小説「アキラの呪い」(24)
私は哀れな義弟を見つめた。孤独な義姉に付き合い、いつか自分自身をも手放しそうな青年を。この手をいつか手放す時が来るだろうと予感していた。ずっと怖かった。自分の辛辣さが無神経さが傲慢さが臆病さが彼を壊してはしまわないかと。昔から歩は不思議なほど私に懐いた。ニコニコと絶えず笑いながら纏わりついた。それがだんだん不快でなくなっていくことに気がつくのが遅れてしまった。いつのまにか弟は水無瀬晶に溶け込んでいたから。彼にあまりにも依存しすぎている。その自覚の次に訪れたのは強烈な恐怖の感情だった。これを失ったならどうなるのだろう。きっと私の日常を構成するありとあらゆるすべてが崩れ、壊れてしまうはずだ。この義…
2025/05/23 21:20