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ユノとチャンミン ふたりのanother worldへようこそ

BL・GL・TLブログ / 二次BL小説

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2018/04/06

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  • パスワードについて

    パスワードについてコメントをいただきましたので、お答えします。二人の誕生日は、誕生年月日ではなく「誕生日」です。それぞれの日の合計で、二桁の数字になります。書きかけのまま停まっているお話を仕上げて更新するつもりです。いつ、とは言えませんが……過去作も順次鍵付きにしていくつもりでしたが、ランキングを抜けたことで気持ちが落ち着いてしまって、なかなか作業が進みません。そろそろ真剣に取り組もうと思っています...

  • お知らせ

    おはようございます。気付けば2ヶ月も更新は滞ったままで、わずかでも待っていてくださっている読者様がいらっしゃれば、本当にごめんなさい。これまでも何度か書きましたが、お話を書く、文字をおこす作業になかなか心が向かいません。今連載中のお話「倖せのひと ユノの物語」は、私としては珍しくストーリーの最後まで頭の中では出来上がって、その分筆が進みそうなものですが、私の中で完結してしまっているせいで、頭の中で...

  • 倖せの人 ユノの物語 121

    扉の閂が重い音をたてて、ユノは敷布に埋めた顔をゆるゆると上げた。開いた扉の向こうにはゴヌが立って、中を覗いていた。「ジオ、お前は俺が呼ぶまで閂をかけて外で見張ってろ」後ろに控えるジオに言うと、ゴヌは部屋に入り後ろ手で扉を閉めた。ユノは身体を起こして寝台の縁に腰掛けた。ゴヌはゆっくりとユノに近づいてきた。黙ったままユノを見下ろすゴヌは浅黒い顔に気味の悪い笑顔を浮かべていた。「……ユ デヒさんは、私をど...

  • 倖せの人 ユノの物語 120

    ユノは再び後ろ手に縛られ、馬車の荷台に乗せられた。今度は若い方の手下のジオが一緒に荷台に乗り込んだ。ユノが逃げないよう見張るためだ。ユ デヒが自分をこのまま帰す気はないことをユノはあらためて悟った。「あの…… お訊きしたいんですが……」馬車が動き出してから、ユノはジオに向かって声をかけた。轍の音に紛れて、ユノの声は表の二人には聞こえないだろう。「ユ デヒさんは、どうして私を一緒に連れていくのでしょうか?...

  • 雑談

    おはようこざいます。二人の誕生日イベントが無事に終わりましたね。二日間、素敵な動画や写真、コメントで楽しませてもらいました。ツアーも始まって、参戦した方達の興奮と喜びいっぱいの記事を羨ましく思いつつ楽しませていただいています。今回のツアーは、ビギ先行とオフィシャル先行で敗れ、自分の体調等もあって、参戦を諦めました。ドーム追加も発表ありましたが、東京大阪は無理~一回、福岡ドームでもやって欲しい!九州...

  • HAPPY BIRTHDAY 2

    僕の幼馴染み、二つ歳上のユノヒョン。男らしくてカッコよくて、スポーツ万能、頭だっていい。でも、少しもそれを鼻にかけたりしないし、誰にでも優しくて思いやりがあって、小さい頃からいつだって、みんなの人気者だった。今になって思い出せば、僕は幼稚園の頃から、いつもユノヒョンの後を付いて回っていた。恥ずかしがりで、自分から人の輪の中に入ってゆくことができなかった僕だったけど、ユノヒョンだけはいつも僕の相手を...

  • HAPPY BIRTHDAY 1

    俺は両手いっぱいの荷物に溜め息をつきながら、早足で家へと急いでいた。今日は俺の18回目の誕生日だ。毎年この日を友人達が祝ってくれる。今日も俺のために近くのカラオケボックスでパーティーを企画してくれている。その前にこの荷物をとりあえず家に持って帰り、私服に着替えてから出かける予定だ。パーティーのあと家に戻れば、多分両親と妹がケーキとプレゼントを用意して待っていてくれるはずだ。それはここ数年、恒例行事み...

  • 倖せの人 ユノの物語 119

    馬車の荷台を覆う幌の隙間から、外の明かりが射し込んでいる。ユノは薄暗い荷台の床に横向きに寝そべっていた。砂利道を進む馬車の振動が全身に伝わる。九月初頭の昼間、荷台の中は蒸し暑かった。荷台にはロウンの店から運び出された家具や調度品が無造作に積み込まれていた。馬車が揺れるたびにそれがギシギシと擦れ合う。職人達が丹精込めて作った物が粗末に扱われるのがユノには腹立たしく、しかしどうにもできないのが辛かった...

  • 倖せの人 ユノの物語 118

    ユ デヒは椅子に深々と腰掛けて、ユノとヨンスクを交互に眺めて薄笑いを浮かべていた。巻き煙草を何度か吸うと、指先で弾いて床に灰を落とした。ヨンスクはそれを見て顔をしかめて声をあげようとしたが、ユノが手を握ってそれを押し留めた。普段は温厚なヨンスクが、今は苦虫を噛み潰したように渋い顔で必死に怒りをこらえている。ユノは片腕にポムをしっかりと抱きしめ、優しく頭を撫でた。ユノはユノで、そうして自分の気持ちを...

  • 倖せの人 ユノの物語 117

    ハン ロウンの葬儀は、街を挙げての盛大なものだった。ロウンの家から墓所まで、葬列は一時間ほどかけてゆっくりと街の通りを進んだ。どの商店も店を閉め、街中の人々が葬列に向かって花を手向け手を合わせた。葬列には職人組合の親方衆と林業組合の木こり衆が整然と並んだ。それぞれの総代のウソンとホソクが先頭で棺桶の両脇をかかえ、その後にそれぞれの顔役が続き、ユノは一番後ろでミンヒョンと左右に並んで棺桶を支えた。ソ...

  • 倖せの人 ユノの物語 116

    その場に泣き崩れて嗚咽を漏らしていたヨンスクは、暫くして落ち着きを取り戻した。いつまでも泣いているわけにはいかない。これから忙しくなるのだ。ヨンスクは涙を前掛けで拭って、よろよろと立ち上がった。ユノはベッドの上でまだロウンを抱き寄せて、小さな子供にするように髪を撫でつけ、頬に指を滑らせている。すぐ横まで歩み寄ってもヨンスクの姿は目に入らない様子で、穏やかな顔つきでただ一心にロウンを見つめていた。「...

  • 倖せの人 ユノの物語 115

    「どうでしたか?」「え、ええ……」ヨンスクの問いかけにユノは小さく答え、差し出された両手に食器を乗せた膳を渡した。食の細くなったロウンのために食べやすく工夫された夕食は、殆ど手付かずのまま残されていた。「じっとしているばかりで腹も減らないと言われて……あ、でも、野菜のスープはお召し上がりになって、とても美味しいと……」「そう、よかった」ヨンスクはほっとしたように目尻を細めて頷いた。少しでもロウンが口にし...

  • 倖せの人 ユノの物語 114

    ウソンはロウンの部屋を出て食堂へ向かった。昼食は煮しめだろうか、醤油の煮える甘い匂いが厨房から漏れている。「旨そうな匂いだな」「あ、ウソン親方。ロウン様は?」流し台に向かって昼食の用意をしていたヨンスクが振り向いた。「話し疲れて眠った。昼食ができるまでそっとしておいてくれ」「そうですか。承知しました」ヨンスクはほっとしたように肩の力を抜いた。鍋の火を止めると前掛けで手を拭いて、ウソンのために冷茶を...

  • 倖せの人 ユノの物語 113

    ユノとミンヒョンが部屋を出ていってしまうと、部屋の中はしんと静まった。ウソンは旧友の穏やかな顔をじっと見つめ、かける言葉を探す。ロウンの目が見えないことが今は良かったと思う。どんな顔でロウンと向き合えばよいのか、ウソンには冷静でいられる自信がなかった。忙しさに追われて暫く会わなかった間に、ロウンは急激にやつれていた。夏の暑さがこたえたのか、顔色は悪く頬はこけ、半袖の寝間着から覗く痩せた腕は赤黒く浮...

  • 倖せの人 ユノの物語 112

    コンコン、と、扉を叩く音に、ロウンは微睡みから引き戻されてた。「ロウン様、起きていらっしゃいますか?」ユノの柔らかな声の方へゆっくりと顔を向けた。風通しを良くするために部屋の入口の扉は開かれたままで、扉の陰から顔を覗かせて微笑むユノを頭の中に思い浮かべる。今日のユノの声は明るく穏やかだった。ユノの小さな声の変化にもロウンは敏感になった。姿が見えないからこその気付きだった。余計なことは話さないユノだ...

  • 倖せの人 ユノの物語 111

    「ソルリ様が、ユ デヒへ嫁ぎたいと……自ら御主人様に許しを請われたのです」そう言うと、ヨンスクは気持ちを落ち着かせるようにゆっくりとお茶を啜った。「それは、ソルリ様もユ デヒ様をお好きだったということですよね?誰にも知られないうちに、二人は相思相愛の仲だったのですね……」ユノはソルリとユ デヒの密かな愛を夢想した。美しい深窓の令嬢の恋とは、ユノの好きな小説の中の物語のようだった。「……ソルリ様は、それまで...

  • 倖せの人 ユノの物語 110

    「……ユノさんもご存知のように、元はこの辺りの土地のほとんどが代々ハン家の所有地で、今、林業組合と家具職人組合の事務所が建つ場所には、かつてはハン家の立派な御屋敷が建っていました」ヨンスクは湯呑みを食台に戻して、ゆっくりと語り始めた。「ハン家の御主人様……ロウン様のお父様は、ソンサンの街の誰からも尊敬される立派な方でした。奥様はとても穏やかで上品な美しい方でしたが、生まれつきお身体が弱く、しかし御主人...

  • 倖せの人 ユノの物語 109

    ユノはロウンの寝室の扉をそっと開けて中に入った。眠っていると思っていたロウンはすぐに顔を動かして、「ユノ?」と、小さく名を呼んだ。「起きてらしたんですか」「ああ。……ん? これは……山梔子(くちなし)か?」「よくおわかりになりましたね」ユノは微笑むとロウンの寝台の横へ進んだ。「先ほど先生をお見送りに下に降りたら、良い香りがして……」裏庭に山梔子の低木があり、白い愛らしい花を咲かせていた。ユノは一枝だけ手折...

  • 倖せの人 ユノの物語 108

    ユノとチャンミン ふたりのanother worldへようこそ

  • 倖せの人 ユノの物語 107

    「ロウン様、ちょっとよろしいですか?」扉を薄く開いて、ユノは部屋のなかを伺った。ロウンは寝台の上で身体を起こし、背中を背凭れにあずけて座っていた。「ユノか。どうした?」優しい声で答え微笑む。ユノは部屋に入り、ロウンの傍らに立った。「月末ですので今月分の収支をまとめました。間違いがないか眼を通していただけますか?」そう言って厚い帳簿を開いてロウンの布団を掛けた足の上に差し出した。「ああ、もう月末か……...

  • 倖せの人 ユノの物語 106

    「ロウン様、今日はお疲れでしょう。早めにおやすみになってください」ユノはそう言いながら、ロウンの身体を支えて寝台にゆっくりと横たえた。自分は寝台の端に腰を下ろし、ロウンの身体に毛布をかける。「ありがとうユノ。大丈夫だよ。今日は本当に気分がよい」ロウンは笑みを浮かべて答え、ユノの手をそっと握った。ユノも両手で包むように握り返す。「とうとうロウン様はやり遂げられましたね。本当に……お疲れさまでした」労う...

  • 倖せの人 ユノの物語 105

    季節は巡り、山深いソンサンの街にも春が訪れた。緑濃い松や檜の山々に、所々山桜の淡いピンクが煙り、ロウンの家の裏庭では色鮮やかな八重桜が零れんばかりに咲き誇っていた。ロウンは店の仕事のかたわら、街の伝統産業である家具作りに関わる人々を集め、度々会合を重ねていた。ロウン一族が代々護ってきたソンサンの山林を手放し、街の共有財産として末代まで残すための大切な話し合いだ。それぞれの立場や思惑もあり、なかなか...

  • 倖せの人 ユノの物語 104

    「ミンヒョン、ちょっと」ウソン親方に呼ばれて、ミンヒョンは仕事の手を止めて作業室に向かった。「使いをたのむ」そう言ってウソン親方は風呂敷包みを差し出した。「これをロウンに届けてくれ。ロウンかユノに、俺からだと言って手渡すだけでいい」中身は見なくてもわかった。あの夜親方が彫っていた張型が仕上がったのだ。「……わかりました」ミンヒョンは表情も変えずそれだけ答えると、包みを受け取った。「仕上がり、見てみる...

  • 倖せの人 ユノの物語 103

    ミンヒョンは彫刻刀を机に置くと、丸まった背中を起こして両腕を上げて大きく伸びをした。工房での仕事の傍ら、夜は連日自室の作業部屋で自分の制作に没頭していた。今は用箪笥と呼ばれる小ぶりの箪笥を作っている。形は単純で同じ幅の抽斗(ひきだし)が三段。化粧道具や裁縫道具などの小物を収納するのに手頃な大きさで、抽斗の前板に浮き彫りを施し金属の引き手を付ける。ミンヒョンが得意とする繊細な彫刻は女性向きだろうという...

  • 倖せの人 ユノの物語 102

    「ウソン、先日のあれ……、ありがとう」ロウンは少し俯いたまま礼を言った。「その様子だと少しは役に立ったか」ウソンはくしゃりと目尻に皺を寄せて笑った。その顔を見て、ロウンも素直に頷いた。「……正直、私もあれには驚いたが……、ユノは受け入れてくれた。私の愚かな懊悩を理解してくれたのだろう」「そうか、それならば作った甲斐があった。随分前に工芸家が作った物を見たことがあってな、それを思い出して作ってみた。なにぶ...

  • 倖せの人 ユノの物語 101

    ユノとチャンミン ふたりのanother worldへようこそ

  • 倖せの人 ユノの物語 100

    ユノとチャンミン ふたりのanother worldへようこそ

  • あかつき (くれない埠頭)

    目が覚めて無意識に腕を伸ばす。隣にはただシーツが広がっていて、ゆっくりと目を開く。ほんのりとまだ温かい。枕元のスマホを取り、電源をいれる。何件かの着信とメール。時刻は7時少し前。カーテンの隙間から見える外はまだ薄暗い。身体を起こし、足元のガウンを拾って羽織り、ゆっくりとベッドから降りた。ベッドルームからリビングへ移動してあなたの姿を探した。ベランダに続く窓が少しだけ開いていて、レースのカーテンが微...

  • 倖せの人 ユノの物語 99

    「ウソン親方はいるかい?」立春を過ぎた穏やかな早春の午後、ロウンはウソンの工房に顔を出した。「おう、その声はロウンか。奥にいるから入ってこいよ」工房の奥の方から大声が返ってきた。「邪魔するよ」工房の奥の小部屋で、ウソンは作業机に向かって座っていた。机の上には人の胴体ほどの太さの丸太が原木のまの姿で乗っていた。 「これはみごとな山桜だな。何を彫るつもりだ?」ロウンの問いかけに、「ああ、やっと良い木が...

  • 倖せの人 ユノの物語 98

    ユノとチャンミン ふたりのanother worldへようこそ

  • 倖せの人 ユノの物語 97

    「それで、お前は本気なのか?」黙って話を聞いていたウソンは、ひとつ息を吐いてロウンに向かって言った。「ああ、前々から考えていたことだ。ウソンにも以前話しただろう?」ロウンは空になった湯呑みを机にそっと戻した。ウソンは机の上に身体を乗りだして、ロウンの顔を見つめた。「もちろん覚えている。お前の父上が亡くなってから、何度かお前の口からその話は聞いた。しかし……ハン家が代々守ってきた土地山林をすべて手離す...

  • 倖せの人 ユノの物語 96

    二月初旬、数日降り続いた雪が漸く止んだ午後、ロウンの家具店の店先に、ウソン親方が弟子のミンヒョンを伴ってやってきた。ウソン親方自ら操る馬車の荷台には、仕上がったばかりの文机が乗せてあった。「これは素晴らしい。注文通り、いやそれ以上の仕上がりだ。きっとお待ちかねだろう、すぐに配送の手配をするよ」「よろしく頼む。待たせて済まなかったと一言添えておいてくれ」ロウンは店先に降ろした机を満足げな顔で眺め、ウ...

  • 倖せの人 ユノの物語 95

    ジンギとテムを乗せた馬車は、昼前に村に帰りついた。馬車が畑の脇道を通ると、畑で作業をしている村人達は誰もが顔を上げて二人に向けて手を振った。ジンギはその一人一人に笑顔で応えながら、村の奥の我が家へと急いだ。家に到着し、ジンギが馬を繋ぎ水と干し草をやる間に、テムは大急ぎで竈の火をおこし、お湯を沸かして簡単な昼食を準備する。昨日の残りの根菜の煮しめを温め、味噌を塗ったおにぎりを焼くばかりの簡単なものだ...

  • 倖せの人 ユノの物語 94

    「おはようございます!野菜を持って来ました!」勝手口を開けて奥に向かって声をかけると、「ああ、おはようジンギさん。待ってたよ」濡れた手を前掛けで拭きながら、中年の女性が出てきた。「そこの隅に置いておくれ」「はい」ジンギとテムは広い土間の隅に両手に抱えていた大きな木箱を下ろした。中身は大根に白菜、蕪、さつまいも……今朝早く村を回って集めた新鮮な野菜がぎっしりと詰まっている。テムはすぐにもうひとつ木箱を...

  • ちょっとしたお知らせ

    おはようございます。いつもご来場いただきありがとうございます。BlackPearlです。この記事は、私の確認のためにあげています。これといった内容もありませんので、お忙しい方はスルーしてくださいね。昨日の朝、『倖せの人』93話を更新しました。(随分間があいて申し訳ありません)それが何故か、ブログ村の記事一覧の方が更新されないのですよ。「最新記事の取得」ボタンも、ping送信も何度もやってみるのですが、全然ダメです。...

  • お願いです!

    先日のお知らせに書いたように、先ほどあげた「倖せの人 ユノの物語」92話を限定公開に設定しました。自分のスマホから見てみると、パスワード入力画面はなく、真っ直ぐ記事がでます。これは、本人だからでしょうか?読者様からは、どのようになっているのでしょうか?どなたか、この記事に気付かれた方、教えてください。よろしくお願いします。...

  • 倖せの人 ユノの物語 92

    ユノとチャンミン ふたりのanother worldへようこそ

  • お知らせと雑談

    御来場いただきありがとうございます。BlackPearlです。まずは今後の更新についてお知らせします。これまで私のお話中のR18記事については、訪問された方誰でもが閲覧できるようにしていました。記事の冒頭に ⚠️ WWARNING R18を入れることで、R18記事であることをお知らせしていましたが、実際にはどなたでも読むことができます。私が使用しているブログ『FC2』は、Amebaのような検閲がなく、基本何を書いてもOKです。それゆえAmeb...

  • 倖せの人 ユノの物語 91

    「勃たなくなったんだ」そう言ったロウンは、少し寂しげに微笑んでいた。ユノは何も言葉が返せずに片手で口元を覆った。黒い瞳は驚愕に見開き、ロウンをただじっと見返すしかできなかった。「男の性器というのは、気分の高揚や直接的な刺激で興奮すると、そこに急激に血液が集中して硬くなる。医者の話では、消渇という病は血流と神経に異常をきたす。男性の場合、勃たなくなって性行為ができなくなるのは主な合併症のひとつで、そ...

  • くれない埠頭

    あなたが行方不明だ、とちょっとした騒ぎになっていた。散歩に出かけると言って昼前に家を出たきり、夕方になっても戻ってこない。何度スマホにかけても繋がらない。電源を切っているのだろう。子供じゃあるまいし、30半ばの大の男が、たった半日姿をくらましたくらいで、家族もスタッフも右往左往している。まあ、その気持ちもわからないでもない。『何処か心当たりはないか?』僕にも電話がかかってきて、「わかりました。僕もあ...

  • 倖せの人 ユノの物語 90

    ロウンはユノを引き寄せると、顕になった上半身に寝間着を着せかけた。袖を通してしっかりと前を結び、襟元を整える。ユノは俯いたまま、黙ってロウンにされるがままだった。ロウンは一度寝台から降りて、椅子に掛けていたウールの膝掛けを手に寝台に戻った。ユノの肩を膝掛けで包み、腹から下は掛け布団の中に伸ばして、背中を壁に凭れかけて二人並んで座った。そっとユノの肩を抱き寄せると、ユノはビクッと身体を震わせた。「寒...

  • 倖せの人 ユノの物語 89

    「ユノ、おいで」引き寄せたユノの身体からは、甘い石鹸の匂いがする。まだ少し湿った髪を指で梳きながら、ロウンはゆっくりと顔を寄せて唇を重ねた。餅のように柔らかい下唇を軽く噛んで、それから舌先でゆっくりとなぞると、ユノの閉じた白い瞼と黒々とした睫が痙攣するように小さく震えた。唇を飲み込むように唇で塞いで、吸い上げる。ユノはそれに応えながら身体を擦り寄せて来た。かわいい。そのすべてが愛おしい。腕の中の宝...

  • 倖せの人 ユノの物語 88

    「ユノさん、おはようございます」「あ、お…おはようございます!」いつもはヨンスクが来るより先に厨房で朝食の準備を始めているユノが、その朝はヨンスクより遅れて慌てて駆け込んできた。「すみません、寝坊してしまって……まだ湯も沸かしてなくて」ユノは申し訳ない様子で頭を下げて謝る。「なにも謝る必要などありませんよ。家事は私の仕事なんですから。ユノさんはもっとゆっくり起きてきていいんですよ」ヨンスクの言葉に、...

  • 倖せの人 ユノの物語 86

    「愛している」ロウンのそのひと言に、ユノの黒い瞳がふるりと揺れて、涙に濡れた睫毛が大きく瞬いた。「ずっと私のそばにいてくれ」続くその言葉と力強い抱擁に、ユノは漸くその意味を悟った。「ロウン様……」小さく名を呼んでロウンの胸に顔を埋めた。それまでの興奮と緊張の糸がプツンと切れて、それと入れ替わりに、腹の底のほうからじわりと熱の塊が競り上がってくる。ロウンの口から発せられた『愛している』の言葉に、自分が...

  • 倖せの人 ユノの物語 86

    ユノが風呂から上がると、ロウンはすでに自室に戻ったのか、居間にも食堂にも姿はなかった。厨房で湯呑み1杯の水を一息に飲み干して、「ふう」と息を吐く。昼間ミンヒョン相手に久しぶりに身体を動かしたおかげで、心地よい疲労感に身体も心も満ち足りて、いつもより長湯をした。ゆっくり温まった身体を洗い立ての下着と寝間着に包んで、ユノはロウンの部屋の扉を叩いた。ロウンの返事を待って扉を開けると、ロウンは文机に向かい...

  • 倖せの人 ユノの物語 85

    ハン家の食堂では、賑やかな昼食を終えて皆のんびりと食後のひとときを楽しんでいた。ロウンとウソン親方はヨンスクも交えて、ゆっくりとお茶を飲みながら世間話に興じていた。「ね、ミンヒョン。少しつき合ってくれないか?」窓辺に立って外を眺めていたミンヒョンに、食器の後片付けを済ませたユノが寄ってきて声をかけた。「え、何を?」「この頃運動不足なんだ」「え、え…ちょっと……!」ユノはミンヒョンの腕を取ると、引っ張...

  • 倖せの人 ユノの物語 84

    ミンヒョンは食卓の椅子に座って、流し台に並んで立つユノと祖母のヨンスクの後ろ姿を眺めた。ヨンスクはとうに還暦を過ぎているはずだが、歳のわりには元気で姿勢もしゃんとしている。しかし男の中でも長身の部類のユノの隣に立つと、随分と小さく見える。二人はお喋りをしながら昼食の準備の真っ最中だった。手早く野菜を切るヨンスクの横で、ユノは浅鍋の中身を木べらでかき混ぜている。ユノは高い背を少し屈めて、ヨンスクに顔...

  • 倖せの人 ユノの物語 83

    ロウンはいつもと変わらぬ時間に目覚めた。既に隣にユノはいない。身仕度をすませて食堂へ行くと、「ロウン様、おはようございます!」すぐにユノが爽やかな笑顔で厨房から走り出てきた。「おはようユノ。ヨンスクさん」「おはようございます。すぐに朝食を」ヨンスクが答えると、ユノはすぐに厨房へとって返し、汁椀とご飯を用意し始めた。ヨンスクはロウンの前に湯呑みを置きながら、「このところ、ユノさんの顔色が良くなって、...

  • 倖せの人 ユノの物語 82

    親愛なるハン ロウン様突然のことにさぞ驚かれたことでしょう。本当に申し訳ない思いでいっぱいですが、俺にとって、自分の命よりも大切なものを託すには、貴方以外には思い浮かばなかったのです。貴方の優しく寛大なお心にすがることをお許しください。チョン貿易の今後の命運をかけた新造船が、その処女航海で沈没したことは既にご存知の通りです。俺は大きな負債と、遺族や関係者の怒りや恨みを背負うことになりました。海洋貿...

  • 倖せの人 ユノの物語 81

    ユノはその日、終始機嫌が良かった。家政婦のヨンスクと楽しそうにお喋りをしながら洗い物をすませると、すぐにフンフンと鼻唄を口ずさみながら部屋の掃除を始めた。ロウンは特別何を話すでもなく、いつもと変わらず過ごした。そのつもりだったが、気付けばユノの姿を目で追っている。ユノと眼が合って不意に微笑みを向けられて、素知らぬ顔で黙って眼を逸らす。そんなことを何度か繰り返しながら、ようやく一日を終えた。夕食と入...

  • 倖せの人 ユノの物語 80

    自分の部屋に駆け込んだユノはほどなく飛び出してきた。両腕で自分の枕をしっかりと抱え込んで、廊下で待っていたロウンに向かってはにかむような笑みを向ける。ロウンはその姿を確認してから、自室の扉を開いた。 「どうぞ」招き入れるような仕草で笑いかけると、「おじゃまします……」ユノはちょこんと頭を下げて、おずおずと部屋に入った。ロウンの部屋はユノの部屋より少し広い。壁際に衣類用の箪笥と小物類を入れた引き出し。...

  • 倖せの人 ユノの物語 79

    「ロウン様、ただいま戻りました!」ユノは店の扉を開くと同時に大声で言って中へ駆け込んだ。店の奥の事務机に向かっていたロウンは、「ああ、お帰り……」と一言、はぁはぁと息を切らすユノを見て驚いた顔をした。「ユノ、何かあったのか?」「え? 何も…… 工房を出るのが少し遅くなったので走って来たんです」ユノはけろっとした笑顔で答え、それを見たロウンは、「いや……ならいいんだ」と、照れくさそうに苦笑を浮かべた。暗く...

  • 倖せの人 ユノの物語 78

    御者にお金を渡して馬車から降りたロウンは、馬車が街の方へと戻って行くのを見送ってから、2階へ続く階段を昇った。すでに夜半をすぎて、辺りは物音ひとつしない。ウソン親方と話すといつも長くなる。ロウンにとって、唯一心を開いて何でも話せる古い友人だった。足音を殺して階段をのぼり、入口の扉を静かに開ける。「ロウン様、お帰りなさい」ユノが待ち構えていたようにロウンを出迎えた。「ユノ、まだ起きていたのか。待たず...

  • 倖せの人 ユノの物語 77

    「ユノ、私はウソン親方と仕事の話があるから、少し待っていてくれるか?」ロウンはユノを振り返って言った。「はい。あの、ウソン親方、その間作業場を見せていただいていいですか?」ユノがそう尋ねると、ウソンは「おお、もちろん」と言うと、「ミンヒョン!ちょっと来い!」と、大声で呼んだ。「親方、何でしょうか」まもなくミンヒョンがひょこっと扉から顔を出した。「ユノが仕事場を見たいそうだ。お前案内してやれ」「え、...

  • 倖せの人 ユノの物語 76

    「邪魔するよ」声と同時に入り口の大きな引戸がガラガラと音をたてて開いた。二十畳ほどの土間の作業場。明かり取りの大きな窓から初冬の柔らかな光が射し込み、広い室内には材木と塗料の匂いがたちこめている。「ミンヒョン、ウソン親方はいるかい?」と、ロウンは声をかけた。ミンヒョンと呼ばれた男は顔を上げ、ロウンの姿を確認すると、身体を起こして頭を下げた。「ロウン様、こんにちは」ミンヒョンは入り口から少し入ったと...

  • 倖せの人 ユノの物語 75

    「ヨンスクさん、今日は午後からユノと出掛けるから」朝食を食べながらロウンはヨンスクに声をかけた。「おや、珍しい。どちらへお出掛けですか?」「ははは 出掛けるといってもカム ウソンの工房だよ」「え、ウソン親方のところですか?」ヨンスクは少し驚いた様子だった。「ああ、ユノの勉強に実際の工房を見せてやろうと思ってね」そう言ってロウンは向かいに座るユノに微笑みかけた。「それはなによりです。ユノさん、ウソン...

  • 倖せの人 ユノの物語 74

    ロウンは店の灯りを消して入口を施錠した。初冬の夕暮れは早い。さっきまで夕焼けで朱色に染まっていた空が、山並みの向こう側から深い青紫の宵の色に変わってゆく。ミズナラとケヤキを植林した山はすっかり葉を落として寒々とした幹だけが広がっている。ソンサンの街の名の由来となった赤松が繁る山は、既に黒々とした夜に沈んでいた。ロウンはゆっくりと街を取り囲む山並みを見渡してから、2階へ続く階段を昇った。「ただいま。...

  • 倖せの人 ユノの物語 73

    寝台の上で何度も寝返りを打って、挙げ句、ユノは仕方なく身体を起こした。夜中に一度目が覚めてしまうと、もう眠れない。しんと静まった家の中で、独り暗闇にじっと眼を凝らした。昼間は、家事や店の手伝いであっという間だ。特に店の仕事を覚えるのは楽しい。ソンサンの伝統家具の素晴らしさも解ってきた。すべて職人の手作業で造られた家具は、細かい意匠が施され、家具としての実用性だけでなく美術工芸品としての価値も高い。...

  • 倖せの人 ユノの物語 72

    「ユノさんこんにちは!」勢いよく階段を駆け上がって、ニナは挨拶するよりも早く部屋に入ってきた。「ニナ、こんにちは」ユノは笑顔で迎え、ヨンスクは、「またお前かい。仕事の邪魔だから来るなって言ってるだろ」と目尻を吊り上げて言った。「お母さんが庭の柿をもいだから持っていけって。ロウンさんとユノさんにお裾分けだって」そう言うと両手で抱えた籐籠いっぱいに盛られた柿をぐいと差し出した。「わあ、美味しそうだ。ニ...

  • 倖せの人 ユノの物語 71

    イルの葬儀が終わり、ジンギとテムが去ってから、すでに1ヶ月が過ぎた。煮えるような残暑の熱が収まり、街には涼しげな秋風が吹き始めていた。ユノがロウン家に住み始めて40日ほど。朝早くに起床するとすぐに身支度を整え、家政婦のヨンスクと一緒に朝食を準備する。ポムの世話をし、部屋の掃除に洗濯、毎日変わらず、長年身体に染み着いた日課を淡々とこなした。ロウンやヨンスクと日常会話を交わし、時には些細なことに微笑む。...

  • 倖せの人 ユノの物語 70

    ジンギが手綱を強く引き寄せると、馬車はゆっくりと広場に停まった。すぐにテムが飛び降りて荷台から荷物を下ろし始める。ジンギは御者席を降りてふと視線を上に向けた。二階の住居の窓が開いている。さっき遠目に見えたのはユノに間違いないと思った。すぐに階段をバタバタと駆け降りる足音がして、格子細工を施した玄関の引戸が勢いよく開いた。「ジンギさん!」満面の笑みで飛び出して来たユノは、「イル様はどこ?今日こそはご...

  • 倖せの人 ユノの物語 69

    チョン イルの葬儀はしめやかに執り行われた。表向きにはイルの死因は伏せていたが、すぐに強盗に襲われて刺されたと話は広まった。中には船舶事故の責任を感じて自ら命を絶ったのだと言う心ない噂までまことしやかに流れていた。ジンギはイルの少ない親族と、生前特に親しくしていた人にだけ、イルの死去と葬儀の日程を知らせた。葬儀はひっそりと、内々で行われる予定だったが、街中からたくさんの人々がイルのために花を手向け...

  • 倖せの人 ユノの物語 68

    「ロウン様、どうぞ」家政婦のヨンスクが差し出した湯呑みを受け取り、ロウンはゆっくりと口に運んだ。辺りに薬湯の苦い香りが広がる。慣れた様子で薬湯を飲むロウンを、朝食を終えたばかりのユノは向かい側の席に座って見つめていた。朝晩の食事の後にロウンは必ず薬湯と小さな丸薬を飲む。ロウンは五十路にもかかわらず痩身で、無駄な肉もなく歳の割に腹も少しも出ていない。食事も野菜中心の淡白なものが多く、食も細い。ユノの...

  • 倖せの人 ユノの物語 67

    その日はイルとジンギ、テムの三人で事務所の片付けをして、荷物を屋敷に運ぶ予定だった。債権者との話し合いはなんとか終わった。チョン貿易の事業は船を買った造船所が引き継ぎ、イル所有の事務所や倉庫などもすべて譲り渡すことになった。事務所の横の宿舎に住んでいるジンギとテムも早々に出なければならないが、新しい住み家が決まるまでの猶予をもらっている。イルには落ち着くまで一緒に屋敷に住めばいいと言われていた。ジ...

  • 倖せの人 ユノの物語 66

    「これはまた、派手に荒らしてくれたな……」イルは独り言を呟き、書斎の床に散らばった紙の束を拾い集めた。一週間近く留守にしていた間に、誰かが窓を破って屋敷に侵入していた。玄関ホールに飾っていた額や調度品は盗まれ、書斎の机も荒らされていた。犯人は留守を狙った窃盗犯か、或いは債権者のうちの誰かがかもしれないが、わざわざ届け出るつもりもない。イルは散らばった書類を重ね、散らかった机の中を片付け始めた。コトン...

  • 倖せの人 ユノの物語 65

    明け方のウォルハンの街を三人を乗せた馬車は駆け抜けた。御者はジンギ。その後ろにユノとテムが並んで座り、ユノの膝の上にはポムの入った行李が乗っている。突然狭いところに閉じ込められたポムは、暫くは不安げに鳴きながらカリカリと爪を立てていたが、ユノが優しく声をかけ続けると、やがておとなしくなった。行李の蓋を少しだけずらして中を覗くと、ポムはおくるみの上で丸まって眠っていた。テムはユノの身体に凭れるように...

  • 倖せの人 ユノの物語 64

    翌朝、ジンギの馬車がイルを迎えに来て、二人はすぐに出掛けて行った。テムはジンギと一緒に馬車に乗ってきたがそのまま屋敷に残り、ユノと二人でイル達の帰りを待った。誰が訪ねて来ても決して扉を開いてはいけない、厳重に戸締まりをして、自分達が戻るまでは決して屋敷から出るなと、イルは厳しく言い残し、二人はその言葉に従った。午後になって二度、玄関の扉を激しく叩く音がしたが、二人は厨房の奥でじっと息を潜めていた。...

  • 倖せの人 ユノの物語 63

    ⚠️ WARNING ⚠️ 微R18明け方近く、漸く雨は止んだ。すやすやと眠るテムを起こさないように、ユノはそっと布団から抜け出した。玄関の扉を薄く開けて外に出てみた。雨は止んだが、風はまだ強い。灰色の空に幾重にも重なった鼠色の雲がものすごい早さで移動してゆく。目の前の海は大きくうねり、白波が岸壁に打ち寄せていた。湿気を含んだ重い風がユノの髪を捲きあげる。額に貼り付いた髪をかき上げて遠くの水平線を...

  • 倖せの人 ユノの物語 62

    「雲行きが怪しいな……」イルは両開きのガラス扉を開けてバルコニーに出ると空を見上げて呟いた。「ええ、風向きが変わりましたね……」ユノがそう答えると、イルは頷いた。二人は並んでバルコニーの柵に前屈みに凭れて、海側から吹き上げる南風にざわめく庭の木立を見つめた。眼下にはウォルハンの港と青い海が広がっている。小さな波頭が小魚の銀鱗のように輝く海は、今はまだ穏やかで美しい。しかし生ぬるい南風と雲の流れの早さが...

  • 倖せの人 ユノの物語 61

    ⚠️ WARNING ⚠️ 微R18「お二人ともお疲れさまでした。この暑い中での出荷は大変でしたでしょう」「ああ、なんとか午前中に片付いてよかったよ」イルは汗を拭いながら冷麺を口に運ぶ。昼過ぎに屋敷に戻ってきたイルとユノに、家政婦のヒョルは急いで昼食の用意をした。汗びっしょりになって帰ってきた二人のために作ったのはさっぱりとした冷麺。二人はヒョルの心遣いに感謝しながら喉ごしのよい麺を啜った。「お風呂...

  • 倖せの人 ユノの物語 60

    ウォルハンの港は男衆の声と馬車の駆ける音でいつも以上に騒々しい。港の一番大きな桟橋には、チョン貿易の貿易船が停泊している。昨日の午後、二ヵ月の西方航路の長い航海から戻ってきたばかりだった。今日は朝早くから大勢の荷役夫達が積み荷を船から降ろし、大きな荷馬車に移す作業に従事していた。荷台いっぱいに木箱を積んだ馬車は得意先や倉庫へと次々と出発してゆく。真夏の強い陽射しの中、何十台もの馬車が往来する港は活...

  • 倖せの人 ユノの物語 59

    イルの部屋の広い寝台に、二人は裸のまま身体を寄せて横たわっていた。いつもはイルが誘い、ユノがそれに応じて抱き合うのだが、今夜は珍しくユノの方が積極的にイルを欲した。顔を赤くしながらも身体を擦り寄せて、「イル様、たくさん愛してください……」などと言われれば、嬉しさにいつも以上に想いを込めて応えた。「イル様…… もっと……」白い首を仰け反らせて甘い声をあげるユノを、イルは夢中で穿った。二人同時に絶頂を迎え、...

  • 倖せの人 ユノの物語 58

    「はぁ……」湯呑から唇を離し、ユノは無意識に溜め息をついていた。その様子を、ジンギは口の端を少し上げて眺めている。「気になりますか?」「え?」ユノがハッとして顔をあげた。「ロウンさん、気になるんでしょう?」ジンギの声は何処かユノをからかうような口振りで、ユノは唇を少し尖らせて、小さく頷いた。ユノのそんなところが、イルも可愛くて仕方ないのだろう、ジンギはそう思う。素直というか、悪く言えばバカ正直。それ...

  • 倖せの人 ユノの物語 57

    ユノの誕生日の三日後には広い庭の隅で厩の工事が始まった。その間にイルはユノを連れて馬の飼育場まで出向いた。10頭ほどの馬を一通り見て回ったが、「やっぱりこの子がいいです」ユノは一番最初に目に留まった葦毛の牝馬の所に戻り、その鼻を優しく撫でた。すると3歳のその牝馬は、ユノに鼻先を押し付けて甘えるように首を揺らした。ユノはその牝馬にナレと名付けた。口入れ屋のチョウ家で馬の世話には慣れていた。 ナレはすぐ...

  • 倖せの人 ユノの物語 56

    ⚠️ WARNING ⚠️ R18うっすらと開いた瞼に、窓の隙間から差し込む朝日が眩しい。ユノは外の明るさに驚いて慌てて身体を起こした。寝台から降りようとして捲れた布団の下、まだぐっすり寝入っているイルに気付いて、「あ、そうだった……」漸く、昨夜のことを思い出した。今日は急いで起きなくていいと言われていた。家政婦のヒョルも今日一日休みをもらっている。いつも朝早くから起き出して家事を始めるユノを、イルが...

  • 倖せの人 ユノの物語 55

    ⚠️ WARNING ⚠️ R18浴槽にお湯を溜めながら、イルは服を脱ぎ捨てた。イルが脱ぎ捨てた衣類を、ユノは拾い集めきちんと畳み始め、なかなか裸になろうとしない。几帳面なユノらしいのか、それとも緊張しているのか、イルはそんなユノに笑みを浮かべた。「そんなことはいいから、早くユノもおいで」「……はい……」ユノは衣類を棚に置いて、赤く染まった顔を隠すように背を向けて自分も急いで服を脱ぎ始めた。一年間、毎日...

  • 倖せの人 ユノの物語 54

    チョウ家をあとにしてユノは帰路を急いだが、屋敷に帰り着いたのは日が西に傾き始めた頃だった。玄関前に馬車が停まる音を聞きつけて、今か今かと待ち構えていたイルが飛び出して来た。「ユノ、良かった。無事に戻ってきて……」イルはユノを抱き締めて安堵の溜め息を漏らした。「イル様申し訳ありません、思ったより遅くなってしまいました。ついお喋りが弾んでしまって……」「何かあったのではないかと気が気ではなかった。ユノの顔...

  • 倖せの人 ユノの物語 53

    さっそくその夜から、ユノの「準備」は始まった。イルは寝台の枕元の引き出しから、小さな褐色のガラス瓶を取り出した。イルに言われるまま両足の膝を立てて開いた格好で、ユノはじっとその様子を見つめていた。ランプの薄明かりの中、余すところなく晒されて頬が熱い。これまで数えきれない程イルに可愛がられて来た身体だが、イルと繋がる、ということは一度もなかった。それ以前に、男同士でそれができることをユノは知らなかっ...

  • 倖せの人 ユノの物語 52

    ⚠️ WARNING ⚠️ R18いつものようにイルとユノは一緒に風呂に入った。充分に温まった身体を寄せあって、イルの寝台に横になる。「ユノ」「はい……」イルがユノの肩を抱くと、ユノは嬉しそうに身体を寄せてくる。風呂上がりの温かい身体からふんわりと甘い匂いが立ち上ぼり、艶ややかな頬は期待に染まっている。イルがユノのふくよかな唇を吸って舌を差し込むと、ユノは尖らせた舌先で応え、身体ごと深く重なりあった...

  • 雑記 誕生日

    本日、私の誕生日です。さすがにこの歳になると嬉しくもない。取り立てて誰が祝ってくれるわけでもないのですが、ユノとチャンミンが祝ってくれたので、良しとします。2月は28日しかないのに誕生日目白押しです。6日に始まり、9日はNCTのジャニさん。真ん中誕生日に、18日二日後の27日は愛するTEN君の誕生日。うん、めでたい。XVもようやく発売されたし、127も売上好調、SHINeeもカムバしたし、WayVもミニアルバムで来月カムバ!...

  • 倖せの人 ユノの物語 51

    ユノに新しい家族が増えた。イルがユノのために連れ帰って来た虎縞模様の仔猫だ。ユノはその子にポムと名付けた。古い言葉で「虎」という意味だ。全身茶色と白の縞模様で、顔には左右対称の美しい紋様。琥珀色の光彩の丸い瞳と、大きな三角の耳。身体の丈ほどもある長い尻尾が美しい仔猫は、すぐにユノを夢中にさせた。この屋敷で飼うにあたって、最初にイルと約束したことは、書斎には決して入れないイルの部屋で二人で過ごす時に...

  • 倖せの人 ユノの物語 50

    ⚠️ WARNING ⚠️ R18ユノを抱きしめたまま、寝台へ倒れこむ。ユノの柔らかな頬に唇を押しあてて、小さく啄みながら唇へと移動する。ぷくっと膨らんだ下唇を吸えば、ユノは甘い吐息を洩らして、イルの背中に回した両腕でぎゅうとしがみつく。少しの隙間もないほどに身体を擦り寄せてくるユノは、昨夜一晩独りで過ごし、きっと淋しかったに違いない。どこかぎこちなく、それでも懸命に想いを伝えてくるユノが愛おしく...

  • 倖せの人 ユノの物語 49

    イルは貿易船の帰港のために事務所に泊まり込み、屋敷に戻ったのは翌日の夜、もうすっかり日が暮れた頃だった。疲れて戻ってくるであろうイルのために、ユノとヒョルは温かい鍋料理を用意したが、なかなか戻らないイルにヒョルは待ちくたびれて後をユノに任せて帰った。玄関先に馬車が停まる音が聞こえて、ユノはランプを手に走って外に出た。「イル様!」「ユノただいま!」馬車から降り立ったばかりのイルは、玄関から飛び出して...

  • 倖せの人 ユノの物語 48

    その朝、ジンギはいつもよりも少し早めにイルを迎えにきた。午後には2ヶ月ぶりに南方航路の船が帰港する。荷下ろしと出荷は明日になるが、今日はその準備や出荷先の確認、船の乗組員への給金の支給など、多忙な一日になる。夜は船いっぱいの積み荷の警護。一晩中見張りの男衆を立てて、イルもジンギも万が一の時のために事務所に詰めるのが常だった。明日の出荷と倉庫への搬入がすべて終わるまでは休む間もないほど忙しく、今夜は...

  • Forever Love

    「誕生日おめでとう」僕が差し出した小さな花束を、あなたは両手で受け取って笑った。「さすがに36にもなると、そう嬉しくもないけど」そう言って照れ臭そうに微笑むあなたは、あいかわらずとても綺麗だ。毎年同じレストランで、あなたの誕生日を祝う。今年で確か10年目。5年前のこの日、あなたを迎えに行った時、マンションの前で僕の車を見つけた時のあなたの驚いた顔を思い出す。「……どうしているんだ?」そう呟いたきり言葉を...

  • 倖せの人 ユノの物語 47

    ⚠️ WARNING ⚠️ 微R18「イル様、おかえりなさいませ!」イルが屋敷に戻ったのは陽が落ちてすっかり暗くなった頃で、待ちわびていたユノは、玄関先に馬車が停まる音を聞きつけて、扉を開けて外に飛び出した。「ただいまユノ」イルは少し驚いたが、満面の笑顔で馬車を降りた。すぐにユノが駆け寄り、イルの手から鞄を取り胸に抱くように握りしめる。その様子を御者席のジンギが見下ろしていることに気づいて、ユノは慌...

  • 倖せの人 ユノの物語 46

    「ユノ、愛してる」イルの優しくて温かな眼差しが、ユノを包むように見つめていた。「イル様…… 嬉しいです……」ユノは小さく呟いて、イルの胸に顔を埋めた。逞しい腕に抱きしめられて、ユノは幸せだった。自分だけの一方的な想いではなく、イルもまた自分のことを想っていてくれた。それもずっと前から、将来のことまで考えた上で自分を引き取ってくれていたとは、イルのその想いの深さを初めて知り、心が震えるほど感動した。自分...

  • 倖せの人 ユノの物語 45

    急いで風呂から上がったイルは、厨房を覗いて、すでにユノが自室に戻ったのを確かめた。2階へ上がり一度は自分の部屋に入ったが、やはりユノのことが気になる。顔色が冴えず食欲もなく、何処かよそよそしい態度のユノが頭から離れない。本当に身体の具合がよくないのかもしれないと思うと居ても立ってもいられず、部屋を飛び出して向かいのユノの部屋の扉を叩いていた。「ユノ? まだ起きてるか?」返事はない。もう眠ったのなら...

  • 倖せの人 ユノの物語 44

    「ユノ、どうした? 具合でも悪いのか?」イルは箸を止めて、ユノを見つめて言った。一緒に夕食の席に着いて二人は向かい合って座っていた。いつもは何でも美味しそうに食べるユノが、今夜はあまり箸が進まないようで、何となく表情も重く見える。「いえ……何でもないです」ユノはそう答えて微笑んだが、その頬も少し強張っていた。この数日、何となくユノが元気がない様子だとはイルも気付いていた。いつからだろう、少しずつ表情...

  • 倖せの人 ユノの物語 43

    ⚠️ WARNING ⚠️ 微R18ユノが浴室から出ていって、イルは独り湯船の中に残った。「はあぁ…… 」安堵感と疲労がいっぺんに押し寄せて大きく溜め息をつく。全身から力が抜けて、ズルズルと口元までお湯の中に沈みこんだ。「よく我慢した。褒めてやるぞ……」イルはぼそりと呟き、自分のまだ猛ったままの股間を見下ろした。眼を閉じればユノの裸体が脳裏に浮かぶ。真っ白で艶やかな肌が、浴室の熱気と羞恥にうっすら桃色...

  • 倖せの人 ユノの物語 42

    ⚠️ WARNING ⚠️ 微R18ユノはイルの視線を避けるように、掌で自分の性器を覆った。ユノは内心イルに対して劣等感を抱いていた。同じ男だというのに、大きさも色合いも、イルの堂々としたモノを前にすると、自分はまだまだ子供だと思う。一番にはその形状の違いがユノの羞恥心を煽った。イルの性器は普段から先端が露出していて、がっしりとした亀頭が張り出している。それに引き換え、ユノの性器は先端まで包皮につつ...

  • 倖せの人 ユノの物語 41

    逞しい腕に身体をゆったりと包まれて、その心地よい体温に溶けるように全身が弛緩する。それを見届けたように、抱き寄せた腕が少しだけ緩んで、ゆっくりと手が動き始める。素肌を舐めるように伝う掌が、二の腕から肩へ、首筋を通り、鎖骨の窪みをなぞる。擽ったいようなムズムズする感触。薄い皮膚を透して直接身体の中を撫でられているような不思議な感覚に、全身の毛穴がゾワゾワと息を詰めるように収縮する。もう片方の掌は、ゆ...

  • 倖せの人 ユノの物語 40

    その日から、イルとユノは毎日一緒に入浴するのが日課となった。初めは恥ずかしがっていたユノも、すぐにイルの前で裸になることに慣れた。ユノはイルの背中を流し、前後を入れ替わって次はイルがユノの背中を流す。イルはついでだと言いながらユノの髪も洗ってやった。それから一緒にお湯に浸かりながら、その日あった出来事を語り合う。ユノは屋敷での一日をイルに報告した。庭の薔薇の枝の新芽が膨らんできたとか、今日はヒョル...

  • 2021年 1月 1日

    明けましておめでとうございます。ご訪問いただきありがとうございます。BlackPearlです。新年早々、SMTをガッツリ3時間堪能しました。お正月で忙しくてそれどころではない、という方も多かったと思うのですが、うちは昼前から皆出払ってしまい、ポッカリと独りの時間ができたお陰で、誰にも邪魔されることなくゆっくりと楽しみました。東方神起のステージは2曲だけかと思ったら、後からもう一曲Whyも(これはbeyond liveの演出で...

  • 倖せの人 ユノの物語 39

    夕方、また少し明るいうちにイルは帰宅した。「イル様、おかえりなさいませ。お仕事お疲れさまでした」ユノが出迎えに出てきて、嬉しそうに笑みを浮かべて外套を受けとる。「うん、ただいま」イルはユノの顔を見ただけで自然と表情が緩んでしまう。「イル様、今日はまたずいぶんお早いお帰りでしたね」ヒョルがニコニコと笑いながら言う。ユノが気になって急いで帰ってきたのがヒョルにはお見通しらしく、イルは照れ隠しに真面目な...

  • 倖せの人 ユノの物語 38

    厨房の片付けを済ませ、家中の戸締まりを確認して、ユノは漸く一息ついた。時計を見ると10時を少し回ったところ。着替えを用意しに一度部屋に戻った。イルは入浴後自室に入ったままだ。もう眠ってしまったのか物音ひとつしない。ユノはそっと扉を閉めて、静かに階段を降りた。広い湯船に首まで浸かって身体を伸ばす。浴室にはシャボンの甘い匂いと柔らかな湯気が立ち込めて、ユノは満ち足りた気分でゆったりと寛ぐ。今朝、イルの屋...

  • 倖せの人 ユノの物語 37

    広い食堂で、イルとユノは向かい合って夕食を食べた。イルは終始笑顔で、ユノが美味しそうに食べる様子を眺めては、つい料理を取る手が止まってしまう。一方のユノは、イルのあまりにも楽しそうなその視線がなんともくすぐったくて、料理に集中して黙々と箸を進めた。ユノはイルよりも先に食事を終えると、「ちょっと失礼します」と言って席を立ち、厨房の先にある浴室へ行き湯加減を確かめた。「イル様、お風呂の用意ができていま...

  • 倖せの人 ユノの物語 36

    ユノに与えられた仕事は、屋敷の2階部分の掃除と片付け。もちろんそれにはイルの私室も含まれる。それから、1階の書斎の整理。浴室の用意と片付け。浴室と厨房には、まだこの土地には珍しいボイラーまで備わっていた。そして、暖かくなってからの広い庭の水やりと手入れがユノに任された。料理や洗濯などはヒョルの仕事だが、ユノのできる範囲で手伝うことになった。ヒョルと顔合わせを済ませ、イルと昼食を取ってからさっそくそ...

  • 雑談 最近観た映画

    いつもおいでいただきありがとうございます。こんにちは、BlackPearlです。このところ少し時間の余裕ができてきて、少々まったりモードです。(その割にお話の方はちっとも捗りませんが)それで、時間がある時には、映画やドラマを観て過ごすことが多くなりました。映画といっても劇場ではなく、スマホの配信サービスです。今はとにかく配信元も多い。念入りに探すと、無料でもおっ?と思うモノが観れたりします。私は主にGYAO TELAS...

  • 倖せの人 ユノの物語 35

    ユノの手を引いて、イルは廊下の向かい側の自分の部屋の扉を開けた。「ここが俺の部屋。ユノにはいろいろと世話になると思うから、この部屋の何処に何があるか覚えておいて。いつでも自由に入っていいから」「はい……」そう答えたものの、御主人様の部屋に勝手に出入りするわけにはいかない、とユノは内心思ったが、口には出さなかった。イルが今日はとても楽しそうだったから、水を注すようなことは言わないようにしようと思った。...

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