詩「狂う」「喰われる」
狂う 気づけばぼくは死んでしまっていた 二度と這い上がれない地の底に落ちてしまっていた ぼくはぼくじゃなくなっていた ぼくは狂っていた 気づけば? 本当にそうなのか…… 思い返せばたくさんのささやきを聞いた気がする 「そっちへ行くな」 「おまえが大事にしているものを捨てるな」 「今すぐ引き返せ」 やめろ・やめろ・やめろお……! ぼくは自分を助けようとした声から耳をふさぎ 暗闇の誘惑に負けた 二度と這い上がれない地の底に もうぼくはぼくじゃない ぼくは狂っていた どうせなら狂ったままの方がラクだったのに 喰われる 闇は蠱惑的だ ぼくは闇を覗いていたつもりだった 闇と戯れていたつもりだった 闇に触…
2023/10/30 11:38