オルフェウスの美学
前回の記事「燃ゆる女の肖像」と関連して、もう少しオルフェウス神話について思うところを綴っていきます。神話をテーマにした絵画はもう五万とあるわけですが、オルフェウスで多くの人が思い浮かべるのはギュスターヴ・モローでしょう。絵画そのものの美しさもさることながら、左上から右下への流れるような構図が素晴らしい。ギュスターヴ・モロー《オルフェウスの首を持つトラキアの娘》1865この神話は絵画以外でもテーマアップされています。フランスの詩人ジャン・コクトーの映画『オルフェ』がその一つ。オルフェウス神話を現代風に構成した作品ですが、その結末は大いに議論を呼びそうなものです。話の内容はというと、詩人オルフェ(オルフェウス)が亡くなってしまった妻ユーリディス(エウリディケ)を取り戻しに冥府へ降るという構成はそのままなのですが、な...オルフェウスの美学
2021/03/30 21:42