ことばの海から
これまで、特にこの4年間は ことばのために費やしてきた。 たくさんのことばに触れ、 自我を幾度もとり崩しては その破片を積み重ねてきた。 今回ばかりはもうだめだと 毎度思ったが、じっと亀のように 待っているうちにいつの間にか 春を迎えていた。 少しずつ栄養を与え、豊かになった ことばの海から引き揚げてきた言葉を 私は私のためだけに使いたくない。 正直に言えば、 得るまでの道のりやそのために 選ばなかったことを思うと、 ぽんと差し出すことに対して 惜しい気持ちがあった。 あるいは同じだけの血を流し 得てきた言葉を差し出せと、 腹のなかで思っていた。 かけてきた時間や労力に対する自負、 そのために…
2020/02/23 22:49