「木下こう処女歌集『体温と雨』(砂子屋書房・2014年)」を読む(其のⅠ)
〇 朝は胸に夕は踵にあるやうな悲しさのためにくつしたを履く 「朝は胸に夕は踵にあるやうな悲しさ」、即ち、全存在に亙る「悲しみ」なのである。 彼は何がゆえに「くつした」を履くのかな? 察するに、件の「くつした」なる履物には、「悲しさ」を和らげる働きがあるのかも知れません。〇 雨垂れの音飲むやうにふたつぶのあぢさゐ色の錠剤を飲む〇 雨の服脱ぎたるそびらや添ひをればゆふかたまけて夏終はるらむ...
2022/09/26 11:05