(59)眠れぬ苦しみ
順番が来て診察室に入る。 主治医は母と一緒に私と姉が来ることは事前に受付から聞いていたはずだがそれには触れず、初対面の挨拶を交わす。 父が亡くなったこと、今日の目的は介護認定のための意見書を貰うことも改めて話す。 普通であれば医師との話があまりにスムースに運ぶことや、なぜ外科医ではなく心療内科医の意見書なのかといったことを疑問に思うところだが、母はそのことに対して全く触れない。 最初の内、母は私たちが陰であれこれ立ち回っていることに実は気づいていて、わざと触れないのかと思ったが、次第に本当に気づいていないのだ、物事に対し疑問に思うことがほとんどなくなっているのだということが分かってくる。医師の…
2017/05/31 07:42