Tomo俳句

ちまき

生きんとちまき剥く銀と赤の空ちまき噛む屈原と人いない時子よ食べたかちまき杏子噛まずのむちまき食う空泣き地赤く染まれ地荒れる日どこにもちまき無きさみし

2019/05/29 23:04

ががんぼ

罪なきががんぼを潰す硝子の手ががんぼの思い語る眼あおあおとががんぼと眠る明けることなき夜を目つむるががんぼ紫の空を飛ぶががんぼの雲にまぎれて河渡る

2019/05/28 19:46

あやめ

あやめ嫗の過ぎゆきし夕の風あやめ揺れ群れなす鳥の雲の色おくる静かな雨あやめに沁みたり夜空降りたりあやめ朝藍になりあやめが乱す夢シャボン玉満ちて

2019/05/27 20:05

暑き日

暑き日を今年もめぐる水の星暑き日のアイスと傘のあざやかさ暑き日天の怒り背にはりついて暑き日とともにため息部屋入る暑き日や神忘れよとうつむけり

2019/05/27 05:05

夏の朝

神通るごと風過ぎる夏の朝夏の朝地に沁む水の音かすかユーラシアの囁き聞ゆ夏の朝天と地緑でつながる夏の朝真っ直ぐな樹となるも良し夏の朝

2019/05/26 08:11

夏浅し

夏浅しくるくる赤い傘が来るスカイブルー地球包みたり夏浅し揺れる影踏みつつ歩む夏浅し夏浅し鳥のかたちの空を背に夏浅し時がころころ聞こえたり

2019/05/25 07:03

夏始め

夏始め引き出し奥の朧かな植栽や生きる痛みの夏始め鳩眠るしずかな桑の夏始め夏始め渡りし鳥のファルセット陽よりも赤い日傘の夏始め

2019/05/23 07:05

青葉潮

深夜かな青葉潮聞き目覚めたり青葉潮母のごとくに星洗う青葉潮鳳凰の羽根風に揺れ青葉潮時をなぞってハープ鳴る南には水の国あり青葉潮

2019/05/22 05:22

迎え梅雨

迎え梅雨星と眠りを濡らしたり 赤に青大輪まわる迎え梅雨藍の海地球浮かべる迎え梅雨迎え梅雨葉の波流れ天流れ傘の列地を静めたり迎え梅雨

2019/05/21 07:07

青嵐

春嵐紙吹雪舞うざわめきや春嵐足跡残さず空駆ける目を閉じて立ちどまる角春嵐西東都を通る春嵐春嵐ささやきながら先に行き

2019/05/20 06:52

巣立鳥

のぼりゆき光になりぬ巣立鳥どこ行くのわたし公園よ巣立鳥巣立鳥こくりこくりの朝の青巣立鳥陶器のままで日を過ごし巣立鳥ゆらゆら揺れる風緑

2019/05/19 10:00

子どもの日

影伸びて畳にのびる子を待てば子らの天ひびく笑みを鴉影黴兜子の声聞かず半世紀幼子やのぼりの鰭は天の音泣き声や朝の窓とおる青帽子

2019/05/09 20:28

春雷

春雷やきみをおくりし帰り道赤蕾春雷にさらにひかりたり春雷に静まる銀座紅の味端に立つ翁どこむく春の雷春雷や肩ふたつ裂き鎮まれり

2019/05/04 03:04

春昼

きみの声春昼の陽をつつみたり春昼や影もゆるりと角まがる都にも春昼頰にひろがりて春昼のここよりひろがるどこまでも春昼や散る赤そのまま残しおき

2019/05/02 17:04

春の宵

笑み黄色狐横ぎる春の宵春の宵路地を湿らす声の紅春宵ちらほらこぼれる天の河酒まえに翁何待つ春の宵春宵や赤子をあやす胸のごと

2019/05/01 16:15