研ぎ屋さんの笛の音-この国の音と匂い(1)

研ぎ屋さんの笛の音-この国の音と匂い(1)

朝の慌しい雰囲気も一段落し、洗濯物が各ベランダではためき出し、午前のまろやかな陽の光を気持ちよく感じる頃、突然、街頭でつんざくような笛の音が聞こえ始める。ぴぃろろろろろ~~~~~っ!!????なんだなんだ?しばらく間を置くと、再びぴぃろろろろろ~~~~~っ!!…どうした?と少々不安になって窓下を覗く。そこにはきっと、青いつなぎを着たおっさんが、ちょっと変わった自転車を押しているの見るだろう。そう、これが研ぎ屋さん。小刀から肉包丁、はさみとなんでもあれ、その場でさくっと研いでくれる、便利屋さんなのだ。パンフルートという、随分古臭い笛を吹き鳴らし(南米ではサンポーニャという名で民族楽器として親しまれる)ゆるり、ゆるりとまんべんなく街中を廻る様子。管楽器の原型。古代ギリシャ時代より親しまれる。頼まれると引いてきた自転...研ぎ屋さんの笛の音-この国の音と匂い(1)