新天地アメリカにおける初期ピューリタニズムのグロテスクさ。/ホーンソン著『緋文字』(小川高義訳)
ホーンソン著『緋文字』(小川高義訳/光文社古典新訳文庫) ざっくりとした内容 *17世紀ボストン。三カ月の赤ん坊を胸に抱いた一人の美しい女性が、刑台の上で衆人環視の場に立たされた。彼女の名はヘスター・プリン。不倫をしたうえに不義の子をなした罪で監獄に入れられた彼女は、決して子供の父親の名を明かそうとしない。彼女の胸にあったのは、上質な赤い布を素材にして、絢爛たる金糸の縫い取りを施した「A」の文字だ。この緋文字が胸にある限り、彼女は通常の人間関係の外に置かれることになっていた。 *さらし者にされたヘスター・プリンを遠くから見ていた二人の男がいた。一人は若き教区牧師であるアーサー・ディムズデール。…
2019/03/21 13:51