倖せの人 ユノの物語 119
馬車の荷台を覆う幌の隙間から、外の明かりが射し込んでいる。ユノは薄暗い荷台の床に横向きに寝そべっていた。砂利道を進む馬車の振動が全身に伝わる。九月初頭の昼間、荷台の中は蒸し暑かった。荷台にはロウンの店から運び出された家具や調度品が無造作に積み込まれていた。馬車が揺れるたびにそれがギシギシと擦れ合う。職人達が丹精込めて作った物が粗末に扱われるのがユノには腹立たしく、しかしどうにもできないのが辛かった...
2023/01/27 01:40
2023年1月 (1件〜100件)
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