拠点が発展6-1
I市西部に近づくにつれて、巻き起こる風は強まるものの、ぱったり凪のように穏やかな時の流れも垣間見せるのだから、こういった変わりやすい天候が日常的に繰り返されるのだろう。 熊田は、臨港沿い、まだ雪が積もり始めの道路に横付けされたパトカーをフロントガラスからの視界で見つけた。五分ほど前に打ちつけていた霰は止み、ワイパーに発砲スチロールを砕いた細かな白い粒のような雪が降り積もっている。車をパトカーの後方につけた。時刻は午後の一時である。 「おつかれさまです」警官は二人。一人は若い巡査で、もう一人はベテランの警官である。出迎えたのは若い警官だった。ベテランは気持ち遅れて車外へ足を下す、非協力的な態度が…
2022/06/30 17:30