御恩と奉公のインチキぶりがよくわかる歴史小説

御恩と奉公のインチキぶりがよくわかる歴史小説

鎌倉時代の法華経信者である武士、四条頼基の生涯を描いた池上義一の「四条金吾」(金吾は官職名)には、御恩と奉公という言葉がよく出てくる。四条金吾は北条一門の江間氏に仕える武士であるが、医師(くすし)でもあり、江間家の執事として主君に重宝されている。執事としての能力と医師としての腕によって主君からは相当寵愛を受けてはいたものの、日蓮聖人を慕う四条金吾は念仏好きの殿からやや煙たがられてもいた。また、北条氏が念仏宗に強く傾いていたため、法華の者は迫害も受けていた。四条金吾の他にも武士の中には日蓮聖人を慕う者が多くいた。人を虫けらのように殺して恥じないのが武士であり、わが身のために、罠にはめても人を殺す。他人を陥れて手柄顔をしたがるのが武士であり、それでも武士を捨てることがてきない。武士の業を知り、仏門に逃げること...御恩と奉公のインチキぶりがよくわかる歴史小説