不思議な夢
ある朝、5人ほどの警察官が令状を掲げて家になだれこんで来た。逮捕要件は殺人容疑だという。そして、「わかっているな」と言いながら私に手錠をかけた。そばにいた妻はおろおろして、何があったのかとうろたえ、わたしに向かって「あなた、なにをしたの?」と詰問した。その時、わたしはふいに未明に見た長い夢のことを思い出していた。それはこんな夢だった。何事もなく過ごしている毎日にあって、いつも心のそこに澱のように沈殿している、ある秘密の出来事のことであった。それは20年ほど前に犯した殺人のことであった。わたしは中学の同級の友を、あるトラブルによって強殺したのだった。友を殺害した理由は、ある女性との間の三角関係だった。彼女は最初はわたしと同棲していたが、親友である友が家に幾度か遊びに来るうちに、いつの間にか、彼女との間ができ...不思議な夢
2025/03/31 10:34