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ここは小さな高校です https://blog.goo.ne.jp/5381naninani

英語の授業を通して、田舎の小さな高校で学ぶ素敵な生徒たちを紹介しています。

ここは小さな高校です
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2017/05/01

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  • たかすえドータの歌-14 水さへぞ

    水さへぞすみたえにける木の葉ちる嵐の山の心ぼそさにみずさえぞすみたえにけるこのはちるあらしのやまのこころぼそさに1025年私18歳(ちょうど1000年前)十月のおわりに、もといた東山へ用があって出かけた。うっそうと繁っていた木の葉も散りつくして、あたりはもはや冬景色。さらさらと流れていた水も、落ち葉にうもれて、いまは水路すいろのあとだけが見えている。水さへぞすみたえにける木の葉散る嵐の山の心ぼそさにInthisdesolatevillageeventheclearwatersintheriverceasedtomakeasound.Stormsfromthemountainblowingawaytheleavesprobablymakethemtoolonelytodwell.makeの主語はstorms...たかすえドータの歌-14水さへぞ

  • たかすえドータの歌-13 苗代の水かげ

    苗代の水かげばかり見えし田の刈りはつるまで長居しにけりなわしろのみずかげばかりみえしたのかりはつるまでながいしにけり東山の家を引きはらい、また都に住むことになった。数か月前、東山へ移ってきたころは、水がみなぎっていた田も、いまは稲がすっかり刈り取られてしまっている。それを見て、苗代の水かげばかり見えし田の刈はつるまで長居しにけりSincewesawthesightofwaterfillingthewholeareaofriceseedlingbeds,alongtimehaspassedbeforetheharvestiscompletelyover.sightサイト光景眺めareaエアリア区域seedlingbed苗床harvestハーヴェスト収穫刈り入れcompletelyコンプリートリ完全にすっかり...たかすえドータの歌-13苗代の水かげ

  • たかすえドータの歌-12 思ひ知る人に

    思ひ知る人に見せばや山里の秋の夜深き有明の月おもいしるひとにみせばややまざとのあきのよふかきありあけのつき(玉葉集、千載集)1025年(1000年前),孝標ドータ18歳また、八月の夜明けの前のこと、外を見やると、二十日過ぎの有明月(ありあけづき)が、空に細く残っている。山のほうは木々がこんもりと黒く、その暗がりから、滝の音が聞こえてくる。思わず興趣(きょうしゅ)をそそられて、こう詠んだ。思ひ知る人に見せばや山里の秋の夜深き有明の月Iwouldliketoshowpeoplewithapoeticalmindthiswaningmoonatdawnrisingoverthemountainvillageonadeepautumnnight.poeticalポウエテイカル詩のwaneウエイン(月が)欠けるda...たかすえドータの歌-12思ひ知る人に

  • たかすえドータの歌-11 秋の夜の妻こひ

    秋の夜の妻恋ひかぬる鹿の音はとを山にこそ聞くべかりけれあきのよのつまこいかぬるしかのねはとおやまにこそきくべかりけれ(1025年、たかすえドーター18歳)ちょうど1000年前のことある朝、東の空が白みはじめたころ、とつぜん山のほうから、人が大勢やってくる音がする。おどろいて起き出してみると、人ではなく、鹿が縁先まできて鳴いているのだった。歌にもよく登場する鹿の声だが、間近で聞くと、ぞっとしない。そこで、秋の夜の妻恋ひかぬる鹿の音はとを山にこそ聞くべかりけれThecriesofadeercallingforhismateonautumnnightshaveaspecialemotiononlywhenyouhearthemfromfarinthemountains.emotionエモウション感情情動mate...たかすえドータの歌-11秋の夜の妻こひ

  • 煽てられれば

    ー平成時代中期の『花咲く丘の高校』でのエピソードですー煽てられれば木に登る納税の申告を済ませて、午後から学校に行くと、二年生の絵里香(えりか)に出会った。「ゆ~先生は午前中どこへ行っていたの?」「ちょっと野暮用(やぼよう)があってね。大人ってさ、いろいろ突発的(とっぱつてき)な所用があるんだよ」「だって、ゆ~くんは大人じゃないでしょう。もう暇なおじいちゃんだよね」「まあね、年齢(とし)相応にいろいろあるよ。絵里香が『クン』づけで呼んでくれるからさ、このごろは昔返りしているしね」「むかし返り?ウケるう。てか、みんなが『ゆ~くん』って言っているから、あたしだけじゃないよ」「そうかあ。おかげで、一句ひらめいたよ:『クンづけで呼ばれるたびに歳が減り』『クンづけで呼ばれてオレは木に登る』」「なかなかですね。『友蔵』...煽てられれば

  • それでも上野駅

    上越新幹線の東京駅乗り入れが始まったばかりの6月のある朝、私は上野駅へ行った。そこで朝食をとろうと、不忍口の通路に面した食堂「都」に入った。トーストのセットを注文しようとメニューを見ると、「モーニングセット」とか「朝定食」とか書いてあった。英語に少々つよい私は、モーニングセットは朝定食のことだと勘違いして、「朝定をください」と注文した。そして、紅茶ではなくコーヒーにしてほしいと言うと、注文係の中年の男性が怪訝そうな顔をした。「あの~、トーストにはコーヒーをつけてください」と言い直したら、彼は「それはモーニングセットだ!」と、私を軽蔑するように睨みつけて、書きかけた注文伝票を荒々しく破ってしまった。私は周りの客の視線を感じた。言わせてもらえば、ちょうど一年前に同じこの食堂で、外人客と話が通じなくて困っている...それでも上野駅

  • ショートショート 桂子

    桂子1960(昭和35)年6月15日、全学連による『安保反対』のデモ行進が大々的に行われた。翌日の新聞は「国会議事堂正門前で機動隊がデモ隊と衝突し、デモに参加していた東大生の樺美智子さんが圧死した」と報じていた。5月のその日、粛々と講義が行われているはずの文学部40番教室は、「安保反対!」のプラカードを持った学生でごった返していた。顔見知りの自治会役員にガリ版刷りの情宣ビラを手渡されて、森本は抗議集会に出てみる気になった。4人掛けの長椅子を連ねたこの大教室もほぼ満杯になっていた。一番後ろに座っていた女子学生が席を詰めてくれたので、「あっ、どうも有難う」と言って隣に座りかけると、彼女は上目使いに森本を見て、「あら、森本先輩?」「えっ、あっ、里見さん?」里見桂子は国文学専攻の二年生だった。文学部でも女子学生は...ショートショート桂子

  • 感性を欠いた文明

    「私の上なる星をちりばめた空と私の内なる道徳的法則」(カント)注:カントの言う『道徳的法則』とは『真・善・美』のことである。このカントの言葉は、「人間の心は変わりやすいが、道徳的法則である真善美は、天空に輝く星と同じように不変だ」という意味です。知識と知恵によって文明が形成され、感性と知恵によって文化が形成されてきた。産業革命以後は、文明だけが独り歩きして地球環境と人の心を破壊している。人間社会を豊かにしてくれるのは、お金ではなく、感性のある文化なのです。記憶力は反復練習で身に付き、記憶したものはやがて『知識』となる。思考力は集中することで身に付き、やがて『知恵』となる。想像力は感性によって育まれて、『創造力』に成長する。そして、感性は『真・善・美』に触れることから生まれる。感性のない人間はロボットと同じ...感性を欠いた文明

  • 脳力強化の3要素

    き、し、そ脳組織(脳力)を開発する三要素は「き←し←そ」です。き記憶力記憶力は反復練習で身に付き、やがて『知識』となるし思考力思考力は集中を昂めることで身に付き、やがて『智恵』になるそ想像力想像力は感性によって育まれて、やがて『創造力』に成長する『花咲く丘の高校生』(悠光堂出版)より引用ご訪問ありがとうございました。脳力強化の3要素

  • カタカナ英語でいいよ

    これは、2023年9月5日のブログの再掲です。小学校で必修になる英語。小学校の先生は、正確な発音を身につけようと研修に励んでいる様子。それを報じた新聞記事を見て、英語教育についての持論を「新潟日報」に投稿した。以下は、2008年8月6日、新潟日報の「窓」に掲載された記事です。英語にも人の数だけ発音あり本紙記事の『先生、カタカナ英語はダメよ』に考えさせられた。そこで、私は小学校の英語については、先生にも生徒にも絶対に「完璧さを求めない」ことを提案したい。日本語にも英語にも方言や訛りがある。英語を母語としている国々は、それぞれがお国訛りの英語を話している。だから、「外国語活動の手段」として習う英語はカタカナ英語で十分なのだ。ネーチブスピーカー以外の発音は間違いであるといった風潮が蔓延すると、小学校での英語教育...カタカナ英語でいいよ

  • エリートへの失望

    エリートへの失望※2013年11月に投稿したブログの再掲です。エリートへの失望エリートがエリートとしての社会的責任を全うしなくなった時、国は亡びる。東京電力、みずほ銀行、それに一流ホテルやデパートの食材虚偽表記。日本を代表する企業が似非(えせ)だったとは。もしかしたら、秘密保護法がこれら大企業のまやかしを保護することに悪用されるはめになるかも知れない。詐欺とも思える虚偽表記を「誤表記」という言葉でごまかそうとは、そして誤魔化し通せると考えている大企業のトップのいわゆるエリート集団とはどのような精神構造をしているのか。エリートとは責任逃れの屁理屈上手な人種なのだろうか。先日テレビを見ていたら脳科学者の茂木健一郎さんが、「東大入試のような偏差値教育が日本をダメにする」と言っていたけど、まさにその通りだ。(あの...エリートへの失望

  • たかすえドータの歌-10 たたくとも

    たたくとも誰かくひなの暮ぬるに山路を深くたづねては来むたたくともたれかくいなのくれぬるにやまじをふかくたずねてはこん『更科日記』の歌を英訳しています。『更級日記』は、ロマンチックな夢見る少女がやがて成人して子供を産み、年老いてゆくまでの「女の一生」を和歌と共に淡々と描いている菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)の自伝物語です。『たかすえドータの歌1~10』では、13歳から18歳までの少女期の和歌を英訳しました。4月からも継続してブログにしていきますので、よろしくお願いいたします。同じ年(1025年)、私が18歳の4月の末ごろ、事情があって、また引っ越すことになった。こんどの住まいは東山である。もの淋しい夕暮れともなると、クイナがしきりになき声をたてる。なるほど、この水鳥みずとりの鳴き声は、人がこつこつ...たかすえドータの歌-10たたくとも

  • たかすえドータの歌-9 にほいくる

    にほひくるとなりの風を身にしめてありし軒端の梅ぞこひしきにおいくるとなりのかぜをみにしめてありしのきばのうめぞこいしきその翌年(1023年)私が十六歳の4月真夜中に出火して、家は焼け落ちてしまった。火事のあと、私たち一家は別の家に移り住んだ。お向かいの家には、白梅や紅梅がいくつも植わっていて、つぎの年も早春には、風にのって花の香りがこちらにまで漂ってきた。するとまた、梅の老木のあった焼け落ちた家のことが、無性に思いだ出されるのだった。にほいくるとなりの風を身にしめてありし軒端の梅ぞこひしきThescentofthebreezepermeatingmyheartfromthegardennextdoorremindsmeofthedearplumblossomsthatusedtobloombytheeav...たかすえドータの歌-9にほいくる

  • たかすえドータのうた-8 ふえのねの

    笛の音のただ秋風と聞こゆるになど荻の葉のそよとこたへぬふえのねのただあきかぜときこゆるになどおぎのはのそよとこたえぬ7月13日(1022年、私15歳)の夜は、さやかな月夜だった。となりの家の門前に先払さきばらいのお供の声がして、牛車ぎっしゃの止まる音が聞こえた。つづいて牛車のなかから男の声で、「荻の葉・・・荻の葉・・・」と、隣の家の女の人の名を呼んだ。くりかえし呼んだが、内からは返事がない。たぶん隣の人たちは、ぐっすり眠ってるのだろう。牛車のなかの男はあきらめやものか、美しい音色の笛を吹きながら、去っていってしまった。私は、さっそく一首。笛の音のただ秋風と聞こゆるになど荻の葉のそよとこたへぬThoughthesoundoftheflutecomesblowinggentlylikeanautumnblee...たかすえドータのうた-8ふえのねの

  • たかすえドータの歌-7 いづこにも

    いづこにも劣らじものをわが宿の世を秋はつるけしきばかりはいづこのもおとらじものをわがやどのよにあきはつるけしきばかりは(1021年、私14歳)十月ごろになると、庭の木々がいっせいに色づいてくる。まるで輝くわたる錦のようで、その美しさはちょっと類がないくらい。それなのに、家へ訪ねてきたある人が、「いま、ここへ来る途中、紅葉もみじの素晴らしいお屋敷がありましたよ」などと、わが庭の紅葉が目に入らないのか無視しているようなことを言うではないか。私はとっさに言い返したくなり、抗議の歌を一首。いづこにも劣らじものをわが宿の世を秋はつるけしきばかりはThoughautumnleavesinmygardenaremorebeautifulthananywhere,itisapityyoupraiseonlythoseof...たかすえドータの歌-7いづこにも

  • たかすえドータの歌-6 ときならず

    時ならず降る雪かとぞながめまし花橘の香らざりせばときならずふるゆきかとぞながめましはなたちばなのかおらざりせばー私は14歳(1021年)いまのところは、それほどキレイじゃないわよね。でも、花ざかりの年ごろになれば、顔だちももっとよくなるだろうし、髪だってずっと長くなって、チャーミングな女になるにちがいない。そう、光君ひかるぎみに愛された夕顔ゆうがおや薫大将かおるだいしょうに愛された浮舟うきふねのような女になれるってもんだわ。きっとーわが家の軒近いところに、たちばなの木が一本ある。5月はじめのある日、庭を眺めているとたちばなの花がちょうど盛りで、その白い花びらがほろほろと散っている。そこで一首。時ならず降る雪かとぞながめまし花橘の香らざりせばImighthavetakenitforunseasonalsno...たかすえドータの歌-6ときならず

  • たかすえドータのうた-5 ちるはなも

    散る花もまた来む春は見もやせむやがて別れし人ぞ恋しきちるはなもまたこむはるはみもやせんやがてわかれしひとぞこいしき『更級日記』の作者(孝標の女)の叔母は『蜻蛉日記』の作者です。この年(1021年私14歳)は伝染病が流行して、たくさんの人が亡くなった。上総(かずさ千葉県中部)から東京へ戻る途中、まつさとの渡しで別れた私の乳母も、3月1日に亡くなってしまった。あの夜、月の光に照らされた姿をしみじみとした思いで見たのが、彼女の見納めになってしまったのだ。私はどうしようもなく悲しくて、物語りを読みたいという気持ちさえも失せてしまった。ある日のこと、一日中泣きくらして、ふと外を見ると、夕日がはなやかにさしているなかに、桜の花びらがはらはらと、とめどなく乱れ散っている。美しくもはかない情景に、私は歌に思いをこめて、散...たかすえドータのうた-5ちるはなも

  • たかすえドータのうた-4 たのめしを

    『更級日記』を書いたのは「私」すがわらのたかすえの娘です。「私」の父、菅原孝標は菅原道真の玄孫(げんそん、やしゃご)です。頼めしを猶や待つべき霜枯れし梅をも春は忘れざりけりたのめしをなおやまつべきしもがれしうめをもはるはわすれざりけり9月3日(1020年)に上総国(かずさのくに千葉県中部)をスタートして、12月2日、ようやく京の都に入ることができた。継母けいぼだった人が、父と別れて、この家を去ることになった。彼女は愛情をもって私に接してくれ、私も長年この人に慣れ親しんできた。宮仕えの経験があり、教養もゆたかで、私を物語の世界に近づけてくれたのも、この継母の影響である。その年も暮れて、新しい年を迎えた。梅の蕾が膨らみ、やがて花をつけはじめた。私は継母がいつ来てくれるのかと毎日待ち続けた。しかし、満開になって...たかすえドータのうた-4たのめしを

  • 英訳たかすえドーターのうた-2 まどろまじ

    あづま路の道の果てよりも、なお奥の地で育った娘、孝標女(たかすえドーター)の「更級日記」よりまどろまじ今宵ならではいつか見むくろとの浜の秋の夜の月まどろまじこよいならではいつかみんくろとのはまのあきのよのつき十七日(1020年9月)の朝に、いかた(千葉県北部)を出発。その夜は「くろとの浜」というところに泊まった。明るい月に照らされて、遥か彼方まで続く白い砂丘。松原を吹きわたってくる風に、しみじみ心打たれもする。歌を詠む人たちに交じって、私も一首。まどろまじ今宵ならではいつか見むくろとの浜の秋の夜の月(玉葉集)IwillnotslumberifImissseeingtonight,whencanIseeit?ThemoonofanautumnnightabovethebeachofKuroto.slumbe...英訳たかすえドーターのうた-2まどろまじ

  • たかすえドーターのうた-3 あらしこそ

    あずま路(東海道)の道の果てよりももっと奥(千葉県中部)に育った私(菅原孝標女)は、13歳になった秋に父の任期が終わり、一家が京都へ帰ることになった。「更級日記」たかすえドーターの和歌-3嵐こそふきこざりけれ宮路山まだもみぢ葉のちらで残れるあらしこそふきこざりけれみやじやままだもみぢばのちらでのこれる遠江国とおとうみのくに(静岡県西部)に入った。昔からよく歌に詠まれて有名な「さやの中山」を越えたときのことも、高熱にうなされていて、何も覚えていない。そのあいだにも季節は移ろい、川面かわもを吹きわたってくる風が、身を切るような冷たさになってきた。天竜川を渡り、浜名橋まで来た。以前、父とともに上総へ向かったときは、たしかに渡った橋が、その後、洪水にでも流されたのか、今は跡形もない。しかたがないので船で渡る。いの...たかすえドーターのうた-3あらしこそ

  • 英訳たかすえドーター の歌-1

    ーあづま路の道の果てよりもなお奥つ方に生ひ出でたる人ー東海道の果てよりももっと奥の地で生い育った人とは、この私たかすえドーターです更級日記(菅原孝標女すがわらたかすえのむすめ)の和歌の英訳に挑戦です。参考書は、小・中学生むけ『更科日記』現代語訳(森山京著ポプラ社)齢とともに変わりゆく作者の心情が分かるように編集ししてあります。朽ちもせぬこの川柱かわばしらのこらずはば昔のあとをいかでしらまし10歳から13歳までの少女期を私(たかすえドーター)は上総国かずさのくに(千葉県中部)で過ごした。私の父菅原孝標すがわらたかすえが国司こくしとしてこの国に赴任中であり、私も兄や継母とともども京から移り住んでいたのである。私が13歳になった秋、父の任期が終わり一家は京の都へ帰ることになった。出立しゅったつは寛仁かんにん4年...英訳たかすえドーターの歌-1

  • 英訳百人一首010蝉丸

    蝉丸せみまる(生没年不詳平安前期)これやこの行くも帰るもわかれてはしるもしらぬも逢坂(あふさか)のせきこれやこのいくもかえるもわかれてはしるもしらぬもあうさかのせきThisissuchpartingwaysここがあの別れ道Wheretravelerscomeandgo行く人も帰る人もFriendsandstrangers知るひとも知らないひともAllaretomeetandpartみな出会ってまた別れねばならないAtthegateofthis"MeetingHill"この逢坂の関でご訪問ありがとうございました。次回からは、『「更級日記」たかすえドーターの歌』の英訳をブログします。よろしくお願いいたします(ゆ~)英訳百人一首010蝉丸

  • 英訳百人一首009小野小町

    小野小町おののこまち(生没年不詳平安前期)花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまにはなのいろはうつりにけりなたずらにわが身よにふるながめせしまにColoroftheflower花の色はHasfadedaway色あせてしまったMylifepassesvainlybyわたしの身も空しく過ぎてゆくWhilewatchingthelongrainfalling降っている長雨を見つめている間にfadeフェイド萎れるあせるvainヴェイン空しい無駄なご訪問ありがとうございました(ゆ~)英訳百人一首009小野小町

  • 英訳百人一首008喜撰法師

    喜撰法師きせんほうし(生没年不詳平安前期)わが庵は都のたつみしかぞ住む世をうぢやまと人はいふなりわがいおはみやこのたつみしかぞすむよをうじやまとひとはいうなり宇治は京都の辰巳(東南)の方向にある。Myshabbyhutis私の草庵はSoutheastofthecapital都の東南にあってWhereIchosetolivealonewithdeerそこで鹿とひっそり暮らしているPeoplecallit"MountofGloom"世間ではここを「憂(う)じ山」と呼んでいるshabbyみすぼらしいhut小屋chose選んだaloneひとりぽっちでgloom憂うつご訪問ありがとうございました(ゆ~)英訳百人一首008喜撰法師

  • 英訳百人一首007阿倍仲麻呂

    阿倍仲麻呂あべのなかまろ(698?~770?)天の原ふりさけ見れば春日なるみかさの山に出でし月かもあまのはらふりさけみればかすがなるみかさのやまにいでしつきかもIlookeduptoward振り仰いで眺めたWide-stretchedplainofheaven広く伸びている天の原をIsthemoonthesameあの月は同じだろうかThatusedtoriseaboveMountMikasa昔、三笠の山に出ていたInthelandofKasuga?春日の地のご訪問ありがとうございました今朝の妙高高原は穏やかな朝でした。ちなみに今日は私の86歳の誕生日です(ゆ~)英訳百人一首007阿倍仲麻呂

  • 英訳百人一首006大伴家持

    大伴家持おおともやかもち(中納言家持718?~785)かささぎの渡せる橋におく霜の白きを見れば夜ぞ更けにけるかささぎのわたせるはしにおくしものしろきをみればよぞふけにけるUponthebridgemagpiesspannedかささぎが渡した橋にPure-whitefrostclearlylaid真白く霜が降りているIknowitislateatnight夜もふけているのだなあLookingupatthestarryheavens星空に浮かぶあの橋を見上げるとご訪問ありがとうございました今年もよろしくお付き合いください(ゆ~)英訳百人一首006大伴家持

  • 英訳百人一首-005 猿丸太夫

    猿丸太夫さるまるだゆう(奈良前期?)奥山に紅葉ふりわけ鳴く鹿の声きくときぞ秋はかなししきおくやまにもみじふりわけなくしかのこえきくときぞあきはかなしきCallsofadeer,Ihear鹿の鳴き声が聞こえてくるPloddingintotheforestdeep奥山へ入っていくSteppingonthecrimsonleaves紅葉を踏んでHowlonesometheautumnis!秋は悲しいなあ明けましておめでとうございます😇本年もよろしくお願いいたします(ゆ~)英訳百人一首-005猿丸太夫

  • 英訳百人一首-004 山部赤人

    山部赤人やまべのあかひと(奈良前期)田子の浦に打ち出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪はふりつつたごのうらにうちいでてみればしろたえのふじのたかねにゆきはふりつつOutintoTago-beach田子の浦の砂浜に出てみるとIseethemagnificentMt.Fuji見事な富士山が見えているAlreadycappedwithpurewhiteすでに純白の帽子を冠ってSnowseemsfallingonitsloftypeakその高い峰には雪が降っているようだご訪問ありがとうございました(ゆ~)英訳百人一首-004山部赤人

  • 英訳百人一首003柿本人麻呂

    柿本人麻呂かきのもとのひとまろ(不明-709年?)あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながしき夜をひとりかもねむあしびきのやまどりのおのしだりおのながながしよをひとりかもねんDoIhavetosleepalone一人で寝ることになるのかMissingyouallnight?あなたがいなくて寂しくてItisaslongasthetails(しだり)尾のような長い夜をOfpheasantsinthewoods.山鳥のご訪問ありがとうございました。(ゆ~)英訳百人一首003柿本人麻呂

  • 英訳百人一首002持統天皇

    持統天皇じとうてんのう(第41代天皇645-702年)春過ぎて夏きにけらし白妙の衣ほすてふ天の香具山はるすぎてなつきにけらししろたえのころもほすちょうあまのかぐやまSpringisalreadyaway春はもう過ぎてSummerseemscoming夏が来ているようだVirgin-whitemaidenclothes純白の乙女の衣がAreairedthere風になびいているOnheavenlyKaguyama天の香具山で昨夜から今朝(12月14日)にかけて、妙高高原の国道沿いは30cmの降雪でした。ご訪問ありがとうございました。(ゆ~)英訳百人一首002持統天皇

  • 英訳百人一首001天智天皇

    天智天皇てんちてんのう(第38代天皇626-672年)秋の田のかりほの庵の苫をあらみ我がころも手は露にぬれつつあきのたのかりほのいおのとまをあらみわがころもではつゆにぬれつつInautumnricefield秋の田ではWhataroughmeshedroofなんと茅葺の屋根の目が粗いことよOfthiswatchingshack!この見張り小屋のMysleevesaregettingwet私の袖は濡れているWiththenightdewdrippingthrough夜露がしたたり落ちてきて今朝12月14日(土)は妙高高原国道あたりは30cmの降雪です。ご訪問ありがとうございました(ゆ~)英訳百人一首001天智天皇

  • 私の認知症の進行状況

    精神科医の長谷川博先生が私の認知症についてアドバイスしてくれました。講演会「認知症専門医の父が認知症になってー長谷川和夫とかわした言葉」(妙高市役所福祉介護課主催の市民公開講座)に参加しました(10月19日)講演の最後の10分は、講師への質問の時間だった。私はおそるおそる手を挙げて質問した。「具体的でわかり易い長谷川先生のお話を聞いて、85才になった私には思い当たる行動がいくつかあります。先ほどの休憩時間にとった私の行動について話しますので、認知症なのかどうか、お聞かせいただければ有難いです。休憩時間にトイレに行きました。この階段講義室から出て、1階のホールに降り、あたりを見回したのですがトイレがありません。入館した時に『トイレ』の表示を確認したはずなのに、見回しても『トイレ』がないのです。しばらくの間う...私の認知症の進行状況

  • 百人一首英訳本

    「上越タイムス」が『地域で英語を学ぶ人らへ』の見出しで次のような記事を掲載しました。その記事を端折って紹介します。(私の、名は「ゆ~」にしてあります)高校時代にゆ~さんから教わり、英語に魅せられたという書店主で「LL教室」の講師を務める遠藤さんが、ゆ~さんの監修を得て、地域で英語を学ぶ人らへの贈り物として『百人一首原文英訳・解説付き』(A4版カラー、100ページ)を作成した。原文英訳に加え、遠藤さんによるユーモラスでシュールなイラスト「落書き絵」、解説コーナー「ゆ~先生の豆知識」が付いている。読み応えがあり、資料性もある一冊に仕上がった。「百人一首は時代を越えた価値観、東西の文化を越えた普遍性がある。老若男女、誰が読んでも、面白い一冊になった」と胸を張る遠藤さん。ゆ~さんは日本語と英語、それぞれの国語...百人一首英訳本

  • 選者の目は確かだった(3)

    選者の目は確かだった(3)私が英訳した俳句の自賛です。TheGimyoRiver儀明川はLooksdesolatestreamingdown荒涼と流れていくように見えるFromthehamletbrook山村の川から英訳自賛:①音節が5-7-5である。②desolate[デソレット]は荒れ果てた、淋しい、住む人のいないの意味だから、「住む人がいなくなったhamlet集落」と「私は淋しい(lookdesolate)」の両方の意味を含んでいる。③theGimyolooksdesolateは「儀明川の源流であるこの小川から流れて行ってしまった昔が淋しく見える」荒涼として流れている今の自分の姿を、昔のまま変わらなく澄んだ川面に映し出して、思い出に浸っている。原句のキーワードが「訪ねて淋し」なら翻訳句のキーワードは...選者の目は確かだった(3)

  • 選者の目は確かだった(2)

    選者の目は確かだった(2)さて、どっちの句を選ばれたでしょうか?後谷訪ねて淋し儀明川(昭雄)後谷流れて淋し儀明川(ゆ~)「流れて淋し」では、作者は上越市高田の市街を流れている儀明川に架かっている高田橋か四ノ辻橋(しのつじばし)に立って、故郷後谷(うしろだに)で小鮒を釣ったあの小川に思いを馳せながら、孤独な自分の心情を詠んでいる。一方、「訪ねて淋し」は、廃村になった故郷の村、後谷を実際に訪ねて、子供の頃に楽しく遊んだ小川の、その水面に遠い過去の映像を映し出しながら思い出に沈んでいる。親兄弟、自分と同じように年老いてゆく友達、祭り太鼓の音や稲藁の匂い、あの娘と逢った村はずれの一本杉。どうしても、「訪ねて淋し」にぴったりの心情を七音節以内で表現する英語は思い浮かばない。ということは、「訪ねて淋し」は日本語以外の...選者の目は確かだった(2)

  • 選者の目は確かだった

    先日、友人に頼まれて特選に選ばれた俳句を英語に翻訳した。『儀明川』というお題の句展で特賞になった俳句です。儀明川(ぎみょう川がわ)は標高1000メートルほどの山間の集落、後谷(うしろだに)から上越市街地を通って流れている川である。後谷訪ねて淋し儀明川(昭雄)先ず、IvtsitedUshirodanitofindtheRiverGimyoStreamingdesolately.downthehamlet.stream[ストリーム]流れるdesolately[デサレタリー]淋しくhamlet[ハムレット]集落(わたしが後谷を訪ねてみると、儀明川がその集落を淋しく流れていた)と英訳してみた。これを捻りに捻ってTheRiverGimyo/Looksdesolatestreamingdown/Fromthehaml...選者の目は確かだった

  • 笑顔は地球を救う

    笑顔は地球を救う平成時代の高校1年生、現在完了形の授業で、「聞くのhearは、hear-heard-heardと不規則変化する。heardを規則変化と勘違いして、『ヒアド』と発音している慌て者も多いが、heardの発音は『ハ~ド』だぞ。困難なという意味のhard『ハード』との発音の違いだが、hardのアーは口を大きく開けて、佐渡おけさを歌う時のように『ハあー』と言うのだ。heardのア~は、『えっ?』って言う口つきのままで、お腹の方からゆっくり息を出して『ハ~』と発音する」では皆で言ってみよう。hear-heard-heard...「コラっ!うるさい!後ろの列の美香!減点するぞ!」「え?あっ、はあーい」と言って我に返った美香がにっこりと微笑んだ。「おお、いい笑顔だ。笑顔に免じて減点は取り消しだ」と言うと、...笑顔は地球を救う

  • 愛は線香花火

    愛は線香花火授業中のエピソード(平成時代の高校で)私:「考えてみれば、永遠なんてものは存在しない。『Neverforever.』なんだなあ」「せんせい、愛は永遠です」と茜が言った。「そうかなあ、愛だって線香花火のようなものだと思うけどなあ。暗闇にぽっと燃えて、火花が弾けて、すぐに散ってしまう。大切に、大切にしていたものだって、いつかは無くなる。儚いなあ。無常だなあ」茜:「今日のせんせいはちょっと変ですよ。どうしたの?奥さんと喧嘩ですか?」「えっ?う~ん。というよりも、あの『3.11』(東日本大震災)以来、オレの価値観が崩れちゃってさ、人間不信というより、自分不信状態なんだよ。でも、線香花火って好きだなあ。闇夜を密やかに点してくれて、ぱっ、ぱっ、と美しく弾けて、もう少し待ってくれと思っている間に消えてしまう...愛は線香花火

  • はだかのケン

    はだかンのケン平成19年9月6日のお話です。残暑が猛暑となってしまった木曜日の昼休み。三年生の男子が二人、廊下の向こうから横並びになって、肩を怒らせて迫って来る。内側の男子は上半身を露わにしているではないか。すれ違いざまに、声をかけた。「おい、健(けん)くん、上半身が丸見えだぞ!」すると、間髪を入れずに、隣の晃(あきら)が反応した。「せんせい、コイツ、『はだかのケン』って言われているんです」晃の素早いユーモアに、私は大感激。もうすぐ、就職試験がやってくる。それまでに、茶髪で裸のケン君は、『黒髪で真面目のケン』に変わっているだろう。・・・晃も健も、この夏にテレビ放映された『はだしのゲン』をちゃんと観ていたんだね。(校舎3階の廊下から、西に見える北陸新幹線と妙高の山)ーよく見ると、上りの新幹線が写っていますーはだかのケン

  • 自民総裁選まで1週間

    進次郎さんの名言今朝(9月21日)のヤフーニュースで「自民党総裁選挙の終盤情勢」という見出しの投稿欄をみていたところ、nehさんが『進次郎さんの名言』なるものを列挙しておられたので紹介します。「レジ袋は石油だ」「火事は火災だ」「解雇は次の雇用を生む」「火事は火災だ」は面白い駄洒落と受け取れるが、「レジ袋は石油」には腹がたちます。零細なレジ袋を槍玉にあげて、平気で国民に不便を強制しいる無神経な人間が首相になったなら日本はお終いだと思う。ご訪問ありがとうございました。(ゆ~)自民総裁選まで1週間

  • わたしアセっちゃう

    わたしアセっちゃう(再掲)平成時代の高校での受業で。1学期末試験が終わって答案を返した。2年生の教室にはエアコンなどない。30度近い教室内。生徒は下敷きやうちわ、扇子などを使っている。返却した試験問題の解説をしたが、時間が余った。授業をする気になれずに、「扇子を使うなんてナンセンスだ。自分の答案を見て冷や汗かけば、エアコンなしでクールダウン。『答案を見てかくものは恥と汗』。今日はアセらずにやろう」と親父ギャグを連発していると、「先生、早く授業してよ~」と祐佳莉が言った。「おお、ゆかりは、やる気満々だね」と皮肉っぽく反応すると、「違うってばあ。せんせいの寒~いギャグ聞いてると、わたし汗っちゃうよ~」ご訪問、ありがとうございました。(ゆ~)わたしアセっちゃう

  • 猫じゃらし

    猫じゃらし(再掲)吹く風に季節を揺する猫じゃらしまだまだ残暑。夏の疲れか、退屈な授業のせいか、瑠里が居眠りしている。半袖の白いブラウスから日焼けした肉付きのよい二の腕まで見せて、まるでトンボのような格好で机に伏せっている。私はそっと近づいて行って、オニヤンマが水面に卵を産み付けるように、ツン、ツン、ツンと肘のあたりをつついてやった。ぴくりともしないので、今度は中指と人差し指の背で、お団子のような、とっても愛らしい瑠里の鼻をヒョイとつまんだ。「あっ、るりちゃん、早く起きて!ゆ~せんせいにセクハラされちゃうよ」と隣席の香奈が言った。「セクハラなんかじゃないよ。愛の目覚まし時計だよ。瑠里はどう思った?」「う~ん、うちんちの子猫がじゃれていたんだよ~お」…そう、窓の外はすっかり『ねこじゃらし』の季節になっていた。...猫じゃらし

  • 爺の三角関係

    爺の三角関係古き、よき平成時代の高校でのお話です1学期の最初の授業で:「私が教える教科は『英語G』です。私が受け持つからジイなのではなくて、GはGrammar、文章の法則、即ち文法と言う意味です。だから、私の風貌から連想して私のことを『ジイ先生』と呼んではいけません。ゆ~先生と呼ぶように。また、『爺さん』と呼んだら減点します」2学期が始まったある日の授業で:私が板書している最中に、『おジイ』という声が聞こえた。「今、オレのことを『ジイ』と言ったのは誰だ!その声は、きっと咲来(さくら)だな!」咲来:「ハイ、すみません。うちのおじいちゃんの話をしていたんです」私:「そうか、さくらはオレの孫だと思っていたのに、本当のお爺さんがいたのか。残念だなあ」咲来:「あら、ゆ~先生は嫉妬してるんですか?」私:「そうさ。『さ...爺の三角関係

  • 学校が変わった?生徒が変わった?

    これは、約10年前のお話、私が上越市近郊のある高校で常勤講師をしていた時の逸話です。ゴールデンウイークの狭間の5月2日に異動してこられた先生方の歓迎会があった。酒が進むと本音が出た。「実は、この学校へ異動すると告げられた時はびびりましたよ。茶髪の生徒も多くいる教育困難校と聞いていましたので。しかし、授業に出てみると、みんな素直で人懐っこくて、想像していたよりもずっと授業がし易いです」私が講師として勤め始めた頃(平成10年以前)のこの高校は、確かに教育困難校の一つだったかもしれない。あれから17年経って、今では県内でいちばん学校らしい学校になったと思っている。単なる学力だけによって薄く輪切りをされて入学してきた生徒だが、明るく素直で、愛すべき生徒達がほとんどなのだ。私が言った。「そうなんですよ。ここ数年で本...学校が変わった?生徒が変わった?

  • コロナにかかりました

    令和6年8月16日4日前の火曜日夜に顔が火照ったり、寒気がしたり。夜中に体の節々が痛んだりした。水曜日には体温が37.7°cになったが、夏風邪だろうと思って、風邪薬を飲んだが、せき込んだり、痰が出るようになったので、昨日木曜日に病院に行った。隔離されたVIPルームで、鼻を棒でつつかれて、待たされること約10分。看護師さんに案内されて特別診察室へ入ると、医師から渡された「検査結果」は、COVID19抗原(+)だった。医師の説明によると、発症から5日で症状が治まり、10日で完治するらしい。「なにか思い当たることがありますか?」と聞かれた。11日の日曜日に40年ほど前に学級担任をした生徒(今は55歳)たちの同級会があって、調子に乗って大声で話をしたり、2次会では「俺の高校時代からの親友に贈りたい歌だ」といって、...コロナにかかりました

  • 名残の月

    名残の月「せんせ~、ジョーバ連れてって~」2年生の優衣が言った。「ああ、いいよ」と答えたが、ジョーバって何?「乗馬」かな?もしかして遊園地のメリーゴーラウンドのことかな?と考えを巡らせた。「どこのジョーバなの?」「上越大通りのセブンの前のジョーバだよ」・・・・ああ、そうか。それは『上越バイキング』という焼き肉店のことだった。授業中は落ち着きがなく、成績も下降している優衣だった。だから、「ジョーバへ連れてって」は、「優衣のことを見捨てないで」というシグナルだと思った。だから私は「ああ、いいよ。期末考査で優衣の成績が少しでも上がっていたらね」と答えた。・・・それから夏休みに入り、そして夏休みが終わった。二学期が始まって2週間が過ぎるというのに、優衣は学校に来ていない。夏休みの間に両親が離婚して、優衣は母親と一...名残の月

  • ナナ子 -ショートショート(2)

    ナナ子ー(2)妙高山から夕立が降ってきたので、シゲルたちは神明社の境内に駆け込んだ。シゲルたちは御堂に潜り込んで、パッチ(めんこ遊び)をした。赤バットの川上や青バットの大下、火の玉投手荒巻などの絵がある丸いパッチで、阪神ファンのシゲルは物干竿の藤村選手のものを集めていた。雨が上って午後4時が過ぎて、仲間たちが家に帰ってしまうと、シゲルは急にあの女の子のことが気になってきた。雨に濡れていないだろうか、無事にお家に戻っているだろうか。路傍に花咲く畑道を抜けて、あの女の子が現れたヒナゲシのお花畑に出ると、道端の土が小高く盛られていて、その上にはユウスゲの花びらで縁取られた、子供の握りこぶしほどの小石が載せてあった。あの女の子は何処にもいなくて、ヒグラシだけが鳴いていた。カラマツの林のもっと上の方にある白樺林の中...ナナ子-ショートショート(2)

  • ナナ子(ショートショート)

    ナナ子(ショートショート)「あのセミでっかいぞ。シゲちゃん、登って捕ってこねか」仲間に煽てられて、シゲルはその大きなカラマツの木に飛びついた。真上から照り付けてくる太陽の光線は、カラマツの枝で多少は遮られてはいたが、その熱気は下生えまで達して、ムンムンと子供たちの周りを囲んでいた。こっくりと頷いて、シゲルは丈夫そうな枝に手を掛けながら、抜き足差し足でアブラゼミに近づいていく。セミは、鳴いている間は逃げないものだ。息を止めて右手をヒョイと伸ばした。「おーい、捕ったぞ」「でっかいか。気いつけて下りてこい来いや」仲間たちも、皆、自分がそのセミを捕った気分になって、はしゃぎながらカラマツの林の藪から出てきた。意気揚々と、ダラダラ坂の野道を下りていく。道端のミヤコグサや立葵、そして・・・ヒナゲシの花。あれ、れ、ヒナ...ナナ子(ショートショート)

  • チハル

    チハル(青春の幻影)前回の『ファニー』と併せて読んで頂けると有難いです。その翌日、僕はあの少女に会えるかも知れないというバカげた考えと、いつもの習慣で、古本屋で見つけた『ハイネ詩集』を片手に砂浜へ向かった。昨日の場所まで行くと、ベージュ色のカーディガンを纏った彼女が白い砂の中に立っていた。そんなことがあってから、チハルという松葉杖の少女との黄昏時の散歩が僕の生きがいの全てになっていた。僕はチハルと連れ立って、何回も何回も名曲喫茶や映画にいった。シューベルトやチャイコフスキーを聴いたし、『慕情』や『ローマの休日』も観た。チハルのまだ蒼い籠には、いくつもの素敵な果実が入っていて、デートのたびに熟れていった。僕たちは、その蜜のように甘い果実を二人だけで食べた。しかし、嫉妬深い運命の神様が、残酷にもチハルと僕を不...チハル

  • ファニー(人生の幻影)

    ファニー『クリスマスキャロル』や『二都物語』の作者チャールズ・ディケンズの短編小説AVisionofLife(人生の幻影)から、勉学に励む少年期の「学び」、青年期の「恋人」、老人の「幻影」の3コマの映像を英訳しました。少年その昔、一人の旅人がいて、彼は旅に出ました。そして、森の中のうす暗い道を辿っていくと、勉強の好きな少年に出会いました。そこで、旅人は少年と一緒にジュピターやジュノー、ギリシャやローマのことなどを学びました。勉強だけでなく、乗馬やクリケットも楽しんだし、夜中までダンスもしたし「シアター座」にも行きました。だが、ある日、旅人はこの少年を失いました。その名を呼んでも戻っては来なかったので、旅人は一人で旅を続けました。恋人旅人はまた一人で旅を続けました。しばらくの間は何ものにも出遭わなかったが、...ファニー(人生の幻影)

  • 馬謖は斬られた!

    あの知事選の2年前、彼は東京中央卸売市場長になった。順調にいけば、年内に豊洲移転が終わり、彼(K氏)は最後の築地市場長で、初代の豊洲市場長となるはずだった。しかし、知事が代わったとたんにあの騒動がもちあがったのである。テレビでは、小池知事になった都議会で、盛り土問題について答弁する彼(中央卸売市場長)の姿が放映されていた。部下をかばいながら誠実に答弁している彼の姿に、私は心を打たれた。わが家の近所にK君という少年がいた。とても聡明な少年だった。小学1年だった私がスキーで右足を骨折した時、一人の中学生が私を背負って整骨院まで運んでくれた。その中学生が大人になって結婚して、K君が生まれた。そんな縁で、高校3年生になったK君に英語を教えたことがあった。苦手な英語が分かるようになって東大に合格できたのは私のお陰だ...馬謖は斬られた!

  • 一茶英訳-小烏の

    小烏のきょろきょろととおかあ哉こがらすのきょろきょろととおかあかなAbabycrowis子烏がLookingaroundrestlesslyしきりにキョロキョロしているSearchingforparandma~おと~おカ~と探しながらrestless[レストレスリ]絶え間なく落ち着きなくご訪問、ありがとうございました。(ゆ~)一茶英訳-小烏の

  • 一茶英訳-行け蛍

    行け蛍とくとく人の呼ぶうちに行け蛍とくとく人の呼ぶうちにGoflying,Firefly飛んで行け、ホタルさんよInabighurry大急ぎでWhiletheyarecallingyourname「ホータル来い」って呼んでいる間にinabighurry大急ぎで早く早くとくとく(疾く疾く)わが家の前には小川があって、子どもの頃、蛍を捕っては蚊帳の中で飛ばしていました。今はコンクリートで護岸されているので、蛍はいません。敷地内を流れている狭い用水路は昔のままなので、6月末から7月初めにかけての一週間ほどの間、数匹の蛍を見ることが出来ますよ。訪問いただき、ありがとうございました。(ゆ~)一茶英訳-行け蛍

  • 一茶英訳-焼け土の

    焼け土のほかりほかりや蚤さわぐやけつちのほかりほかりやのみさわぐTheheatedsoilis熱くなった土がGlowingwarmlyintheair空中で暖かく輝いているFleasbeginrompingabout蚤が跳び跳ねはじめたflea[フリイ]蚤romp[ロムプ]aboutはね回るお読みいただき、ありがとうございました。一茶英訳-焼け土の

  • ギャル達よ、白けるなかれオレのギャグ

    平成時代、上越市郊外にあるまだ純朴な高等学校(『花咲く丘の高校』)で教えていた頃のお話です。生徒が授業に乗ってくれると、私も調子が出て、頭の回転がスムーズになる。すると、ギャグがポンポン飛び出す。ギャグでリズムが出来て、ますます良い授業になるのだ。しかし、このギャグへの反応は学年によって明らかな違いがある。教師ギャグ、きょとんとしている1年生高2ギャル、なんで白ける俺のギャグ我がギャグに、お世辞で笑う3年生さすが3年生である。教師の扱い方が分かっている。君たちは、きっと立派な社会人になれるぞ。訪問していただきありがとうございました。(ゆ~)ギャル達よ、白けるなかれオレのギャグ

  • 一茶英訳-あまり湯の

    あまり湯のたらりたらりと日永かなあまりゆのたらりたらりとひながかなOverfilledwaterdripsあまり湯がしたたるSlowlyoutofthebathtubたらりたらりと湯船からAlongdayofspring長い春の日overfill[オウヴァフィル]いっぱい入れすぎるdrip[ドリップ]したたるbathtub[バスタブ]湯船ご訪問いただきありがとうございました(ゆ~)😊一茶英訳-あまり湯の

  • 一茶英訳-おんひらおんひら

    おんひらおんひら蝶も金毘羅参り哉おんひらおんひらちょうもこんぴらまいりかなSlowly"flap,flap"ゆっくり「はたはた」とButterfliesarefluttering蝶がひらひら飛んでいるAretheyvisitingKonpirashrine?金毘羅参りにいくのだろうかflap[フラップ]ぱたぱた羽ばたくflutter[フラター]はためく,ひらひら飛ぶflap,butterflies,flutterと心地よく響くflの語呂に「こんぴらひらひら」を重ねて読んだり、日本語にないflの口つきを楽しんでください。心地よい春風に、金毘羅参りの人々の薄い衣が蝶のように舞っています。(あっ間違えました。金毘羅さんへ行くのは蝶々さんでした)😞決して「金毘羅参りかな」を「金毘羅参りかなあ?」と茶化したのではあ...一茶英訳-おんひらおんひら

  • 笑っていいとも!

    高1の英語授業で:今年の一年生のクラスは、本当に真面目だ。全員が頷きながら授業を受けてくれる。教務室で、「このクラスで教えていると長生きしますよ」などと言って授業に出た。Onherwaybackhome,shewenttothesupermarkettobuysomebread.教科書の訳は、「家に帰る途中で、彼女はパンを買おうとスーパーマーケットに寄った。」となっていた。私、「テキストではwentを『寄った』と訳しているが、寄(よ)ったなんて凝(こ)った訳にしないで、素直に『行(い)った』と言(い)っても良(よ)かったのに。オレは昨日、onmywaybackhomeで居酒屋によったら、酔(よ)ってしまったよ。と冗談めかして言っても、生徒はくそ真面目に聞いている。この笑ってもらえないギャグをきっかけに、私...笑っていいとも!

  • 一茶英訳-かすむ日や

    霞む日やしんかんとして大座敷かすむむ日やしんかんとして大座敷Onahazyday霞む日にThetatamihallsobigとても大きな畳の広間がIsshroudedinsilence静けさに包まれているhazy[へイズイ]霞のかかったshroud[シュラウド]覆い隠す、死者を包む白布宴会であんなに賑わっていた大広間も、一夜明けたら死んだように静まり返っている『一茶オノマトペ俳句70句』は妙高市の書店主で「旺文社LL教室」校長の遠藤さんとの共訳で、彼がカラーイラストを入れて冊子にしたものです。ブログには私が担当した句をあげています。😄嬉しいことに、遠藤さんからの知らせです。親しくしている東大教授のTimothyさんが「一茶俳句英訳」冊子を見て、「これは素晴らしいパーフェクトな訳だから、東大の学生にも読み聞...一茶英訳-かすむ日や

  • 一茶英訳-からかさに

    傘にぺたりとつきし桜かなからかさにぺたりとつきし桜かなOntotheumbrella傘の上にPetalsofcherryblossoms桜の花びらがArestickingfastしっかりと付いているonto~~の上にpetal[ペタル]花弁,はなびらfast[ファスト]堅く,しっかりと一茶英訳-からかさに

  • 一茶英訳-草陰に

    草蔭にぶつくさぬかす蛙かなくさかげにぶつくさぬかすかわずかなMurmursofafrog蛙のひそひそ声Intheshadeofovergrownweeds生い茂った雑草の陰でMouthingoffcomplaintsぶつぶつ不平を言っているmurmur[マ-マ]囁き声shade[シエイド]陰、物陰mouthe[マウズ]offしゃべくる、吐き出すcomplaint[コンプレイント]不平不満英訳も5-7-5の音節ですから、リズムよく口ずさめると思います。。野尻湖と一茶の里へ行ってきました。一茶記念館では、キュレーター(学芸員)の渡辺さんに会って、カラーイラスト入りの冊子「一茶オノマトペ俳句70句」を常設展示販売させてもらえることになりました。@¥1,300一茶記念館:〒389-1305長野県上水内郡信濃町柏原...一茶英訳-草陰に

  • 一茶英訳ー陽炎の

    陽炎のづんづと伸びる葎かな(一茶)かげろうのづんづとのびるむぐらかなTheshimmeringairきらめく空気がRapidlykeepswildcreepers急速に野生のつる草をgrowingonandonずんずん伸ばしているshimmer[シマ]キラキラ光るcreeper[クリーパ]つる植物creep忍び足で進むこの句の英訳もも5-7-5の音節になっています。一茶英訳ー陽炎の

  • 一茶英訳-うそうそと

    うそうそと雨降るなかを春の蝶(小林一茶)うそうそとあめふるなかをはるのちょうIntherestlessrainLook,aspringbutterflyisFlutteringabout直訳:絶え間のない雨のなかでごらん、春の蝶がひらひら飛んでいるよ注:restless[レストレス]休まない、絶え間ない、落ち着かない、flutter[フラタ]羽ばたきする、ひらひら舞うflutteraboutひらひら飛び回る一茶英訳-うそうそと

  • できないことはボケのせい、自分のせいではない

    『自分が高齢になるということ』和田秀樹(新講社)より、そのまま引用しましたできないことはボケのせい、自分のせいではない今の時点で、きちんとみにつけておきたい考え方を一つ、書いておきます。認知症を恐れる気持ちは「できないこと」が増えてくるという不安から生まれます。プライドの高い人ほど、この不安も大きいのです。でも、男女を問わず、たとえ認知症になっても物怖じすることなくできることをやり続けたり、できないことは遠慮なく周囲の助けを借りて実行している人がいます。そういう人たちに共通するのは、どんなにできないことや不自由に感じることがあっても、それは自分のせいではないと割り切ってしまうことです。「わたしがダメになったんじゃない。これはボケのせいで、わたしのせいじゃない」この理屈は正しいのです。その人が本来備えている...できないことはボケのせい、自分のせいではない

  • 春秋のさだめ(4/4)

    更級日記より春秋のさだめ(4/4)私(菅原孝標女)の歌:あさ緑花も今宵よりひとつにかすみつつおぼろに見ゆる春の夜の月資通卿は、私の歌を何回も口の中で繰り返されたあと、今宵よりのちの命のもしあらばさは春の夜を形見とおもはむすると、秋の夜が好きといった女官が、人はみな春に心をよせつめり我のみや見む秋の夜の月AfterLordYoshimichirepeatedmypoemoverandoveragain,IfIweretolivelongafterIwouldthinkofspringnightAsamementoofmeetingAndtalkingyoustoriesThenthelady-in-waitingwhosaidshelikedautumnnights,Bothofyouseemeagerab...春秋のさだめ(4/4)

  • 春秋のさだめ-(3)

    春秋のさだめ(3)菅原孝標女の歌(新古今集56番歌)あさ緑花もひとつにかすみつつおぼろに見ゆる春の夜の月「とはいうものの、冬の夜もなかなか捨てがたいものですよ。降り積もった雪の上に寒月が照り映える夜、ひちりきの音がふるえるように聞こえてくると、春も秋もいっぺんに消し飛んでしまうほど、心ひかれますからね」と話し続けたあと、資通卿は私たち二人の顔をながめ、「あなたがたは、どの季節がお好きですか」と聞かれた。一緒にいた女官が、「私は秋ですわ」と答えたので、私は同じことをいうのもつまらないと思い、歌でこう答えた。あさ緑花もひとつにかすみつつおぼろに見ゆる春の夜の月"However,winternightsarealsohardtoletgoof.Onanightwhenthecoldmoonshinesonthe...春秋のさだめ-(3)

  • 春秋のさだめ(2)

    更級日記より・・日本人の繊細な情感を外国の人にもくみ取ってもらえるといいけど...すけみち卿の春秋観(引込思案な私だが、すけみち卿とは話がはずんだ)すると資通卿は、「私のまだ知らない、あなたのようなかたがいらっしゃったのですね」と私のことをめずらしがられ、、なかなか席を立たれようとしない。折からぱらついてきた時雨が、木の葉をかきならしていくのを、「今夜のような闇夜も、かえって風情がありますね。月があかるいと、相手の顔が見えすぎて、きまりが悪いこともありますから」といわれ、さらに春や秋の季節の眺めに、話題を移された」ThenLordSukemichibecamecuriousaboutmeandsaid,"ThereissomeonelikeyouhereIdon'tknowyet."andhedidn't...春秋のさだめ(2)

  • 春秋のさだめ(1)

    春秋のさだめ(1)ー『更級日記』より菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)が宮仕えの女官をしていた時の話:ーいまも同じか女心は?ー春秋のさだめJudgingSpringorFall忘れもしない、あれは私が35歳(1042年)の秋のことである。10月初めのある夜、内親王さまの御殿の広間で仏事があった。私は親しい女官のひとりと広間に近い戸口にすわりにいった。読経を聞きながら、ふたりでひそひそ話をしていると、廊下をこちらに来るひとがあった。源資通卿(みなもとのすけみちきょう)、時の政府の高官である。「こちらへいらっしゃるようだわ。どうしましょう」私が相手の女官にささやくと、「いまさら逃げ出して、受け持ちの女官を呼びにいったりしたら、かえって失礼よ。ここは、このままでいましょうよ」と彼女が答えた。I’llnev...春秋のさだめ(1)

  • 更級日記の感性

    『更級日記』から「春秋のさだめ」の現代語訳と英訳を数回に分けてブログにしたいと思っています。手始めに「春秋のさだめ」の最後の一節で、作者、菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)の心情に触れてみます。お目見え以下のパートタイムの女官にすぎない私(菅原孝標女)は、殿中の廊下で公卿の資通卿(すけみちきょう)から声をかけられたのがきっかけで、淡い恋心を抱くようになって3年が過ぎた。(現代語訳)資通卿とのかかわりは、これきりになってしまった。資通卿はまじめなお人柄なので、私の身元を聞き出そうともなさらなかった。あしかけ三年間、その出会いは三回だけ。それも好ましい相手と意識しただけの、淡々とした間柄だった。恋ともいえないような、プラトニックなつきあいに終わったが、私にとっては忘れがたい思い出である。(英訳)Sofa...更級日記の感性

  • ボケはただの老い

    『自分が高齢になるということ』(和田秀樹新講社)よりボケはただの老い。老いはゆっくり始まってく。認知症の診断基準となる長谷川式スケールの開発者で、精神科医の長谷川和夫さんが、去年(2017年)、自分が認知症であることを発表した。長谷川さんは1929年生まれですから、まもなく90歳です。「ショックかって?歳を取ったんだからしょうがない」ある新聞のインタビュー記事の中で、あっさりとそう答えていた。長谷川さんは以前から、自分が認知症になったらよく観察して、報告したいと話していたそうです。認知症医療の第一人者で、50年も前から関わってきた方ですから、冷静に、客観的に自分自身の観察ができるのだと思います。でもこういった話を聞くと、「えっ、認知症になってそんなことができるの」と驚く人がいます。記憶だけでなく、理解力や...ボケはただの老い

  • 学校スキー余談

    学校スキー余談2012年2月14日(火)高校2年生の授業で「ゆ~先生も、明日の学校スキーに行こうよ」と生徒に誘われた。「いや~、講師は行けないんだよ。引率資格がないんだ」と断った。スキーは普通の生徒よりもずっと上手い私だが、ここ3年は一度もスキーをしていない。ゲレンデには危険なボーダーが多いし、一緒に滑っていた孫たちは大きくなってしまった。それに、いつの間にかスキー板が、短いカービングスキー板になってしまったので、180㎝もある私の板ではどうも体裁が悪くて、精彩が上がらない。「先生、明日は授業が無いんでしょう?だったら、僕たちが校長先生に陳情してあげるからさ、一緒に滑ろうよ」実は、明日の天候は大荒れの予報なのだが、こうまで言ってくれる生徒の誘いに、ついその気になってしまった。教頭と体育主任に話したら快く承...学校スキー余談

  • 信越トレイルを歩く

    信越トレイルを歩く新潟県と長野県にまたがって1,000メートル級の山々の尾根を巡る『信越トレイル」が開通した。このトレイルの入り口(新潟県上越市板倉区)にある我が高校では、夏休みに生徒、父母、地元の人たち、それに教職員が一緒になって、このトレイルを歩くことになった。(2009年8月)8月8日に信越トレイルRouteSection-4(関田峠~仏ケ峰登山口の8.2km)を歩いた。関田峠~黒倉山~鍋倉山の2.2キロは、雪に押されて曲がっている樹木の造形が美しく、ふわふわの落ち葉を踏んで歩くとブナ林が広がり、運が良ければギフ蝶やモリアオガエルに出会えるとのことだった。約10名から成る班ごとに、5~10分の間隔をおいてガイドさんの説明を聞きながらゆっくり進むはずだったが、60歳以上のシニアだけの我が班のガイドは、...信越トレイルを歩く

  • 猿供養寺の人柱-(3)

    猿供養寺の人柱ー(3)坊さんは、村のしょが今日まで助け合い、励ましあってきたことを思って、感心するばかりだったと。「わしが人柱になろう。わしにその役めをさせてくれんか。仲の良い村のしゅうだれひとりなくしてもいけねえ。わしは、仏につかえる身じゃ。こんなによい人たちのお役にたてれば本望じゃ」坊さんは村のしょに話しだしたと。村のしょの心の美しさをほめて人柱を用意するようにいうたと。Themonkwasfilledwithadmirationforhowthevillagershadhelpedandencouragedeachother."I'llbeahumanpillar.Letmetakeonthatrole."Themonkbeganspeakingtothevillagers."Idon'twantt...猿供養寺の人柱-(3)

  • 形の文化

    『花咲く丘の高校』にて形の文化・・平成21年4月30日の授業より新学期も3週間がたった。始めのうちは緊張していた生徒も、私になれてくると授業開始時の挨拶さえもいい加減になってきた。「おい、おい、挨拶はきちんとやってくれよ。社会的な動物である人間にとっては、先ず形が大切なのだ。中身がどんなに良くても、立場をわきまえて形をきちんとしないと、社会的に抹殺されてしまうのだ。今日のニュースで大きく報道されているスマップのK君。彼ほどの素晴らしい才能を持ったタレントでも、酔っぱらって公園で裸になっただけで警察に逮捕されてしまったのだからね。あれが上野公園だったら、こんな大騒動にはならなかったろうにね。TPOっていうか、時間(夜中)も場所(公園)もクールな高級住宅街(Occasion)だったことも彼には仇となったのだ。...形の文化

  • 猿供養寺の人柱ー(2)

    前編のあらすじ800年以上前から越市板倉区猿供養寺(さるくようじ)に伝わる民話。猿供養寺村では毎年のように地滑りが起きていた。その年の春に起きた地滑りは7日たっても治まらなかったので、人柱を埋めて鎮めることになった。若い娘が人柱になりたいと言うと、わしは年を取っていて命は惜しくないからわしを人柱にしてくれと年寄りが言い出したりして、中々話が決まらなかった。猿供養寺の人柱ー(2)ちょうどそのころ、信州(今の長野県)から猿供養寺(さるくようじ)へ来る黒倉山(くろくまやま)の峠道をひとりの年とった旅のぼうさんが歩いていたと。ぼうさんは、村にはいったとたん、じすべりがあんまりひどいんでたまげてしもたと。道はでっかくもりあがったり、へこんだり、右に左にごちゃごちゃになっていたんだと。あちこちのうちも、かべはおちたり...猿供養寺の人柱ー(2)

  • 猿供養寺の人柱(民話)

    この言い伝えは事実だったのです。昭和12年(1937年)3月、近くの田を耕していたお百姓さんが、新しい田んぼに土を入れようとして土地を削っていると、甕が出てきました。その甕の中にはお祈りをしている人の姿がったのです。大学の先生に調べてもらったところ、800年も前の旅のお坊さんだろうということが分かりました。(採集地:長野県境にある新潟県中頸城郡板倉町)猿供養寺の人柱(HumanPillarinSaruKuyoji)①ずうっとむかしのことらと。猿供養寺(さるくようじ)の村(中頸城郡板倉町猿供養寺)は、毎年毎年、地滑りで困っていたったと。春先の雪解けの頃や、雨がいっぺえ降る秋の終わりごろになると、きまったように地面が動いて、田畑が壊れたり、家が崩れたりしたと。この年もまた、春先の地滑りが始まったと。「地の神様...猿供養寺の人柱(民話)

  • 心が痛む能登沖地震

    言葉や文字では表せない悲惨な災害で、テレビや新聞ではこの悲惨な事実を客観的に報道してくれているので有難いです。お正月に帰省中だった子供さんたちの若い命が失われたなんて、神も仏もいないのだろうか。神や仏がいるのなら、どうか彼や彼女たちが現世よりもずっと素敵な天国や極楽へ行けるようにその御手を差し伸べてください。我が家(妻と私の老夫婦だけ)では「芸能人格付けチェック」を見ようと、早めにお節料理を茶の間の炬燵の上に並べていたところ、テレビに「地震速報、能登沖でM6.5」のテロップが流れました。(後でM7.6に訂正されたようです)60年前、結婚したての私たちは新潟市に住んでいて、マグニチュード6.5の新潟地震に襲われたので、「これは、新潟地震と同じ規模だぞ」と言っていると、間もなく我が家がガタガタ揺れ始め、屋外へ...心が痛む能登沖地震

  • 夢のアリゴ(英訳付)

    『新潟のむかし話』(新潟県小学校図書館評議会編(株)日本標準1976年)よりFolkTalesfromNiigakaPrefecture夢のアリゴ(採話地・西頚城郡青海町)①とんとむかしがあったとい。あるどき、村の男がふたりで、春さき、山へしばきりにいったとい。そうして、昼になって、ふたりは休んでいたとい。そうすると、ひとりの男は、すぐに眠ってしもたし、もうひとりの男は、なんとなしに眠らんでいたとい。そうすると、眠っていた男の鼻の穴から、アリゴがひとつ、はいだしてきたとい。①Along,longtimeagotherewasastory.Oneday,inearlyspring,twomenfromthevillagewenttoamountaintocutthegrass.Then,atnoon,the...夢のアリゴ(英訳付)

  • 大雪警報

    新潟県を含む北陸地方に大雪注意報が出ている。私の住んでいる妙高高原も今夜あたりから大雪になる。予報通りの降雪だと、明朝までには40cm以上の雪が積もるだろう。この雪で、妙高高原にある杉之原、池の平、赤倉、関・燕ののスキー場は滑走可能になる。しかし、妙高山麓、国道18号線沿いにある我が集落は北海道留萌の人たちのように除雪作業に追われることになる。高速道路も国道もストップするかもしれない。天気予報が外れることを願っています。訪問していただき、ありがとうございました。大雪警報

  • 『更級日記』完聴

    『更級日記』の現代語訳(ポプラ社)をsaekoyamashitaさんの朗読(ユーチューブ)で完聴した。『源氏物語』の世界に憧れてロマンチックな夢をみている多感な少女が、成人して子供を産み、夫の出世や息子の成長を喜び、夫の死後は極楽往生を願う孤独な女性になっていく。そんな自分の生き様を控えめなタッチで淡々と描いている。『更級日記』の最初と最後の部分です:「10歳から13歳までの少女期を私は上総の国で過ごした。私の父、菅原孝標(すがわらのたかすえ)が国司としてこの国に赴任中であり、私も兄や継母ともども京から移り住んでいたのである。私はすでに文字をおぼえ、手習いをおわり、和歌の手ほどきなどをうけていた。単調な日々のなかで、私の唯一の楽しみは、ときおり姉や継母から、さまざまな物語や光源氏のことなどを話してもらうこ...『更級日記』完聴

  • 一茶英訳-(10) 小鴉の

    小烏のきょろきょろととおかあ哉Ababycrowislookingaroundrestlesslysearchingforpaandmah.きょろきょろしている小烏は可愛いが、とうとう鳩を轢いたら逮捕される時代になってしまった。同じ一茶の句に「慈悲すれば糞をするなり雀の子」というのもある。大岡越前なら、車が轢いたのだから、逮捕するなら「人」ではなく「車」だ、となるが、なんとも「ちんぷんかんぶんな時代」になってしまったなあ。「花の月のとちんぷんかんぷん浮世かな」一茶(花だの月だの浮かれているが、憂いだらけの世の中、どうもちんぷんかんぷんだ)一茶英訳-(10)小鴉の

  • 一茶英訳-(8 ) えいやっと活きた

    えいやっと活きた所が秋の暮(一茶)えいやっと活きた所が秋の暮Yellingout"Ei,yah!"Itoiledmylifethroughtowheretheautumnwindischilly直訳:「えいや」っと叫びながら、苦労して生きてきたが、行きついたところには冷たい秋風が吹いていた注:yell[イエル]叫ぶtoil[トイル]骨を折ってせっせと働くchilly[チリ]冷え冷えする音節ごとの訳:Yellingout"Ei,yah!"「えい、や」っと叫びながらItoiledmylifethroughtowhere私は~の場所まで働き続けたTheautumnwindischilly(その場所にあったものは)冷たい秋風だった晩秋の『妙高山』お読みいただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたしま...一茶英訳-(8)えいやっと活きた

  • 一茶俳句の英訳ー(7)彦星のにこにこ見ゆる

    彦星のにこにこ見ゆる木の間哉(一茶)彦星のにこにこ見ゆる木の間かなAltairinthesky/filterigthroughtheflickeringfoliage/isseensmiling(直訳)明滅する木の葉を通過してくる空なる彦星は、にこにこして見えるAltair[アルテア]彦星filter[フィルター]ろ過する、漏れるflicker[フリツカ]揺れる明滅するfoliage[フォウリッジ]木の葉、群葉Altairinthesky天空の彦星Filteringthroughtheflickeringfoliageちかちかしている群葉を通過してくるIsseensmilingにこにこ見える※sky,seen,smileのsとfilter,flicker,foliageのf,lの口調、さらにfilteri...一茶俳句の英訳ー(7)彦星のにこにこ見ゆる

  • 一茶英訳ー(6) 寒くなる秋を

    寒くなる秋をしんしんしいん哉(一茶)寒くなる秋をしんしんしいん哉英訳:Stillandsilently/Ifeelthechillycoldofautumn/deepensoundlesslyじっと静かに肌寒い秋がしんしんと深まっているなあ注:chilly[チリイ]肌寒いdeepen[デイープン]深まる、濃くなるsoundlessly[サウンドレスリ]静かに、音もなくIfeelautumndeepen私は秋が深まるのを感じるお読みいただきありがとうございました😄一茶英訳ー(6)寒くなる秋を

  • 一茶英訳-(5)稲妻や

    稲妻やうっかりひょんとした顔へ(一茶)稲妻やうっかりひょんとした顔へ英訳:Aflashoflightning/Caughtthefunnyfaceof/Anonchalantman直訳:稲妻の閃光がおかしな顔を捉えたのんきな男の(へのへのもへじの顔)注:lighting[ライトニング]電光、稲妻nonchalant[ナンシャラント]無頓着な、のんきなお読みいただきありがとうございました😇(ゆ~)一茶英訳-(5)稲妻や

  • 一茶英訳-(4) つり鐘の

    つり鐘の中よりわんと出る蚊かな(小林一茶)つり鐘の中よりわんと出る蚊かな英訳Mosquitoesswarmedout/Frominsidethehangingbell/-Tollofthetemplecurfew直訳:蚊がわ~んと出てきた釣鐘の中からー梵鐘が聞こえる単語の読みと意味mosquito[モスキートウ]蚊swarm[スウオーム]群がるinside[インサイド]内側toll[トウル](ゴーンと鳴る)鐘の音temple[テンプル]寺curfew[カ~フュー]晩鐘、暮鐘単語-bell,tollについてコールリッジの「青春と老年」(尾島庄太郎訳)より、花は愛らしく、『恋』は花のようだ,『友情』は、雨露(うろ)をさえぎる木陰。・・・・・・幾歳(いくとせ)の楽しかった『青春』よ!私は識(し)る,汝(き...一茶英訳-(4)つり鐘の

  • 一茶英訳ー(3)チンチロリン

    松虫や素湯もチンチロリンと(一茶)先日より英語塾を経営している友人と小林一茶の俳句を英訳しています。私の担当分から何句か紹介させてください。松虫や素湯もチンチロリンと直訳Chirpofamatsumushicricket松虫の声Ihear"Chin-chiro-ring"チンチロリンと聞こえるSoundofhotwaterinthekettleaswell薬缶の白湯の音も単語の意味と読みchirp[チャープ](鳥,虫の)さえずりcricket[クリケット]コオロギsound[サウンド]音kettle[ケトル]やかんaswell~もまた音節を5-7-5にしたかったのですが、ムリでした。素湯はさゆ(白湯)と読みました。一茶英訳ー(3)チンチロリン

  • 一茶英訳-(2) 名月を

    名月をにぎにぎしたる赤子哉(一茶)小林一茶のオノマトペ俳句の英訳に挑戦しています名月をにぎにぎしたる赤子哉英訳Thebabyisclenching/Itstinyfistagainandagain/Thebrightharvestmoon!直訳:赤子が小さなこぶしをにぎにぎしている明るい秋の名月を読みと注釈clench[クレンチ]握るtinyfist[タイニフィスト]ちっちゃな拳againandagain繰り返しbright[ブライト]輝く、賢いharvest[ハーヴェスト]収穫、収穫期、報酬harvestmoon中秋の名月HowmanytimescanIenjoythisharvestmoonagaininmyshortliferemaining?一茶英訳-(2)名月を

  • 一茶英訳-よい秋や

    よい秋や犬ころ草もころころと英語塾を経営している友人と「小林一茶オノマトペ俳句」を英訳しています。私が担当している句を紹介させてください。よい秋や犬ころ草もころころと(一茶)Chubbygreenfoxtails/UndulatingInthewind/Abulmyautumnday直訳:コロコロしたエノコログサが風に波打っている爽やかな秋の日単語の意味・発音:chubby[チャビイ]ふくよかなgreenfoxtail[フォックステイル]エノコログサundulate[アンジュレイト]采女,波打つbulmy[バーミ]爽やかな,香り立つ急に気温が下がりました。夜は20℃を割ったので、厚手の掛布団に替えました。一茶英訳-よい秋や

  • 英語は演歌で『ひとり風の盆』

    フレーズで覚える英語表現(昨年9月投稿の再掲です)『ひとり風の盆』"AloneintheLanternFestivaloftheWind"歌:森山愛子作詞:かず翼作曲:水森英夫歌詞1番口紅を涙と一緒にふきとればWipingoffthelipstickswithmytears夜風がしみますくちびるにIfeelthenightbreezepiercingthroughmylipsあなたを忘れに来たけれどThoughI'vecometoforgetyou未練悲しくからみつくI’msadlyentwinedwithregretsながれ流れて風の盆Driftingdownanddowntothe"KazenoBon"※カラオケJoysoundMaxのAIが「楽器には出せない美しい声で、あなたが歌を歌があなたを際立た...英語は演歌で『ひとり風の盆』

  • 英語教育と英会話は別物です

    現在の定時制高校・・・守る「多様性」より今朝の「ヤフコメ」からibuさんのコメントを引用させてもらいます。大人が子供に多くを求めすぎている傾向があります。それが子供たちを追い込んでいる可能性もあります。特に英語教育。英語を話せることよりも、好きな言語を将来学ぶ土台を構築するにとどめておくべきです。というか、公教育というかぎられた時間内では、それしか本来はできないはずですよ。学習指導要領が改訂されるたびに、植民地的な英語教育になってきたと思う。英語が話せないと、アイデンティティを失ってしまうような教育です。2023年8月16日英語教育と英会話は別物です

  • 彼は淡々と頑張った

    マラソンの畔上和弥選手2024パリ五輪のマラソン代表選手選考レースMGCファイナリストに、私の母校新潟県妙高高原中学校出身の畔上和弥選手(トヨタ自動車)が選ばれた。感動的だった彼のインタビューを紹介します。インタビュアー「MGC出場おめでとうございます。目標をお聞かせください」畔上選手「代表獲得です。自分としてはあまり華がない選手だと思っているので、僕でできることは他の人でもできるという勇気をあたえられると思うので、チャレンジャーの身でしっかり狙って自分のベストパフォーマンスができたらいいなと思っています」10年前,私は上越市の関根学園高校で一年間英語の非常勤講師をした。たまたま受け持った2年生のクラスに畔上君がいた。騒々しすぎるほど活発なクラスの中で、畔上君はひとり黙々とノートをとっていた。彼が駅伝の有...彼は淡々と頑張った

  • 冬空慕情『丹後なみだ駅』

    猛暑すぎるので真冬の演歌をお届けします。夜空に儚く散るものは、夏の花火と冬の雪そして恋の()。()にはどんな言葉を入れるのか、人それぞれでしょうね。丹後なみだ駅椎名佐千子(歌はYOUTUBEなどでお願いします)作詞麻こよみ作曲岡千秋ねえ、連れてってSay,takemewithyouねえ、行かないでSay,stayherewithme私だけ置いたままLeavingmealoneどこえへ行くWhereareyougoing?雪が舞い散るSnowflakesfluttering雪が舞い散るSnowflakesfluttering冬の空Downfromthewinterskyすがりつく指の先まで凍えて白いClingingfingersarefrozentothetips丹後半島TheTangoPeninsulaな...冬空慕情『丹後なみだ駅』

  • 歩花からの手紙

    naotomo3451さんから発掘してもらった丁度6年前のブログの再掲です。コロナ禍前のあの頃、私は「花咲く丘の高校」で非常勤講師をしていました。歩花からの手紙Toミスターゆ~どうもこんにちは😄いつも優しく授業してくれてありがとうございます😁とってもお世話になっています。Englishはとても難しい😔先生は天才ですね‼リスペクトします😇メガネとってもオシャレですね‼とても似合っていますよ♡♡最近はすご~く暑いのでちゃんと水分をとって体に気を付けてくださいね😊もっと暑くなったら差し入れにアイス待ってます!そしたらもっと授業頑張っちゃうぞ‼お~😓秋山あゆかより(2017-07-15)平成時代の最後の生徒たち。あの頃は、学校が『学校』らしかった。歩花からの手紙

  • 津波のトラウマを解いてくれた一冊の本

    平成29年3月に寄せられた気仙沼市に住んでいる女子中学生の感想です。私は、小学生の時に東日本大震災にで被災した気仙沼の中学生です。大津波の恐怖が抜けず、中学生になっても思うように勉強ができないでいました。中3になった4月に偶然『花咲く丘の高校生』を読んだところ、私も高校に行きたいという気持ちが高まってきて勉強に集中できるようになり、おかげで第一志望の高校に入学することが出来ました。私も花咲く丘の高校生たちのような素敵な高校生になろうと思っています。あれから7年が過ぎた。彼女はどうしているだろうか。このブログのタイトルでもある『花咲く丘の高校生』は私(ゆ~)が平成28年に悠光堂より出版した随筆集です。津波のトラウマを解いてくれた一冊の本

  • 小学英語と自己同一性障害

    小学校での英語教育に危惧(2009年に新聞投稿した記事です)2009年(平成21年)に書いたものです。「過日、日本のある新聞を見て唖然とした。『小学校でも英語教育を必修化する』という記事である。冗談にもほどがある」8月18日の新潟日報に載っていた近藤亨氏(ムスタン地域開発協会理事長)のこの視点には溜飲が下がった。国際舞台で活躍しておられる方のご意見だけに重みがある。日本語の正しい発話や発声方法さえも教えていない現在の小学校で、英語を必修化するとは何たることか。今、コミュニケーションを上手く取れない子供が増えているのは「日本語」の教育方法に工夫が足りないからである。限られた時間割のなかで日本語をないがしろにして英語を教える余裕などないはずである。このままでは「欧米人並みに英語を駆使できることのほうが日本語よ...小学英語と自己同一性障害

  • クリーン嫉妬

    平成時代の高校生一年生の最初の授業で;この時間に学ぶ科目は『英語G』です。私が教えるから「ジイ」なのでなく、Grammar(文法)の頭文字のGです。だから、風貌から連想して私のことを『G先生』呼んではいけません。『ジイさん』と言った者は減点対象です。ふつうは、Yu-先生って呼ばれているんだけどさ、一度でいいから『冬物語』のYun(ヨン)様って言われてみたいんだよね。…そして3週間がたったある日の授業で:板書している最中に、背後で「おジイ」という声がした。「オイッ、今「ジイ」と言ったのは誰だ!きっと咲良(さくら)だな!」「はい、すいませ~ん。うちのお爺さんの話なんです」「そうかあ。咲はオレ一人の可愛い孫だと思っていたのに、本当のおじいさんがいたのかあ」とつぶやいて、教壇に戻ろうとしたら、「あっ、せんせい嫉妬...クリーン嫉妬

  • 紫陽花によせて

    今年も紫陽花の季節がきたこの学校に赴任した6月校舎は紫陽花に彩られていた紫陽花色の教室でわたしは蝶のように飛び回っていたやわらかい花びらに柔らかな雨雨があがれば花びらたちはきらきらと輝いて太陽を吸い込んではオーケストラのように呼吸したわたしも息を弾ませて人生を語った七月の花園のように花粉にむせ返る未来があるとそこに向かって力強く歩んでくれると信じていたから高層ビルの窓からひとひらの花びらが落下したあの新聞記事を読むまでは私には信念があった梅雨の中でさえ紫陽花を美しく咲かせ得ると季節は今年も巡ってきたがもはや私は蝶でない三階の窓から眺める紫陽花はまだみずみずしくて降り注ぐ幸せを海綿のように吸い込んでいるのに心を閉ざしたまま散っていったあのひとひらの花弁を思ってわたしは今日も茫然と窓辺に佇んでいる写真はシャク...紫陽花によせて

  • 美しいノートは心の鏡

    Naotomoさんに発掘してもらった10年近く前のブログです。美しいノートは心の鏡ノート検査をした。心を込めて書いてあるノートを見ていると、私が素晴らしい授業をしているような錯覚に陥る。まるで職人のように、私の授業を美しいノートに作り上げてくれている。学力だけの尺度では一流校に及ばない我が高校の生徒だが、なまじ頭がいいという自惚れがないので、実に誠実にノート作りをしている。作今の格付け、競争社会には、彼らの素晴らしさに価値を認める仕組みがない。真面目、誠実、思いやり、美しい文字、美しいノートに価値を見出そうとしないならば、日本は決して一流国家とは言えないだろう。美しい国造りには美しいノートが必要なのだ。そして、美しいノートを提出した生徒の顔はとても美しいのである。美しいノートは心の鏡

  • ああ美しき汝がノート

    ああ美しき汝がノート中間試験の前に生徒のノートを点検した。たいていの生徒は、実に美しいノートをとっている。文字がとても美しい。重点項目に引いてあるマーカーがとても美しい。私が黒板に殴り書きした文字や記号や線までが整然となって美しく書き込まれている。彼らのノートを見ていると、私がとっても素晴らしい授業をしているような錯覚に陥る。たかがノートされどノートである。美しいノートは芸術でもある。平凡な私の授業を素敵に演出してくれる芸術である。美しいノートは愛である。授業に込めた教師の愛を、生徒が確実に受け止めた証(あかし)なのだ。そして私は結論づける。「美しいノートを創れる者は、人生をも美しく創造していく才能をもっているのだ』と。Thosewhocanwritebeautifullyintheirnotebooks...ああ美しき汝がノート

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