会とするか、北欧会議とするかは話が長くなるので私のHPにまとめている。

  • アイスランドのバラ

    オイズル・アーヴァ・オウラヴスドッティル(Auður Ava Ólafsdóttir)の小説『Afleggjarinn』が、神崎朗子さんによって翻訳され、『花の子ども』として早川書房より刊行されました。 以下のリンク先で冒頭が公開されています。 とても美しい装幀のようですので(筆者はまだ実物を手に取れていません)、見て触れて堪能していただきたい本ですが、電子書籍版もあります。 実は、縁あって本作の解説を書きました。 この解説では、作者オイズル・アーヴァの紹介や、作品が執筆された当時のアイスランドについて述べ、作中で重要な役割を果たす八弁の

  • あとがきには書けなかった『メッセージ トーベ・ヤンソン自選短篇集』翻訳裏話

    春になる頃にはパンデミックも収束傾向にあるだろうと思っていたら、意外とそんなこともありませんね。 わたしが住んでいるVästernorrland県は人口密度が11,3人/km²で、ストックホルム県の約32分の1という広々した場所なのですが、なぜか今、国内でもっとも感染拡大率が高くなっています。町中はもともと人がまばらで、今も密な場面を見かけることはないのですが、なんなんでしょうね……。当県ではついに公共の場所でのマスク着用推奨(2004年以前に生まれた人のみ)が発令されたので、人生初のマスク生活の始まりです。日本の皆様が大先輩に見えます。 さて、今日は最新訳書のことを少しお話させ

  • フィンランドの「歯のお手入れ」と「文芸作品で扱われた歯をめぐる物語」

    先日、重い腰を上げて歯科医院の門をくぐりました。そこに残されていた記録によれば、今回の受診は10年ぶりとのことでした。かねてから口腔衛生、特に、普段の歯のお手入れは、歯の疾患予防にとって極めて大切なことだということは分かっていても、あのキュイ~ン!? という高いモーター音が口の中で響くことを想像するだけで腰が引けてしまいます。 毎回担当する記事をアップすると、次のネタはどうしよう、とすぐ考え始めるのが常ですが、ちょうどそうしたときに久方ぶりに歯科医院の診察台に座ることになり、そこで自分の口腔内のレントゲン写真を見ながら、あたかも神の啓示のごとく「歯とフィンランド」をテーマにしよ

  • スウェーデン北部地方の文学フェスLITTFEST

    オンラインの打ち合わせやイベントが当たり前のようになってはや1年。当初は「オンラインなら、これまで参加できなかったイベントに参加しやすいかもしれない」と思ったものの、なかなかそんなには参加できるはずもなく、あれも聞きたかった、これも観たかった、ということが続いています。とはいえ、世界中のイベントにアクセスしやすくなっているのも事実です。 毎年3月の半ば、第11週目の木曜から土曜の3日間に、スウェーデンの北の都市ウーメオで開かれる「Littfest」という文学フェスティバルがあります。2007年から開かれているこのイベントは、当初は出版業界の商業化に反旗を翻す草の根運動として始

  • 復活してほしいグリーンランドの小説

       『ミステリーズ!』(東京創元社)はミステリーに関する月刊誌です。その中に「私はこれが訳したい」という連載記事があり、2020年6月号では久山葉子さんが『スミラの雪の感覚』について書いていました。この本は英語版からの重訳で、しかも今は絶版になっています。この記事を読んで、「そうだよ!北欧語から直接訳せる翻訳者さんたちが何人もいる今こそ、この本の新訳を出してほしい!」と思いました。この本はグリーンランド人がヒロインの小説です。 グリーンランドにはもともとイヌイット(エスキモー)が住んで採集・狩猟・漁労生活を営んでいました。1720年代にデンマーク=ノルウェー

  • ノルウェーで売れてる本 2021-03-15

    ノルウェーのオンライン書店 Adlibris の総合ランキング・トップ10から、ノルウェー語原著を紹介します。 第2位 Fremtidspiloter(未来のパイロット) Mia Börjesson 十代の親になるということは、変化の時代にいるということ。子どもは自分の進路を決めるパイロットになりつつある。航空管制塔にいる親は、新しい役割を見つける必要がある。 著者は、一般向け心理学の本を10冊以上執筆しているベテラン。本書は2013年発行だが、価格が下がったので売り上げが急上昇した。 第4位 Beredskapshagen(非常時用菜園) Maria Nordrum,

  • 粒ガヤを作ってみよう!

    翻訳の仕事を始めてからずっと字幕翻訳ばかりやっていたのですが、最近になって吹替翻訳に関わる機会に恵まれました。吹き替えは翻訳学校のカリキュラムの一部として少し習ったくらいで、ひと通りの知識はあったものの、仕事として20〜30分の映像を1本まるごと訳すことなど初めてでした。最初は『何これ字幕の100倍大変なんだけど!?』と思いましたが、アニメやドラマ作品の吹き替えを何話か経験した今は、『100倍は大げさだったけど、やっぱり字幕の3倍くらいは大変な気がする……』というところに落ち着いています。 吹替翻訳の難しさ なぜ3倍大変なのか? それは私の経験&力不足によるところも大きいと思

  • 『よるくまシュッカ ぐっすりねむれる あいの ことば』

    私ごとで恐縮ですが、3月18日『春の睡眠の日』に発売される、拙訳 『よるくまシュッカ ぐっすりねむれる あいの ことば』 を紹介させてください。 春眠暁を覚えずと言いますが、みなさん夜しっかり眠れていますか? 自粛ムードが続くと、お出かけもままならず、運動不足も続いて夜ふかしになってしまう方も多いのではありませんか? 特に体力がありあまっているお子さんは、夜ベッドに入っても興奮してしまってなかなか眠れない、そんな日々が続いていませんか? 『よるくま シュッカ・・・』はそんな時にぴったりの、眠りのメディテーションの絵本です。 『よるくまシュッカ ぐっすりねむれる あいの ことば

  • デンマークで売れてる本 2021-02-22

    デンマークのオンライン書店SAXOの2021年2月22日付トップ8から、デンマーク語の本を紹介します。 第1位 Skaberen, Taberen, Frelseren?- Historien om Dansk Folkeparti (創設者、負け犬、それとも救世主?:デンマーク国民党の歴史) Mikkel Faurholdt & Søs Marie Serup 1995年に設立された移民嫌いの右翼政党、デンマーク国民党に関するノンフィクション。 第2位 Pigen fra det store hvide skib(大きな白い船の若い女性) Mich Vraa

  • 北欧語翻訳の話をしよう(1)

    翻訳について話す勇気 この北欧語書籍翻訳者の会が2018年10月にはじまって早2年。北欧語の翻訳家同士がつながり合って協働することを主な目的としてはじまったこの会では、会員の皆さんとともに様々な活動を行ってきました。この場を借りて、この会を支えてきてくれた皆さんに、お礼を申し上げます。これからは知らず知らずのうちで自然と感じてしまっていた責任や肩の荷を下ろして、一会員としてもう少しリラックスして楽しみながら、北欧語翻訳の発展という大きな課題に、微力ながら寄与できたら嬉しいです。 この会をはじめようと呼びかけた目的は、自分が学びたい、もっと翻訳者として成長したい、という学習者と

  • アイスランド語絵本の紹介―銅像と女性

    2020年に出版されたアイスランドの絵本や児童書を気の向くままに読んでいると、内容のまったく異なる二冊の本に、とある銅像についての同じ旨の言及があることに気がついた。アイスランドに最初に植民したとされるインゴウルヴル・アルトナルソン(Ingólfur Arnarson)の銅像についてである。 (Image by Marcel S. from Pixabay) この銅像は、1924年に彫刻家エイナル・ヨウンソン(Einar Jónsson)によって作られ、首都レイキャヴィーク(Reykjavík)のアルトナホウトル(Arnarhóll)という小丘の頂きに設置された。元を辿れ

  • 出版翻訳家になんてなるんじゃなかった⁉

    2020年11月の刊行直後から翻訳者仲間の間でも話題になった『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』(宮崎伸治、三五館シンシャ発行、フォレスト出版発売)。翻訳者あるいは翻訳者志望の方は必ず読んでおいたほうがいい本だと思うので、ここで紹介させていただきたい。 まず目を引くのが刺激的なタイトル。「出版翻訳家なんてなるんじゃなかった」なんて言われてしまったら、すでになってしまったわたしはどうしたらいいんだ……とおろおろしつつ、買わずにはおれなかった。 翻訳家になるという夢を実現させた宮崎氏。その優秀さからあっという間に引っ張りだこになり、30代の10年間で50冊もの訳書を出すに至っ

  • 2020年刊行 フィンランドで人々の琴線に触れた作品から

      新しい年、2021年が始まりました。さて唐突ですが みなさまは普段、「次に読む本」をどのようにして見つけておられますか? 計画的・戦略的に選んでおられますか? それとも、適当に目についたものを選んでおられますか? 今年もぜひ北欧、そしてフィンランドで誕生した本をお読みいただければ、幸いです。そのために、これまで同様、私たちも読み甲斐のある書籍や素敵な映画の数々をご紹介したいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。 ということで今回は、そうした想いを乗せて、2020年にフィンランドでよく読まれた本の中から、日本語訳が出ると嬉しい、気になった作品をいくつかご紹介

  • スウェーデンのマンガ出版社GALAGO(2020年の私的リスト)

    のっけから私事で恐縮ですが、初めての訳書がもうすぐ刊行される予定です。リーヴ・ストロームクヴィストというスウェーデンのマンガ家の最新作(原書刊行は2019年)『21世紀の恋愛 いちばん赤い薔薇が咲く』です。彼女の作品は、2018年に花伝社から『禁断の果実――女性の身体と性のタブー』(相川千尋さん訳)が刊行されており、今回は日本語版2作目となります。刊行は同じく花伝社です。 ストロームクヴィストの作品は、GALAGO というスウェーデンの老舗マンガ出版社から刊行されています。彼女がマンガを描き始めた2000年代初頭には女性マンガ作家はまだ少なく、年長の男性マンガ家からは「女性の

  • 北欧のビール巡り――ヘルシンキ、ヨーテボリ、レイキャビク

    Juodaan hyvää olutta Pohjoismaissa -- Helsingissä, Göteborgissa ja Reikjavikissa 旅行先で雰囲気のいいお店を見つけて、ひとりビールのグラスを傾けるのは私にとって至福のときです。今回は女性ひとりでも行けるおいしいクラフトビールの店をいくつかご紹介しましょう。 Minusta on autuuden hetki juoda rauhallisesti lasin olutta yksin baarissa matkalla. Haluaisin esitellä baareja, joiss

  • 2021年もよろしくお願いいたします

    新年あけましておめでとうございます。 昨年は北欧語書籍翻訳者の会に注目してくださり、ありがとうございました。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。 昨年の北欧語書籍翻訳者の会のプロジェクトを振り返ってみますと… ◎内部での翻訳学習会 6月14日 1時間半 進行役はヘレンハルメ美穂さん。 翻訳課題書はイサク・ディネセン著『アフリカの日々』。 事前準備:参加者はそれぞれ1ページ弱を訳し、ネットに上げる。つまり、各自の訳文を読めるようにする。他人の訳文にマーカーで色を付けていく。 ピンク=良い翻訳だと思った文。 ブルー=改善の余地ありの文。(悪文ってことです) グリーン=意味がわか

  • 2021年北欧映画のススメ

    まもなく新しい年がやってきます。少々気が早いのですが、来年も北欧映画がアツい!ということで、2021年に公開・上映が決まっている作品をご紹介したいと思います。 わたしの叔父さん 原題 Onkel(英題 Uncle)/監督 フラレ・ピーダセン デンマークの農村で、体の不自由な叔父と一緒に暮らし、酪農を営むクリス。穏やかな日々に訪れる転機と彼女の選択。2019年の東京国際映画祭でグランプリを受賞した作品で、一般公開の報を聞いてからずっと心待ちにしていました。主演の2人を実の姪(元獣医)と叔父(酪農家)が演じており、人物と少し距離を保った構図やキッチンの固定カメラ

  • 『ミレニアム』以前のスウェーデン・ミステリ史

    激動だった2020年も終わりに近づいていますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。私はふと思い立って仕事部屋の掃除を始めたところ、6〜7年前に大学で受けたミステリ史講座のノートが見つかり、懐かしくなって読み返してしまいました(掃除は中途半端のまま)。当時、参考文献を読みながら頭を整理するためにつくっていた「英米ミステリがスウェーデン・ミステリに与えた影響」の図も発見。何年も前にイベントでお話ししたことはありますが、情報を広めたことはなかったので、そろそろ放流の時期かと思い記事を書きます。 スティーグ・ラーソンの『ミレニアム』三部作が世界中でヒットした2010年ごろ以降、スウェーデ

  • Books from Denmark(後半 ノンフィクション、児童書)

    Books from Denmark後半 前回に引き続き、デンマーク芸術基金によるデンマークの書籍選書、翻訳推進プロジェクト、Books from Denmarkの内容を要約いたします。前回はフィクションをご紹介いたしました。後半で取り上げるのは、ノンフィクションと児童書です。 ノンフィクション 前回同様、文学評論家のNanna Mogensenさんが、今年の秋の要注目ノンフィクションタイトル7作に見られる傾向について動画で説明しています。 ●どうしたらより幸せな人生を送れるか どうしたらより幸せな人生を送れるかというのが、今秋のデンマークのノンフィクションで人

  • Books from Denmark(前編 フィクション)

    Books from Denmark デンマーク芸術基金によりデンマークの優れた本を紹介、推薦する選書、翻訳推進プロジェクト、Books from Denmarkの内容を要約させてください。 Books from Denmarkのサイトはこちら 上のリンクをクリックすると、1つ目の動画が観られます。 文学批評家で、デンマークのラジオの文学番組の司会もしているNanna Morgensenさんが次のようにお話されています。 「ようこそ、Books from Denmarkへ。芸術基金は今秋の注目作30冊を選定しました。このHPで、フィクション、ノンフィクション、児童

  • 10周年

    書籍翻訳の仕事を始めて、おかげさまで10年が経とうとしています。 2010年1月に、2歳直前の娘を連れて家族でスウェーデンに移住し、異国で失業者としての人生が始まりました。就職活動中から保育園に預ける権利があるスウェーデンの制度にはとても助けられましたが、地方都市ということもあって就職活動は簡単にはいきませんでした。(当時の奮闘については、著書『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』をご参照ください) そんな中、ある感動的な本に出合ってどうしても日本に紹介したいと思い、スウェーデンの老舗作家エージェントのドアを叩きました。そこで勧められたとおりにフランクフルトのブックフェアへ行

  • 『ヘルシンキ・ブックフェア2020』オンライン開催

     フィンランドの本好き、読書好きにとって、一年の中での最大のイベントと言えば『ヘルシンキ・ブックフェア』。例年、10月最後の水曜日から週末にかけてメッセ会場で開催されます。(実は、ヘルシンキでのブックフェアよりも1か月ほど前に、古都トゥルクでも例年ブックフェアがあり、そのブックフェアは、今年は中止になりました。)そのブックフェア、今年は、ご多分にもれずコロナ禍の影響で、全面的にオンラインでの開催になりました。自由に海外渡航ができない状況の中で、このような形式のブックフェアは、例年それに参加している身には、とても嬉しい開催形態でした。トップ画像は、出版各社が「オンライン開催に

  • いつでも物語を楽しめるように――短編小説専門出版社の試み

    今年もヨーロッパ文芸フェスティバルが開催されます。昨年は、北欧語書籍翻訳者の会として、初日にメンバーでずらずらと登壇させていただきました。聴衆としてもたくさんのセッションに参加することができ、とても濃密な時間を過ごしました。会場の雰囲気がとても和やかだったことも印象に残っています。各国を代表する作家である登壇者のみなさんと聴衆との距離が近いように思えました。 今年はオンラインがメインの開催とのこと。普段はなかなか東京の会場まで行くことができない、という方には朗報ではないでしょうか。11月20日(金)から27日(金)までの1週間、様々なイベントが企画されているようです。 ま

  • 北欧の現代建築巡り コペンハーゲン、マルメ、レイキャビク

    コペンハーゲンのホテル・ベラ・スカイです(トップ画像も)。 飛行機でたまたま北欧現代建築の研究者の方と隣どうしになって、著書を見せていただきながらお話をうかがって以来、ずっと北欧建築に惹かれています。今回、魅力ある北欧の建築物をいくつかご紹介したいと思います。 ホテル・ベラ・スカイの建物は見る方向によって全く形が異なります。いったいどうなってるの? この建物はコペンハーゲンからマルメへ行く電車の中から見えていて、一度は泊まりたいと思っていたのでした。客室はこんな感じです。 電車から見えたもう一つの気になる建築物です。これはスウェーデンのマルメにあるエンポリアというシ

  • ノルウェーがお勧めする秋の自然科学書

    NORLA(ノルウェー文学海外普及協会)から2020年秋の推薦書が発表されました。さすが自然科学書大国ノルウェー、ノンフィクション部門には興味深い作品が並んでいます。いくつかご紹介しましょう。 *豚について* Kristoffer Hatteland Endresen (E) A little like us: A pig's tale (N) Litt som oss. En fortelling om grisen 豚のイメージは不潔で貪欲。でもこの50年、人間がもっともたくさん食べてきた獣肉は豚肉。それに豚は人間にとって、かけがえのない医療モデルでもある。そ

  • DVD特典映像の裏側

    DVDやブルーレイディスクをレンタルしたり購入したりするとついてくる、特典映像や音声解説(オーディオコメンタリー)。近頃、動画配信サービスに対抗する策として、特典の内容が充実してきているそうです。ときには本編より面白いと話題になるようなものもあります。私自身は普段、DVDを見ても本編だけで満足してしまって、なかなかオーディオコメンタリーまでたどり着くことができないのですが、そのような特典はDVDを見たり買ったりする際の楽しみの1つだと思います。 しかし、字幕演出家・落合寿和氏が著書『英語字幕ナビ』で「本編より作業が大変な音声解説の翻訳」と言っているように、とくにオーディオコメン

  • 人の手によって変わりゆく地球を、どう書くか――北欧の“エコ文学”

    私事になりますが、この秋、スウェーデンのルンド大学で“現代エコ文学”のオンラインコースを受講しています。こちらの大学で勉強するには、みんなでいっせいに入学して卒業するという形である必要がなく(そういうプログラムもありますが)、コースごとに登録するのが簡単で、パートタイムのコースやオンラインコースも豊富なので、働きながら勉強している人がたくさんいます。今秋はみなさまご承知の事情により、オンライン開講のコースがぐんと増えており、手放しで喜べることでないとはいえ、勤労パートタイム学生としてはありがたい状況です。 私はスウェーデン語の翻訳者ですが、長年の環境オタクでもあるので、エコ文学と

  • スウェーデンで売れてる本 2020-10-12

    スウェーデンの書店 Akademibokhandeln からベストセラーを紹介します。 第1位 Klar himmel(晴れわたる空) Kristin Fägerskjöld 第二次世界大戦中の3人の女性を描いた小説。 ストックホルムに住む秘書の Karin は情報を秘密裏に伝える仕事を引き受ける。Violet は留学中の子どもを心配するあまり、安全なスウェーデンを離れて空爆にさらされるロンドンを目指す。Leonie はイギリス空軍のパイロットだが、ある日、自転車で誰かをひいた時にすべてが一変する。 戦後60年経ってから Karin は屋根裏部屋で古いスーツケースを見つけ……

  • アイスランド(語)を読もう!(初・中級者向け教材)

    前回、アイスランド語初学者向けの教材などを紹介しました。 そこで書いたとおり、アイスランド大学が提供する無料のオンライン教材Icelandic Online には、初学者向けだけでなく、中級・上級者向けのテキストも載っています。けれども、Icelandic Online 以外の教材も欲しい!と思う学習者や、SNSで使われる表現など、より実際的なアイスランド語を学びたい!と思う学習者もいるかもしれません。 以下に紹介する本は、そんな方にお薦めする一冊です。日常的に目にする生(なま)のアイスランド語に近い表現が少なくないので、そのことを頭の

  • アイスランド語を学んでみよう!(初学者向け教材)

     「アイスランド語を勉強したいのですが、どんな教材がおすすめですか」と、ときおり訊かれるので、初学者用のアイスランド語教材をいくつか紹介します。 対人で教えてもらいたい場合 先日、駐日アイスランド大使館が、次のようなTweetをしていました。 講師を務める宮城学先生は、筆者が日本の大学でアイスランド語の授業を取ったときに教師だった方です。きっと今でも懇切丁寧に教えられているでしょうから、独学でなく、日本語でアイスランド語を教わりたいのであれば、この講座がよさそうです(筆者がディラ国際語学アカデミーで授業を受けたことはありません)。 独

  • 読書の秋、日本からでも視聴できるスウェーデンの文学イベント!

    こちらスウェーデン中部スンツヴァルはすっかり涼しくなり、紅葉も始まっています。 秋といえば「読書の秋」。例年なら9月末にヨーテボリで北欧最大のブックフェア、11月にはスンツヴァルで私も実行委員会に参加しているスウェーデン・ミステリフェスティバルが開催されます。 しかし今年はコロナで何ごとも例年通りにはいきませんね。どこのイベント主催者も試行錯誤を重ねていることと思います。 ヨーテボリのブックフェアは35年間で初めて、デジタルのみで開催されることになりました。スウェーデン・ミステリフェスティバルのほうも会場のチケットはたった50枚に限定し、その代わり初めてデジタルでも中継すること

  • 新語・流行語 フロム フィンランド2019

    早いもので2020年も余すところ、残り3か月と少しになりました。その今年、流行語大賞に確実にノミネートされるのは、新型コロナウィルス禍の中で生まれた「三密」「ソーシャルディスタンス」「withコロナ」あたりでしょうか。 辞書に、新語や流行語が採択されるのは<一般語として広く定着した>と認識されてからなので、その言葉が生まれてからある程度の年月を要することは、『舟を編む』(三浦しをん・著)光文社文庫で広く知られるようになりました。そしてこの小説(や映画)は、国語辞書の編纂者や編集者たちの新語集めの作業など辞書作りの舞台裏を教えてくれました。 また「新解さんの謎(赤瀬川源平

  • むずかしいカタカナ

    カタカナのむずかしさ カタカナ表記で通じそうな語句を訳すのはむずかしい、というのは翻訳者はみな思うことではないでしょうか。カタカナ表記で日本語に(ある程度)浸透してしまっている語句であれば、さほど迷うことはないかもしれませんが、微妙な語句は悩ましいものです。 自分が訳しているスウェーデン語でも「英語のカタカナ表記にすべきか、和名にすべきか」と悩むものは多くあります。スウェーデン語がそのままカタカナ表記で日本語として使われているケースはあまりないため、そこで迷うことはほとんどありませんが、「ここであえて英語のカタカナ表記を用いるべきなのか」と迷う場面はよくあります。 植物のむ

  • ヘルシンキの書店でミステリー巡りを

    トップの画像はヘルシンキのアカテミア書店です。アルヴァ・アアルト設計の天窓のある建物が素敵です。 2階にはカフェ・アールトがあって、お茶だけでなくランチもできます。 カフェ・アールトのサーモンサンドイッチ。サーモンもアボカドもたっぷりでパンが見えません。美味しかった。 腹ごしらえして、ミステリーの棚に臨みます。書店に行くとほとんどの時間ミステリーのペーパーバックのあたりで過ごすのですが、ここのミステリーのペーパーバックは、フィンランド語、スウェーデン語、英語がそれぞれ充実しています。写真はスウェーデン語の棚ですが、実際はスウェーデン語だけでこの倍はあります。英語、フ

  • ノルウェーの脳科学本と設計会社

    私は現在、ノルウェーの脳科学本を翻訳(共訳)している。すると、なんとそこに、前回のnoteで紹介した設計会社Snøhetta(スネーヘッタ)が出てきた! この脳科学本のテーマは「記憶」で、その中で「未来を思考することと過去を回想すること」の関連が述べられている。 未来を想像することと過去を回想することは、脳にとっては似たような活動であること、 また、 独創性を高めたければ、過去を思い出すことが有効-- などの事例がその本には紹介されている。 (興味深い話満載の本なので、出版された暁には、ぜひお手に取ってください!) 建築というのは、将来にその建物がどう使われるのかを考えてデザイ

  • 北欧語書籍翻訳者の会によるプレゼン会2020

    出版社勤務の方、フリーランスの編集者さんにお知らせです。 2020年9月15日、六本木のスウェーデン大使館を会場とし、北欧語書籍のプレゼン会を開催致します。これは、当会の北欧語翻訳者が、日本の出版社に向けて未邦訳の北欧語書籍を紹介する催しです。会場には、紹介する北欧語原書のほかにも、当会の翻訳者たちがおすすめする未邦訳本が展示され、懇親の時間もございます。まだ日本では知られていない北欧語書籍の情報を得るまたとない機会かと存じます。ぜひご参加ください。 日時:2020年9月15日(火)12時30分~15時30分(開場は12時15分) 場所:スウェーデン大使館(東京都港区六本木1-

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