時勢に驕った官軍どもに、いじめぬかれた虫けらの性根と力を知らしめよ。 司馬遼太郎著『峠』(下)
司馬遼太郎著『峠』<下>(新潮文庫) 河井継之助の「長岡藩独立国構想」。それは、勤皇派にも佐幕派にも属せず「長岡国」として独立するという構想だった。徳川慶喜が大政奉還をして新政府に恭順の意を示している今、官軍の最大の目標は会津藩となっている。そのとき長岡藩は官軍にも会津藩にもつかない。どちらにも「待った」をかけ、両者の調停役となろうというのだ。会津藩を平和のうちに恭順させ、官軍にも会津藩の言い分を聞き入れさせる。 徳川家の番頭である譜代大名として筋を通し、官軍との戦いを回避するにはこれしかない。時勢が官軍に味方している。しかし官軍に降伏すれば、長岡藩は会津藩を討つための先鋒をやらされるだろう。…
2017/11/23 15:14