春のベランダにて
長かった冬もそろそろ終わり。球根からつぼみが顔を出し、ハーブが花芽をつけて春一歩前の気配が漂う。ベランダに出て剪定ばさみを手に植物の手入れをしていて、ふとこんなことを考えた。 命にかかわる病気を経験するのは「摘心(てきしん)」に似ているな、と。園芸に親しむ人ならご存知と思うが、摘心は茎の先端(成長点)を摘んで、枝分かれを促す行為だ。結果、枝数が増えてこんもりと茂った株になり、花も実も収穫が増える。しかし、摘心するのは勇気がいる。必要なことだとわかっていても、今日芽が出るか明日出るかと見守ってきた苗の先端を自ら切り取ってしまうのだから。それでも意を決してエイヤッと摘み取る。 あのまままっすぐ、自…
2017/04/01 02:38