日記
地下鉄駅の地上出口を抜けると、ひたいに一滴雨粒。いつも必ず待つ信号が青だった。高級な制服を着用した小学生が、同級生と会話。取材の受け答えに応じる業界人じみた口調。証明写真の撮影ボックス。ピンクのカーテンの前に壮年の女が一人。白いコート。目があったと思った。少しもあってはいなかった。 駅前のアナウンスで、なぜかエンヤがかかっている。 ポニーテール。手の中の空のペットボトル、丸めたチリ紙。ユメカワカラーの靴と鞄。ジャンパーを羽織る背中。ハンドルに視線を落としながら三輪車を走らせる女児。ギンギラ銀のハンドバッグ。片手離しの原付き。チャイルドシート付き自転車を漕ぐマスクの男。大学生の集団。「疲れたあ」…
2020/02/15 19:21