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リエミブログ https://riemiblog.blog.fc2.com/

不思議な展開をみせる、オリジナル小説、 ほんのり奇妙な短編・ショートショートや、 中編小説を書いています。

◆小説一覧リスト https://riemiblog.blog.fc2.com/blog-entry-2.html  読んで感じたこと、思ったことなど、  ひとことでもいいので、  作品へのご感想をお待ちしています。

リエミ
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岡山県
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2017/10/28

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  • 雨の降る街 4 社長

    病室の寝台で眠る父の姿は、作り物の人形のように思えた。 人形は二度と立ち上がることはない、魂の抜け殻だった。 だが夢の中では、何度でも立ち上がり、サクの目をきつく睨んで、こう叫ぶのだ。「許さんぞ、このバカ者め!」 サクは砂嵐のような音に、目を覚ました。 雨。 絶え間なく続くその音の向こうから、「ねえ!」という、高い声が飛んできた。 ソファから起き上がると、サクは目をこすりながら、声のほうへ進ん...

  • 雨の降る街 3 蛙堂

    昼間でも薄暗い、霧のもやに包まれた街。 水溜りの上を歩きながら、僕ら以外に誰もいない、とサクは思った。 通りに、歩く足音は他になく、雨と、時折過ぎてゆく風だけが、耳に大きく聞こえていた。 時が止まったようなこの街に、誰も住んでいないんじゃないだろうか。 レンの背中を追いかけて、道の角を曲がった途端、サクは突然、足を止めた。 人がいた。 黒いロングスカートの女性だった。傘もささずに立っていた。白...

  • 雨の降る街 2 配管

    湿ったスニーカーの長さをメジャーで測ると、同じサイズの長靴を、男は少年に手渡しながら言った。「この街は、毎日雨が降る街だ。泣きたいやつしか住もうとしない。涙は、雨でカモフラージュできる。分かるか、サクちゃん。いつ泣いてもいいんだぜ」 少年は先ほど言われた通り、黙っていようと決めていた。それに、誰かとお喋りをしたいという気持ちもなかった。心がフタをして、閉じきっているような感覚。涙も、零れること...

  • 雨の降る街 1 昨夜

    少年は、眠れない夜に考え事をするのは、よくないことだと分かっていた。 考えは、ただ暗い部屋に漂うばかりで、欲しいと願った正解を、与えてくれることはない。 それでも、布団から這い出て、何か別のことをして気を紛らわせる余力も、もう残ってはいなかった。 カーテンの切れ間から、車のライトが、部屋の壁をなぞって消える。また一台……。 白々とした陽の光が、その切れ間から、強さを増してやってくる。 明日が不意...

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