百物語 七十回目「KLF」

百物語 七十回目「KLF」

12年ほど昔のことになるだろうか。田舎に造られた、とある企業の研究所のようなところに、仕事で通っていた。いわゆるバブルの時代に山に囲まれた土地を切り開いて、街をつくりだそうとしたところであって。バブルが崩壊するとともに、都市を造り上げる計画も中途半端なところで消えさてしまったらしく。高級住宅街のような街並みが、いくつかの企業の研究所に囲まれるようにあることはあるが。その周囲には延々と里山を切り崩して造ったらしい住宅の建設予定地であろう平地があるばかりで。ひとが住むというにはあまりに人工的な世界であり。子供のころに住んでいた山を切り崩して造ったであろう住宅街とも少し似ていたのではあるが。それ以上…