小さき花-第2章~7
8時頃になると父は迎えに来ておりました。その途中私は天空を仰いで星を見る事が無上の楽しみでした。空は清く澄み渡って、真砂のように沢山の星がキラキラと、小さな光を輝かしております。時折T字形の星座が見えると「お父さん御覧なさい、私の名が天に書いてあります」(テレジアをローマ字で書くと、初めの字はTの字)と歓び、儚きこの世の事を打ち忘れ、ただ天上ばかりを仰ぎ見つつ、父に手を引かれて家へ帰るのでした。冬の夕べについてお話しすれば、姉達がしばらく遊んでのち、代わる代わる「聖年紀要」とか「聖人伝」等をみんなに読み聞かせた後、また面白くて為になるお話しを聞かせてくれました。その間、私は父の膝の上にいますが、講和が終ると、父は私は眠らせるためのように、美しい声でメロディー面白く歌ってくださるので、私は小さな頭を父の胸のあたり...小さき花-第2章~7
2021/08/31 12:23