書評:今野敏著、『サーベル警視庁』&『帝都争乱 サーベル警視庁』(ハルキ文庫)
今野敏はこれまで現代を舞台とした警察小説を世に出してきましたが、明治三十八年を舞台とした『サーベル警視庁』は異色です。時代設定の説明をする必要があるため、やや読みづらい箇所があり、話に入っていけるまでに少し時間がかかりましたが、明治の世情、特に薩長閥が幅を利かせ、東北人は冷遇されるような状況がストーリー展開にうまく活かされており、面白い歴史警察小説になっています。第1巻は明治三十八年七月、日露戦争の最中、上野の不忍池に死体が浮かんでいるところを発見されるところからストーリーが始まります。捜査に当たるのは警視庁第一部第一課。岡崎巡査の視点で語られます。殺された帝国大学講師・高島は急進派で日本古来の文化の排斥論者という。同日、陸軍大佐・本庄も高島と同じく、鋭い刃物で一突きに殺されたとの知らせが入り、手口から同...書評:今野敏著、『サーベル警視庁』&『帝都争乱サーベル警視庁』(ハルキ文庫)
2022/12/30 06:14