読書録 旅の匂いのする評論 ― 夏石番矢著『俳句は地球を駆けめぐる』(紅書房) ―
読書録旅の匂いのする評論―夏石番矢著『俳句は地球を駆けめぐる』(紅書房)―金澤ひろあき本を開くとツンと旅の匂いがした。評論集でそのような体験をしたのは、初めてである。読んでいて世界各地を旅する気分になる。旅行記も多い(特に第3章はエッセイで、すべて旅行体験になっている)が、旅行そのものが世界俳句の実践と交流になっている。ところで俳句というと、私達は普通「五七五の定型」で、「季語が絶対」と言った「教え」を思ってしまう。実際、今の日本では、「自由律」は少数派になっていて、有季定型が量産されている。膨大に生産されたそれらは、少しだけ賞味され、消費され、その後、大半は忘れられる。「無力な存在」になっている。また、「俳句は文学ではない。」と言う人もいる。俳句は「無力な消費物」なのだろうか。俳句も含め本来の詩歌は、う...読書録旅の匂いのする評論―夏石番矢著『俳句は地球を駆けめぐる』(紅書房)―
2025/01/16 08:49