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2019/01/03

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  • 豆腐のはなし(4)それはほんとに悪いのか

    戦争によりにがりが失われ、豆腐が硫酸カルシウムで作られるようになったのですが、その後豆腐界にはさらなる技術革新が起こりました。新しい凝固剤、その名も、グルコノデルタラクトンです。いかにもおどろおどろしい名前なので、かなりやばい合成物質のように思うかもしれません。しかし、これは蜂蜜におおく含まれる物質で、ミツバチが体内で、 糖(グルコース)からグルコノデルタラクトンを作り出しています。なので、ハチミツ酸とも呼ばれています。 天然ならば安全だ。ということもありませんが、今回の場合、グルコノデルタラクトンのせいで危険な豆腐ができるということはないでしょう。豆腐に使うグルコノデルタラクトンはグルコースを発酵させて作るもので、まるっきり天然ということもありませんが。 さて、グルコノデルタラクトンは、にがりやさらし粉とは違って金属イオン(マグネシウムとかカルシウム)を持っていません。このため、全く違う方法で豆腐を固めます。 まえに、豆乳に含まれているタンパク質はマイナスに帯電しているといいましたが、これには但し書きが必要です。ふつう豆腐になる前の豆乳はpHが中性からアルカリ性になっていますが、この状態ではマイナスに帯電しています。一方、pHが酸性になるとタンパク質がもっているアミノ基のせいでプラスに帯電します。そして、酸性になるちょっと手前のところではプラスとマイナスが釣り合ってゼロになります(等電点)。この状態ではタンパク質同士が反発しあわないので、沈殿し凝固します。これを酸凝固といい、にがりによる塩凝固とはまったくことなります。 グルコノデルタラクトンを豆乳にいれるとグルコン酸に変化しpHを酸性に傾けます。そして、pH4.5くらいのとき等電点となり豆腐が凝固するわけです。すばらしい。このプロセスをみるとむしろにがりより安全?とも思えます。 グルコノデルタラクトンのすごいところは、豆乳がかなり薄くても豆腐になる。ということろこです。これを良い点とおもうか悪い点と思うかはむずかしいところですね。また、加熱するとさらに固まる性質があるので、冷えた豆乳を容器に封入してふたたびボイルすることで固まる。いわゆる充填豆腐をつくることができます。充填豆腐のおかけで豆腐の日持ちが格段によくなりました。これも善し悪しですが。

  • 豆腐のはなし(3)にがりからすまし粉へ

    前回までにがりにまつわる話をしてきたのですが、日本人が大切にしてきたにがりは、戦争のために取り上げられてしまったのでした。 にがりの代用品として使われたのが、すまし粉です。すまし粉は硫酸カルシウム、石膏と同じものです。すまし粉の起源は古く、中国ではにがりとならんで古くから豆腐に使われてきました。 すまし粉はにがりと同じように2価のプラスイオンとなるカルシウムをもっているので、これがマグネシウムと同様の働きをします。ただし、にがりよりも水に溶けにくいため、反応がゆっくりです。その結果、水持ちがよくなめらかな食感の豆腐になりますが、その分水っぽくなるのはいなめません。 このようなわけで、にがりの代わりにすまし粉が使われるようになったのですが、戦後にがりが復活するかといえばそうではなく、結局すまし粉が定着してしまいました。これは、にがり生産の再開が困難だったこととすまし粉の方が作業が簡単で歩留りもいいことが理由です。戦後の食糧難のときに豆腐はにがりでなくちゃなどとは言っていられなかったのでしょう。その後も高度経済成長のなかでにがりは忘れ去られてしましました。 にがりが復活し始めるのは、ようやく1980年代後半一億総グルメなどと呼ばれた時代になってからです。ちなみに、グルメ漫画「美味しんぼ」の連載開始は1983年でした。 つづく

  • 豆腐のはなし(2)戦争のつめあと

    NHK朝ドラで「まんぷく」でまんぺいさんが憲兵につかまってしまうシーンがありましたね(13話)。罪状はジュラルミンの横流し。もちろん、まんぺいさんは無実なのですが、彼がつかまってしまった理由は、当時ジュラルミンが国の管理下にあったことです。 1941年(昭和16年)日中戦争の収拾もつかないまま太平洋戦争に突入した日本では、さまざま物資が統制されるようになっていきました。特にゼロ戦など航空機生産に関わるアルミ産業は、重要産業として早くから統制がはじまりました。このせいでまんぺいさんがつかまってしまうのですが、なんと豆腐もまた大きな影響をうけることになったのです。 1940年(昭和15年)、軍事物資であるアルミを統制するため帝国アルミニウム統制会社が設立され、翌年には、マグネシウムも帝国アルミニウム統制会社の管理されるようになりました(これを受けて1942年に軽金属統制会となる)。ちなみにまんぺいさんが連行されたのは1942年(昭和17年)です。 ここで、なぜジュラルミンの話にマグネシウムが出てくるかというと、ジュラルミンはアルミとマグネシウムと銅の合金だからです。航空機の材料して、アルミは軽いものの強度が弱いため、より強度が強いジュラルミンが必要とされたのです。 さて、昨日のブログにも書いたように、にがりの主成分は塩化マグネシウムです。このにがりからとれるマグネシウムを物資としてみた日本は、全国のにがり工場をマグネシウム生産のための軍需工場化してしまいました。この結果、たかだか豆腐のために大事なマグネシウムつまりにがりを使うことができなくなってしまいました。 とはいえ、すでに経済封鎖のため、アルミ自体も電力も足りなくなっていた日本で、この措置が有効だったかといえば疑問です。 さて、今日は豆腐がほとんど登場しませんでしたが、にがりを失って豆腐はどうなったのか。つづきは明日。

  • 豆腐のはなし(1) にがり

    おいしい豆腐がみつからない。と知り合いがなげく。その方は自分よりふたまわりほど年上だが、昔の豆腐はそんなにうまかったんだろうか。いつも、スーパーで買った豆腐を無頓着に食べているが、本物はやはり違うのか?それとも単なる郷愁なのか・・・ 考えてみると、豆腐は好きなのに、豆腐のことを何にも知らなかったことに気が付きました。これはいけない。ちらっと、ネットをみれば、最近の水っぽい豆腐は凝固剤のせいだケシカランというような記事もあります。本当のところどうなのか。そんなわけで、豆腐の製造技術とその歴史について調べてみました。 豆腐を作るには、まず、大豆から豆乳をつくります。その後豆乳から固形成分を取り除きます。この状態の豆乳は、ほぐれた糸状のタンパク質が水にとけた状態です。 日本の古来の製法では、この豆乳ににがり、つまり塩化マグネシウムを投入します。ここから、なぜにがりが大豆のタンパク質を固めるのかについてみていきましょう。 塩化マグネシウムは、水溶液中で塩素イオンとマグネシウムイオンに分かれています。マグネシウムイオンは元素周期表の左側の方(左から二列目)にあるのでイオンはプラスに帯電します。一方、タンパク質がもつカルボキシル基がマイナスに帯電しているので、これらにマグネシウムイオンがくっつきます。 さらにいうと、マグネシウムイオンが2価のイオンつまり「手」を2個もっているので、タンパク質同士をくっつけあうことでゲル状に凝固し(塩析)、豆腐になるというわけです。なんとも「リクツな」(金沢弁:巧みなの意)。 このように巧妙な仕組みでタンパク質を凝固させるにがりですが、反応が速すぎ、均一に凝固させるのが難しいのです。このため、にがりを使った方法では、豆乳とにがりを混ぜながら固まらせる作業が必要となります。そうしてできたおぼろ豆腐状のものから、固まらなかった部分「ゆ」を取り除き、穴のあいた型にいれて圧縮して作るのが、木綿豆腐です。また、型には木綿の布を敷いて「ゆ」を絞ることから木綿豆腐と現在はよばれます。

  • 雪の日の渋滞をなくすには

    今年は、ここ北陸でも雪がすくなくてとても助かっています。去年の2月はものすごい雪でたいへんでした。もともと南関東出身で、雪というとわくわくしちゃう傾向があるわたしですが、さすがに辟易したものです。もっとも困ったのが、通勤。首都圏とちがって車社会ですから、どんな雪でも車で道路にでてくる。いや、子供を送るなどの理由でいつもより多いのかもしれない。とにかくものすごい渋滞でした。 早く会社につかねば。などとかけらも思っていないんですが、何が憂わしいかといえば排気ガスです。どいつもこいつも無駄にもくもくCO2出しくさって(自分もですが)、ちょっとは地球のことを考えなさい!とね。 しかし、車は走れば排気ガスがでるものです。それは仕方がない。ではどうするか。そんなことをつらつら考えながら、渋滞の列から他の車をみていると、各車には、たいがい一人多くて二人しか乗っていない。むだに大きい車でも。カクユウ私もひとり運転席に座っているのです。乗り合いすれば、車が減るなあ。とそのとき思いました。普通の車には4人か5人乗れるのですから、乗り合いになれば車の数が4分の1から2分の1くらいに減らすことができます。 そのときはあまりまじめに考えていなかったけど、今思うにスマホアプリや税金の優遇を使えば不可能ではないか?基本的な方針としては、 利用者はプロフィール、基本的なコースと時間、運転したいかしてもらいたいか、を登録しておく。システムが最適な組み合わせを算出して、利用者に提案する。利用者は乗り合いをするかしないかプロフィール等の情報をみて判断し合意すれば実施する。乗り合い実績が多ければ所得税などを減税する。 というような感じで。 懸念されることとしては、このシステムについての収益モデルが思いつかないから、行政がやるしかないけど、行政に具申するのはめんどうだということですね。どこかで社会実験しませんかー。 まあ、あんまり雪が多いようなら仕事やすめばいいのにとも思いますが。

  • 殿、システムでござる

    殿、利息でござる。という映画をみました。もう3年も前の作品ですね。タイトルとパッケージをみたところマネーゲームを絡めたコメディかと思えば、泣かせどころ満載のヒューマンストーリーでした。ま、わたしの映画評論は甘すぎで、「よかったよねー」といっても「そう?」と冷たくあしらわれるのが常なので参考にならないでしょうけども。それでもあえて言おう。これは見るべきだと。 ものすごく唐突ですが、目下、生き物の絶滅は地球史上6回目の大量絶滅じゃないかといわれるほどの勢いです。若いころに、これを何とかせねばならんと思った私は、必要なのは科学、特に生態学で、それを応用した技術だと思いこみました。生き物がどう生きているのかを知れば、適切な対応ができるのではないかと思ったわけです。 しかし、それは大きな間違いでした。生き物を守るためには生き物のことを考えていてもだめなのです。生き物ではなく、人間のことを考えねばならなかったのです。人間のことといっても、だれが悪いやつでどうやって懲らしめてやればいいのかとかではなく、人間がなぜそう行動しちゃうのか、どうして木を伐っちゃうのか、どうしてたばこを車で買いにいっちゃうのか?を考えないといけなかったのです。 たとえば、経済のグローバル化は、世の中でいろいろ問題を起こしてくれますが、グローバル企業で働いている人たちは毎日悪いことをしてやるぜと思っているわけではありません。企業内で出世し、より高い給料をもらったり自己実現するために毎日がんばってくれちゃっているだけです。彼らも家族を養わなければならないし、月末の請求の心配もせねばなりません。ただただ毎日を生きているだけです。 普通のひとが毎日やっとこさ生きているだけなのに、世の中がちょっとずつ住みにくくなる。地域によっては壊滅的に住みにくくなっているわけです。こんなときに、人びとがすることはSNSで愚痴って溜飲をさげるか、どうやったら仙人になれるか考えたりするわけですが、それでは何もかわりません。 そんなわけで映画にもどります。非常に困難な状態にある宿場町が舞台です。横暴な藩のやり方に町は疲弊しきっています。そんなときに、ふらりとやってきた最強の用心棒がばったばったと藩の役人を・・・なんてことはなく、現実的なプロセスに基づいて問題を解決しようとします。

  • キャッシュレス

    キャッシュレス化。最近さわがしいですね。日本では紙幣への信頼性が高いので、海外に比べるとなかなか進まないとのことですが、なんだかんだいってどんどん浸透していくものと思います。だって、携帯電話を思い出してみても、そんなのいらないなーと思っていたのに瞬く間に当然もつべきものになってしまいました。 キャッシュレス化が進んでいくと便利でしょう。財布が小銭でいっぱいになって困ったりしなそうだし。しかし、世の中キャッシュレスが普通になってお金がなくなったら、ご祝いとかも電子決済になるんでしょうか。受付が楽になりますね。お年玉なんかも、ぽち袋(のような紙切れ)にQRコードが貼ってあったり、お賽銭なんかは、賽銭箱にコインを投げ込むゲームをARで楽しめるみたいな。 ま、そういう些細なことはともかく、近年では、お金がお札やコインの姿をしていなくてもひとは全く意に介さないよう近年十分慣らされているので、一般生活は対して変わらないでしょう。数字だけでも欲望を喚起できる。お金の物神性はすさまじいです。 キャッシュレスになって懸念されることとして、ついお金を使ってしまうというような指摘もありますが、それはクレジットカードでも同じだと思います。むしろ、自分の浪費を制限できるアプリなんていうのがでてきそうです。これで年間100万貯められる!とか。 こうやって考えると、キャッシュレスから逃げられそうにないなあ。自分は米本位制にもどしたいくらいなんですけどね。

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