元サンタクロースが、サンタ業界やサンター試験の厳しさについて語る

一時期サンタクロースをしていたことがあります。 正式には、一般的に皆さんが想像するようなソリに乗ってプレゼントを運ぶ配達部隊ではありません。 子どもたちのプレゼントを調達して包装したり管理したりする、管理部隊に所属しておりました。 そもそも、サンタクロースとはいくつかの部隊に別れています。 プレゼント配達部隊…トナカイの引くソリに乗り、子どもたちの家へプレゼントを配達する部隊。サンタ業界の花形。 プレゼント調査部隊…子どもたちがどんなプレゼントが欲しいのかを調査する部隊。 プレゼント管理部隊…子どもたちのプレゼントを調達し包装したり、管理する部隊。 配達員サポート部隊…配達員の身体作りやスケジュール、配達ルートの管理等、サポートを主に行う部隊。 他にもこまごまとした役職はいくつかありますが、大きく分けるとサンタクロースの仕事はこの4つになります。 当然、最初はみんな花形である配達部隊に憧れてこの道に入るわけですが、実際になれるのはほんのひと握りのエリートのみ。 なぜ配達部隊が狭き門なのかというと、配達部隊だけはサンタクロース試験（通称サンター試験）に合格しなければならないからです。 この試験の不合格者の大多数が、サポートや裏方に回るか、この業界を辞めていくことになります。 私も当然配達部隊に憧れてサンター試験を受験しましたが、あっさりと落ちて裏方に回る道を選びました。 それでは、サンター試験の内容を説明します。 第一次試験 ソリ操縦試験 最初にして最大の難関である、ソリの操縦試験です。 合格すれば、ソリ操縦免許を取得できます。 この試験で99%以上のサンタ志望者が脱落すると言われています。 当然ですが、配達部隊はソリが操縦できなければ話にならないので、まずみんなここから始まります。 しかしこれが本当に難しい。 トナカイとの息の合わせ方、研ぎ澄まされたバランス感覚、鍛え抜かれた体幹等が必要になります。 地面を思い通りに滑るのすら難しいのに、これが空中になってくると別次元の難易度です。 みんな訓練して地面までは何とか操縦できるようになりますが、空中に出た瞬間にほぼ全員が挫折します。 私も空中での操縦は全くものにならず、配達部隊の道を諦めた一人です。