離れられない人達だからこそ 映画評『あにいもうと』(ネタばれ注意) ※2020年10月31日更新
成瀬映画に出てくる女性達は何ゆえここまで魅力的なのだろうか。簡単に言えば、彼女達は生きている。性格の異なった人物達が適度に配置されているにも関わらず、決して類型的にならず、また戯画的にも映らない。京マチ子の艶、久我美子の純真、浦辺粂子の疲労がかった寛容の姿はいきいきと活写される。時代に取り残されていく男達。駄菓子屋を嫌々やる赤座(山本礼三郎)と駄賃をせびりながら墓石彫りをする伊之吉(森雅之)。そん...
2020/10/31 19:10