Last summer

Last summer

海沿いの道を走りながら、彼が運転席から助手席で眠っているわたしを見て微笑む。まだ暗い時間から出てきたから、わたしを起こさないでおこうと彼は想う。窓を開けると、少し肌寒い風が入り込んでくる。夏はもうすぐ終るのだろうか。彼は感じる。空が明るくなって来ている。でもまだ、夜は明けていない。この長い夜のなかを、ずっと運転してきたけれど、まだ夜は明けていない。でも彼は感じる。もうすぐ、夜明けは近いのかもしれない。彼らは…元気でいるだろうか…?此処からでは、何もわからない。何も…此処からは見えない。わたしは、眠りながら涙を流している。彼は心配になって、起こそうかとわたしの頬に手を伸ばす。わたしの涙が彼の右手…