五月の海・灯台

五月の海・灯台

灯台はすっかり老いてしまいましたそして今はうとうと昼寝の毎日行き交う船は増え続けても灯台はもう働くこともせず丘の上でのんびりと生き続けているのです白いコスチュームに包まれた若い王子様のような姿があまりに美しく遠くから人びとも訪れ眺めたり写真に撮って楽しんだりするので灯台はまんざらでもないのです目を細め伊達男のように襟を正しポーズしてはふっと微笑みやがて寝たふりなどするのです初夏の風そよぎ皐月の空の青に海の青明るく光る若葉の高台に灯台は昔を忍びもせず今を楽しみちょっと粋で幸せな余生をドライに生き続けているのです五月の海・灯台