小さき花-第2章~4
散歩が終わって家に帰りますと、直ぐに宿題や復習をして、後で庭園に行って良き父の側で遊ぶのです。しかし私はまだ人形で玩ぶ事を知りませんので、いろいろの種子や樹の皮で薬のようなものを作るのが楽しい遊びでありました。そしてその薬がもし好きな色でも出ると早速立派な茶碗の中に入れて父に差し上げるのですが、父は薬によりも茶碗の美しいために仕事を止めて、微笑みつつ之を呑むまねをしておられました。また私は花を栽培する事が好きでした。私の庭の壁の中に少しでも窪んだところでもあると、そこに小さい祭壇を造り、いろいろの草花でこれを飾るのです。そして祭壇も飾りも出来上がりますと、直ぐに父に知らせますと、父は私の気に入るため、わざと感服するようにして、その手際を褒めておられました。こういうことはまだ沢山記憶に残っておりますが、とても一々...小さき花-第2章~4
2019/12/16 22:03