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  • 8 アリとキリギリス

    お互いの不器用な部分を補い合える夫婦は凄いと感じる。阿吽のように理解し合っているならば、無敵ではないか、とさえ思う。私達がそうである訳がない。 私は自宅までの緩やかな上り坂を歩くのだ。そして駅まで向かう時にその緩やかな下り坂を歩く。台風以外の日は時間を先読みし、歩く。その少額とも思えるバス賃、私はそれも毎度乗ったつもり貯金するのだ。 主人は悠々とそれを飛び越えるのだ。飲みに行けば帰りはタクシーを、メタボ対策にその緩やかな坂を歩こうともしない。果ては、近場のコンビニに行くのさえ、車を出す始末。同じ特急でも有料をいとも簡単に使ってしまう、無料があるのに。 でも私はそれに関係なく節約するのだ。ここま…

  • 7 かために出来ている。

    世の中の常識という曖昧だがハッキリしたもの。 既に法律など文言にて定められていたり、標識のような交通ルールのような絶対的にハッキリしたもの。 主人はルールに厳格である。 ところが常識的である部分が、とんでもなく非常識だったりする。 例えば非常に厳格な職に就いているのに、すっぽり常識的であるべき一部分がすっぽりと抜け落ちているそれに似ている。 私は「普通そりゃないだろ」に数多く立ち会ってきた。 主人はきっとこの部分もあって、大変な苦労をして来た。 私は我慢できない!と主人をとことん遠避けた事があった。 付き合い始めてから1年経った記念日間近の時。 主人とは業種が違う為、繁忙のルーティンも異なって…

  • 6 After all, "Birds of a feather"

    当然、子達と主人を「連れて」出掛ける事もある。 しかし、主人と子達は決まってふっと居なくなる。 決して迷子ではなく「単独行動」をし始めるのである。 手続きを済ませ、順に見ていく私。 だが、いかなる時も主人や子達は先ず各々のお目当ての場所へ飛んでいく。 以前は、本気で探し回って終了が私のコースであった。 館内放送を恥ずかしながら掛けてもらった事もある。 ほんの一瞬目を離した隙に、揃って飛び出していくのだから、私は幾ら体があっても足りなかった。 本当につい最近、私はそのテに慣れた。 そしてご飯の時間が近付くと、着信があり集まる。 昼ごはん、皆でどこで食べるか等、決める間もなく、入っていく。 各々好…

  • 5 鯖と猫

    主人は梃子でも動かない。 私が柔軟に動く事や動かされる事をよく思っていなかった。 しかし、行動となると別だ。 私は動けない、どうやったら身軽に飛び出していけるのだと、主人の背中を見送る。 ある日、ある時から、私は帰りを待つのが自分の仕事と徹するようになった。 平日に週末に動き回る主人を、私は待つのだと決めた。 ある日、ある時、主人の後をといつも追っていたのに、私はそれをやめたのだ。 性分とは全く逆の事をしている。 本当は私は狩りをする人で、主人は育てる人である。 でも、成り立ちから、それは異なってしまっていた。 だから、主人はそれを修正するかのように立ち位置を変えてくれた。 帰宅する時間は遅く…

  • 4 遠距離の理不尽

    まだ私達が遠距離だった頃、主人が私の元に来てくれたのは数える程だった。 いや、数える程でもない程だった。 私は旅費が重なる度に、私は何と都合の良い人間…と感じていたものだ。 何故私だけ行かなければならないのだ。 ある時、そういう思いをするのは旅程が主人一色だからだと気付いたので、違う用事も付け加えることにした。 1研究会 2友人との再会 3兄弟の元 4一人観光 等々。 主人とは同郷ではなかったし、共通する知人はいても共通する友人はいなかったので、だいぶ「何故私だけ」という気持ちを軽減出来た。 1はそれだけで1日が終わる。 主人とは翌日2時間程、ご飯や散策だけで終わってしまった。 2も友人とハシ…

  • 3 孤高のペット

    主人という人に本当に寄り添える友人や存在は少ないのかもしれない。 近付けば近付く程、相手が疲弊する。 主人は疲弊する時もある。 例えば久し振りに子どもの相手をし、子どものペースに散々付き合わされた場合、途中で仮眠を取る事もあれば、夜は早々に眠りに就く。 其れ以外であれば、疲弊しない。 主人から『疲れた』『疲れる』とは聞かない。 誰が主人と合わせられるのだろう。 多分いない。 動き足りないからの理由だけではなく、恐らく主人には気軽に会って(そこまで来たから行くよ)レベルの友人がいない。 予め約束をしなければならない。 人だけではない。 主人は悪気なく約束が無ければ、会えない。 家族の私達ですら、…

  • 2 距離というものは

    必要以上に近付くというのは、私達にとって籍を入れる事であった。 そして普通ならば、もしも相手が倒れたならば、損得抜きに支え合う。 お互いに意見や主張は譲り合ったり喧嘩してベストを探り合う。 どんなに汚くて苦しくて辛くても。 そうして「共に」乗り越える。 夫婦とは、籍を入れたなら。 私達は難しい。 私達は大人な私と子どもな主人である。 主人という人間は甘えて来たりはしない。 愛想の無い甘えであるから、不器用な人だ。 かと言って『いつまでも独身気分で…』という言い分は主人には通じない。 主人は環境の変化、その適応が難しいからだ。 仕事上では問題は無いと、知り合い筋から聞いたが、それはこういう主人が…

  • 1 そもそも主人は主人である。

    そもそも主人とは遠距離恋愛の末である。 私達はお互い再婚同士だ。 私達はそもそも突き詰めている領域が同属だった為に知り合っている。 だから、あれ程遠くに住んでいたのに、年に何度かはどこかですれ違っていただろう。 出逢うべくして出逢ったというような運命めいたものではない。 私は主人に毎日コンスタントに連絡した。 おはよう、おやすみ。 主人は気の赴くままである。 私は始めこそ、主人にペースを合わせていた。 会う日会う時間も、主人の空き次第。 会えない時の予定は知らなかった。 しかし、行く先々から写真をくれた。 そんな主人が私に合わせるのは、面倒な時や忙しい時のみだけであった。 その癖、私に急な予定…

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