ボタンを押すだけの簡単な仕事です
こんにちはウルカ。 喧騒が太陽に反射して、空気を揺らす。 やんわりと揺れる街路樹が、それを宥める。 その動きは母親が眠っている子にあおぐ団扇のようだね。 街でガラスの欠片を拾っては、裸の電球にはりつけている。 ひと月ほどかけて完成させた電球を、街で売っている。 この電球も、いつかガラスの欠片となって私に戻ってくるだろう。 やがて出鱈目な光と色を滲ませる電球は、著名な芸術家の目にとまり、作品と呼ばれ、人々に持て囃された。 世界的なアート・オークションに出品され、高額で落札されたそうだ。 私は芸術家とよばれ、作品にタイトルを求められた。 作品にタイトルをつけるということは困難を極めた。 私は文章に…
2019/08/31 14:26