文庫本バリア(MP消費0)という魔法の思い出
――1 僕が文庫本バリアという技を習得したのは、中学二年生の頃のことだ。 思春期真っただ中の、ニキビと自意識だけが豊富に浮かび上がる、斜に構えた中学生だった。 その頃の僕はとにかく何かにつけクールキャラを気取ったり、実際は何も考えていないのに何かを考えている風な哲学的な表情を浮かべたりしていた。 実際にクールキャラとして認識され始めてくると、無上の喜びを覚えたものだ。 しかし、そのキャラクターの全てが作りものだったのかと言われると実はそうではなく、7割くらいが僕の生来の口数があまり多くない性格に由来していた(社交辞令や1対1のトークには自信があるのだが……)。 基本的に教室の中の喧噪が苦手だっ…
2020/10/18 00:43