法華玄義 現代語訳 12
『法華玄義』現代語訳 12 〇漸教と生蘇味 幽谷を照らした太陽は、次に平地を照らし始める。あらゆる影は長く伸びて水に映り、さまざまな形が波の動きに従って現われる。仏の世界は本来一つであるのに、その清らかさに違いが現われ、仏の身は本来一つであるのに、その大きさはさまざまに見える。仏の声は一つなのに、その教えは聞く人によって理解が違う。ある人は畏れ、ある人は歓喜し、ある人はうようになり、ある人は疑いを断ち切る。その仏の神通力も異なって現われる。そのために、仏の世界にも清らかさが異なって見え、教えを聞いても違いが生じ、香木の香りも違い、花を美しいと感じても、執着を生じる者もいれば生じない者もいる。智…
2021/11/30 21:36