平凡社の『日本の野生植物 コケ』(2001年発行)には、日本産のコケの(当時分かっていた)すべての種の検索表が載せられていますが、発行から四半世紀が経ち、その間、コケ植物の分類体系は分子系統学的手法を取り入れることで大きく変更されています。 コケ植物の多様性を体系的に把握す...
平凡社の『日本の野生植物 コケ』(2001年発行)には、日本産のコケの(当時分かっていた)すべての種の検索表が載せられていますが、発行から四半世紀が経ち、その間、コケ植物の分類体系は分子系統学的手法を取り入れることで大きく変更されています。 コケ植物の多様性を体系的に把握す...
写真はホソハリゴケ Claopodium gracillimum でしょう。 細かい砂質土壌の斜面で育っていました。 ところで、コケ植物の分類体系は分子系統学的手法を取り入れることで大きく変更しています。 Claopodium (ハリゴケ属)も、下に書くように葉身細胞にパ...
上は2025.2.12.に兵庫県西宮市の廃線跡にあったオオジャゴケ Conocephalum orientalis です。 雌器托がタケノコのように伸びはじめていました。 雌器托は、葉状体の背面からではなく、葉状体の裂け目の奥から出ています。 また、雌器托の傘の表面にも気室...
写真はナガサキテングサゴケ Riccardia nagasakiensis でしょう。 水の滴る斜面に育っていました。 群落をほぐしてみると、上の2枚の写真のように、たくさんの胞子体が隠れていました。 葉状体の基部は褐色を帯びています。 雌枝の縁は鱗片状で、先は鋸歯状にな...
モリノコダマタケ Bryoperdon acuminatum をいただきました。 本種は2023年に日本新産種として報告されたホコリタケ科のきのこで、蘚類に寄生します。 子実体は卵形~円錐形で、無性基部(いわゆる「柄」)を欠き、外皮には刺があります。 和名を漢字で表現す...
樹幹についていた写真のコケは、ナガシタバヨウジョウゴケ Cololejeunea raduliloba だと思います。 下は上の赤い四角で囲った部分の拡大です。 あちこちに胞子を出し終えて白っぽくなった蒴がついています。 蒴は最初の写真には10個(以上)、上の写真には5個写...
上は、2月12日に行われた「岡山コケの会関西支部」(通称「オカモス関西」)の観察会で撮った写真で、アカメガシワ?の樹幹に、小さなコケと、その周辺に赤い小さな粒がついています。 コケは、その大きさや育っている様子からヤマトヨウジョウゴケだろうと見当がつくものの、赤い粒については...
前回に続き、いただいたコケで、ホソバコオイゴケ Diplophyllum taxifolium でしょう。 分布は、平凡社では「北海道~九州の亜高山帯以上にふつう」となっていますが、写真のコケの産地は京都府の美山町佐々里です。 腹片は鈍頭です。 背片と腹片の長さの比など葉の...
京都府の美山町佐々里で採集されたコナシガタソロイゴケ Solenostoma minutissimum をいただきました。 本種は平凡社では ナシガタソロイゴケ の変種となっていますが、片桐・古木(2018)の日本産タイ類・ツノゴケ類チェックリストでは独立した種となっています...
写真はキダチヒダゴケ Thamnobryum plicatulum だろうと思います。 コトラノオゴケという別名があるように、オオトラノオゴケによく似ています。 這う一次茎から二次茎が立ち上がり、二次茎は枝分かれして横に広がっています。 二次茎の下部は細長い柄のようになっ...
写真はオオキヨズミシダ Polystichum tsus-simense var. mayebarae だろうと思います。 上記の学名はヒメカナワラビの変種の扱いですが、ヒメカナワラビとオニイノデの雑種とする意見もあるようです。 シダはコケより種数は少ないのですが、雑種が多...
数十年前と現在とでは、時間や空間といったものの本質に対する理解は大きく変わっています。 前に記事にした『 なぜ重力は存在するのか 』ではこれらの最新の発展については軽く触れられていただけですが、最近耳にすることも多くなったマルチバース(多元宇宙論)について、私の聞きかじりの知識...
大学受験時、私は理学部の生物学科を志望しました。 私の当初受験しようとしていた大学の理学部の受験科目は、学科に関わらず物理と化学だったので、私も物理と化学を勉強して入学しました。 受験勉強では、化学は有機化合物の多さに、どこまで学習すればよいのかとまどい、物理はちょうどCGS...
写真はツルデンダ Polystichum craspedosorum でしょう。 大きな石灰岩の上で育っていました。 私がこれまでに六甲山や滝畑などで本種を見た岩は石灰岩ではありませんでしたが、図鑑を見ると、石灰岩上でもよく見られるようです。 包膜は大きく、ソーラスを深く包...
古い コウヤコケシノブ の葉についている白っぽい緑色のひも状のコケ、調べてみるとコミミゴケ Lejeunea compacta でした。 上は背面から撮っています。 反射光と透過光を併用して撮りましたので、気泡が小さい粒子状に写っています。 背片は重なり、強く内曲していま...
1月、ヒョウタンゴケ Funaria hygrometrica の帽の長い角が葉の間から突き出ていました。 まるで伸び出したばかりの細い蒴のようです。 ヒョウタンゴケはよく知られているコケで、蒴はよく目立ちますが、このような姿を見た人は多くないだろうと思い、Facebookで...
蓋の取れた蒴をつけたハマキゴケ Hyophila propagulifera は こちら にも載せていますが、帽のある蒴をつけたハマキゴケを載せるのは初めてです。 上の写真で、ピントの合った3本の蒴のうち、右の1本は何者かに齧られていますが、左の2つの蒴には帽がついています...
湿った土上にヤナギゴケ Ambiystegium riparium がありました(上の写真)。 よく見ると、あちこちで胞子体が立ち上がり始めています。 春のかすかな気配を感じます。 茎は横に這い、不規則に分枝しています。 茎頂近くの葉はほとんど広がっていません。 葉の長...
枝分かれした雌器托をつけたゼニゴケ Marchantia polymorpha subsp. ruderalis です。 蒴柄が枝分かれしていると大変ですが、雌器托は配偶体の一部ですから( こちら )、枝分かれしていても大騒ぎすることもないでしょう。 一方、枝分かれしてい...
写真は2024年11月に京都府南丹市の美山で採集され、しばらく育てられた後に分けていただいたもので、ナシガタソロイゴケ Solenostoma pyriflorum だそうです。 この類は私には雌花序が無いとお手上げで、同定された結果を信じるしかありません。 平凡社ではブナ帯...
いただいたケビラゴケ属の標本の5種目はミミケビラゴケ Radula chinensis です。 2005年時点で報告されている本種の分布地は、広島県、岡山県、石川県、岐阜県、東京都(奥多摩)のおもに石灰岩地に限られていて、絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。 植物体は黒みを帯...
いただいたケビラゴケ属の標本の4種目はタカサゴケビラゴケ Radula formosa です。 琉球列島に分布しています。 腹面から見ると、たくさんの尾状枝をつけています。 同じケビラゴケ属で チャケビラゴケ も尾状枝をつけますが、本種の腹片は茎や尾状枝の基部を覆っていませ...
写真はトゲケビラゴケ Radula anceps 、いただいたケビラゴケ属の標本の3種目です。 八重山列島に分布しています。 背片は広卵形で、葉先は内曲している葉が多くて少し分かりにくいのですが鋭尖で、鋸歯があります。 このようなケビラゴケは他にはありません。 上は葉身細胞...
上はマガリシタバケビラゴケ Radula retroflexa 、分けていただいたケビラゴケ属の標本の2種目です。 分布は八重山列島と小笠原です。 本種の背片は接在しています。 分かりにくいので、上はできるだけ背片が離れている所を撮っています。 背片は円頭で全縁、キールは直線...
ケビラゴケ属の標本を分けていただく機会があり、しばらく(今の予定では5回)その標本を観察した結果を載せる予定です。 標本ですので、生きた状態の色ではありませんし、油体は消えています。 今回はオビケビラゴケ Radula campanigera ssp. obiensis ...
コハネゴケ Plagiochila sciophila が蒴をつけていました(上の写真)。 多くの花被は蒴柄に巻き付いて形が不明ですが、上の花被は形がよくわかります。 花被は扇形で、口部は広く、長い披針形の鋸歯があります。 これが苞葉ではなく花被であることを示すため、下...
上の写真は農道脇のコケ群落で、細長い若い胞子体をつけているのは ツチノウエノコゴケ 、写真右下の赤っぽい蒴が見え隠れしているのは トジクチゴケ だと思いますが、それらより小形で緑が濃いコケはミヤコノツチゴケ Archidium ohioense だと思います。 以下はこのミヤ...
ジャカランダ と ウマノスズクサ を更新しました。
写真はホウライサワゴケ Philonotis hastata でしょう。 葉腋に肉芽状の無性芽をたくさんつけていたのですが、湿らせようとスプレーで水をかけると、大部分の無性芽は吹き飛んでしまいました(-_-; 他のサワゴケの仲間同様水をよくはじき、水滴があちこちについていま...
写真はマキバハナゴケ Cladonia polycarpoides だと思います。 鱗は表面が灰緑色、裏面が白色で、湿った状態では表面しか見えないのですが、乾くと上の写真のように巻き上がって白い裏面がとてもよく目立ちます。 和名は「巻き葉」で、この様子に由来しているのでし...
農道の傍らで撮った上の写真、いろいろなコケが混じっていますが、橙色の蒴が見え隠れしているのはキシュウツボゴケ Weissia kiiensis でしょう。 蒴は雌苞葉に覆われていますが、よく見ると、若い蒴には僧帽形の小さな帽がついています。 本種の種名は平凡社には載っていま...
湿った所にある転石上にツクシホウオウゴケ Fissidens bryoides var. lateralis が育っていました。 葉を含めた茎の長さは、上の写真で約5㎜、平凡社では3~12㎜となっています。 また、茎の上部の葉の長さは、上の写真で約2㎜、平凡社では 1...
ガードレールに張り付いたカギヤスデゴケ Frullania hamatiloba が花被をつけていました(上の写真)。 植物体に光沢はありません。 上の2枚は、1枚目が背面から、2枚目が腹面から撮った写真です。 本種の花被は3稜で、表面にいぼ状の突起があります。 上は腹面...
写真はネジレゴケモドキ Tortella tortuosa でしょう。 大きな石灰岩についていました。 湿った状態では、上の写真のようにやや偏向して葉を広げていますが・・・ 葉は乾くと上のように縮みます。 葉は披針形~線状披針形で、長さ3~6㎜、湿った状態を横から見ると葉...
写真は、観光用に公開されている廃坑内で、ライトに照らされて育っていたヒシャクゴケ科の苔類です(2024.11.16.撮影)。 M氏に見てもらったところ、 Douinia 属と思われるが、国内ではこれまで記録されていないコケかもしれないということでした。 ネットで外国のものも検索...
写真はマツムラゴケ Duthiella speciosissima でしょう。 湿った岩上にありました。 大形のコケで、不規則な羽状に分枝しています。 乾いても葉はほとんど変化しませんが、枝は曲がります(上の写真)。 葉はやや密にやや扁平につき、長さは3~4㎜です。 葉...
写真はコメリンスゴケ Neckera flexiramea でしょう。 基物は確認を怠りましたが、岩またはコケ群落に隠れた木(または枯木)だったと思います。 上は湿った状態ですが・・・ 乾くと上のように枝先が上方に巻きます。 葉は横じわがあり、扁平に密に重なっています。...
写真はアツブサゴケ Homalothecium laevisetum でしょう。 若い蒴をつけ、コンクリートの擁壁上で育っていました。 基物に接して這う茎から多くの枝を出し、枝は密に枝分かれし、密に葉をつけています。 枝は長さ約2cm、幅は葉を含めて約2㎜、蒴柄の長さは7~...
写真はリュウキュウシノブゴケ Thuidium glaucinoides だと思います。 石灰岩についていました。 トヤマシノブゴケよりやや小形で、上部の枝は鋭角に出ているように思います。 上は茎葉です。 時期的なものか、葉縁が枯れている葉が多く、上は茎の先端に近い所...
写真はジングウホウオウゴケ Fissidens obscurirete でしょう。 葉は茎の基部まで密についています。 公開されている廃坑内で、ライトに照らされて育っていました(2024.11.16.撮影)。 照度は測定していませんが、かなり暗い環境でした。 本種はうす暗い環...
以下の記事で、花の写真については Part1の140701からの引っ越しです。 近頃は日本でも関東地方以南のあちこちでジャカランダ Jacaranda mimosifolia (和名キリモドキ)が植えられて、美しい花を咲かせています。 上は大阪市の長居植物園で2014.6...
写真はミヤケハタケゴケ Riccia miyakeana でしょう。 敷石の隙間で育っていました。 上の写真の葉状体の幅は1~2㎜です。 平凡社などでは4㎜に達するようですので、十分に広がることのできない生育場所の関係で、小さくなっているようです。 葉状体の基部が少し海綿...
写真はミヤコゼニゴケ Mannia fragrans で、これも今年の苔・こけ・コケ展に出されていたコケです。 和名に「ゼニゴケ」とついていますが、ゼニゴケ科ではなく、ジンガサゴケ科で、印象はジンガサゴケによく似ています。 和名の「ミヤコ」は東京都で発見されたところからで、...
写真はクサビゼニゴケ Marchantia emarginata subsp. cuneiloba です。 これも今年の苔・こけ・コケ展で見せていただいたコケです。 葉状体は密集します。 本種は長くトサノゼニゴケに統合されていましたが、鄭・嶋村(2022)により、トサノゼ...
今年の苔・こけ・コケ展で見せていただいたケハタケゴケ Riccia pubescens です。 日本産のハタケゴケの中では最も小さい葉状体です。 葉状体の背面と縁に単細胞性の毛が散生することが和名と学名の由来ですが、仮根も多いので、私としては、葉状体全体に毛が多いハタケゴケと...
恒例になった「苔・こけ・コケ展」、今年も実施されます。 ◎ 開催日時:2024年11月8日(金)~10日(日) 9:00~17:00(12日は16:30で終了) ◎ 場所:京都府立植物園 メイン会場は植物園会館ですので、京都市営地下鉄「北大路」駅からが便利です。 ◎ 内容: ...
写真はムツコネジレゴケ Trichostomum platyphyllum でしょう。 石灰岩上に育っていました。 湿った時の植物体の径は4㎜ほどでした。 葉は中部がもっとも幅広くなっています。 茎の高さは約8㎜でした。 茎は古い葉に覆われていますが、これを取り去ると・・...
岩塊斜面にあったキリシマゴケ Herbertus aduncus です。 乾き気味の岩上で、そのためか褐色が強いようです。 何度見ても蘚類と間違えそうになります。 乾いていると葉は上のように茎に接していますが・・・ 湿ると葉は開きます。 葉の長さは1㎜ほどです。 葉(側...
写真はハリスギゴケ Polytrichum piliferum ですが、これを少し持ち帰り、乾いた状態を見ると・・・ 葉が段々についています。 もし新しい葉が出るのが1年に1回だとすれば、写真のハリスギゴケは10年以上育ち続けていることになります。 なお、2枚目の背景は1...
写真はハナガゴケ Ditrichum divaricatum でしょう。 古い蒴がまだ少し残り、新しい蒴はまだ蒴柄と同じような幅です。 蒴柄は黄色~黄褐色です。 葉は茎の下部までついています。 上の写真で少し混じっているのはオオヒシャクゴケです。 葉の長さは5~8㎜、蒴柄...
写真はノガリヤス Calamagrostis arundinacea でしょう。 和名は「野のカリヤス」の意味だと言われています。 なお、カリヤスは栽培もされていて、黄色染料や薬用に用いられている植物ですが、本種とは属も異なります。 本種は北海道~九州に分布する多年草です。...
写真はホソバミズゴケ Sphagnum girgensohnii でしょう。 森林性のミズゴケで、ふつう年間を通して淡緑色ですが、高地では茶褐色になることもあります。 多くの細く長い枝が垂れ下がっている場合が多いように思います。 時には上のような姿になることも。 下垂枝...
以下は Part1の2009.11.13.を大幅に変更した引っ越し記事です。 メリケンカルカヤ Andropogon virginicus は北アメリカ原産の帰化植物です。 いろんな場所で生活できるようですが、やや乾燥した所でよく見られるようです。 刈り込み耐性が強く、...
写真はジングウホウオウゴケ Fissidens obscurirete でしょう。 葉は茎の基部までついています。 比較的乾いた土の斜面にありました。 葉は平凡社では3~12対となっています。 葉は乾くと上の写真のようにすぐに曲がりはじめます。 葉は細胞にパピラがあるため...
一見スナゴケやシモフリゴケなどの仲間にもみえる岩上にあった写真のコケ、どうしても名前が分からず、A先生に見てもらったところ、ホソムジナゴケ Trachypus humilis のようです。 ただし、特に葉の細胞の様子などは、図鑑に記載されているものとはかなり異なります。 この...
写真は少し疑問が残るのですが、タカネツボミゴケ Solenostoma infuscum var. ovicalyx としておきます。 北海道・鹿追町の標高1,000m付近で撮影しました。 日本国内では本州~九州の低地で見られるオオホウキゴケの変種とする研究者が多いのです...
8月下旬の北八ヶ岳と9月上旬の北海道・然別湖周辺で、多くのゴレツミズゴケの群落に出会いました。 どちらの場所でも、ちょうど植物体の紅葉が始まる時期で、日あたりなど群落の存在する環境によって、まだ緑の群落から、真っ赤に染まった群落までありました。 また、胞子散布の始まる時期であっ...
写真はフォーリーイチョウゴケ Lophozia longiflora でしょう。 コアミメヒシャクゴケの群落にほんの少し混じっていました。 北海道~九州の亜高山帯以上に分布するコケです(2024.8.25.北海道・上士幌町 標高800m付近で撮影)。 葉がゆるく重なるコケで...
Polytrichum (スギゴケ属)の蒴をつけ、ウマスギゴケやオオスギゴケほどは大きくない写真のコケ、エゾスギゴケ P. ohioense です。 北海道~四国に分布します。 上は左が湿った状態、右が乾いた状態です。 こちら のエゾスギゴケは乾くと葉が少し縮れていまし...
伸び始めた蒴をつけたナミガタタチゴケ Atrichum undulatum がありました。 本種は雌雄同株(異苞)です。 写真のような時期なら胞子体の他に雄器も確認できるのではないかと思い、確かめてみました。 上は茎頂付近の手前の葉を取り除いて撮った写真です。 写真の水色の...
写真はススキゴケ Dicranella heteromalla でしょう。 伐採木についていました。 蒴柄は湿ると上の写真の程度まで屈曲します。 上の植物体は上下が逆ですが、この方がデザイン的におもしろいので・・・。 蒴柄は黄色です。 多くの葉は長さ約 2.5㎜ですが、蒴...
写真はミヤマチリメンゴケ Aquilonius plicatulum のようです。 北海道・然別湖の近くで樹幹についていました(撮影:2024.8.25.)。 本種は平凡社ではハイゴケ科の Hypnum (ハイゴケ属)とされていますが、現在ではキヌゴケ科のミヤマチリメンゴケ...
写真のコケ、平凡社の検索表や尼川の図からはコヒシャクゴケになると思うのですが、現在コヒシャクゴケはコアミメヒシャクゴケ Scapania parvitexta と同種として扱われています。 1枚目の写真ではほとんど緑一色のようですが、群落の断面で見ると、あちこち赤みを帯びて...
写真はタカネハネゴケ Plagiochila semidecurrens のようです。 朽木の上で育っていました。 上の写真のように葉が垂れ下がるのが本種の特徴の1つだと聞きました。 葉は背片が強く外曲しています。 葉縁に歯がありますが、背縁の歯は小さく少数です。 葉の...
写真はアオギボウシゴケ Grimmia subsulcata でしょう。 岩上で育っていました。 北海道~九州の高山に分布するコケで、写真は北海道・鹿追町の標高900m付近で撮りました。 シモフリゴケにも似ていますが、ずっと小形です。 上は乾いた状態で、葉は茎に密着していま...
上はヒノキ科のクロベ Thuja standishii (別名ネズコ)です。 木曽五木の1つで、日本固有種であり、本州と四国の山地帯から亜高山帯にかけて分布します。 高さ35mにも達する高木で、材は建築用などに利用されるのですが、岩上や風衝地に生育するものは匍匐状の樹形になり...
写真はオオヒモゴケ Aulacomnium palustre でしょう。 北八ヶ岳の湿地に育っていました(2024.9.12.撮影)。 地際から覗き込むように撮ると、茎の頂端などから無性芽をつける軸上の短枝が出ています(上の写真)。 上の写真の赤い矢印の所では無性芽ができ...
写真はタチゴケモドキ Oligotrichum parallelum です。 北八ヶ岳の標高 2,100m付近の腐植土に覆われた岩上で育っていました(2024.9.7.撮影)。 本種は雌雄異株です。 上は雄株のようで、雄花盤が写っています。 上の写真の上は乾いた状態、...
上はヒメトロイブゴケ Apotreubia nana です。 亜高山帯の林床で、いろいろな蘚苔類に混じって育っていました。 肉眼的には緑の濃いムチゴケのような印象でした。 なお、同行の数名は湿岩上に育つ本種を確認しています。 COLE T.H.ら(2023)の「コケ植物系統...
トウゲシバ Huperzia serrata が無性芽をつけていました。 葉腋には胞子のうも見えます。 葉は細長く鋸歯があるのですが、無性芽の縁は滑らかです。 無性芽に触れると、簡単に落ちてしまいました。 上の写真、最初はトウゲシバとは別の植物だと思いました。 よく見ると...
写真はウスベニミズゴケ Sphagnum capillifolium var. tenellum でしょう。 たくさん胞子体をつけていました。 本種は滝田(1999)では独立種( S. rubellum )となっていますが、平凡社ではスギハミズゴケの変種となっていま...
枝にくっついていた写真のコケ、タカネシゲリゴケ Nipponolejeunea subalpina でしょう。 葉の縁に多くの長毛があります。 上の2枚は腹面から撮っています。 茎の幅は葉を含めて 0.6~0.7㎜、背片の縁にある長毛は1細胞列で、長さは 0.2~0.3㎜で...
10月26日に、NHK文化センター京都教室の1日講座として、「コケの世界を訪ねる」と題して滋賀県大津市の石山寺でコケ観察会を行います。 石山寺は紫式部ゆかりの地として知られていますが、コケの種類も量も多く、石灰岩につく珍しいコケも見られる所です。 写真も石灰岩につくタチヒラゴ...
コケは小さな植物で、違いを見分けるためには拡大する必要があります。 同定はルーペで可能な場合もありますが、顕微鏡が無いと同定できない場合も多くあります。 顕微鏡は同定のためだけではありません。まだ見ぬ新しい世界が広がります。 価格的にも、コケの観察に必要な顕微鏡であれば、そん...
以下はPart1の2013.9.5.からの引っ越し記事です。 写真はベニヒダタケ Pluteus leoninus (ウラベニガサ科)でしょう。 堺自然ふれあいの森の朽木に生えていました(2013.9.5.撮影)。 傘の表面は平滑ですが、湿っていると周辺部に条線が見られま...
写真はエゾホウオウゴケ Fissidens bryoides だと思います。 中肋と舷がめだっています。 石灰岩上にありました。 小形のホウオウゴケですが、平凡社によると、茎は葉を含め長さ 2.0~13.5㎜、葉は4~20対となっていて、大きさにはかなりの幅があるようで...
アオカナブン Rhomborrhina unicolor とカナブン R. japonica はよく似ています。 アオカナブンには上のような色の個体が多いのですが橙色の個体も見られますし、カナブンも銅色や真鍮色の個体が多いのですが,緑色の個体も見られます。 両者の違いは後脚...
暑い日は出かけず写真の整理など。 上は6月中旬に滋賀県大津市で撮ったカミキリで、ヤツメカミキリ Eutetrapha ocelota だろうと思うのですが、赤い楕円で囲った所の黒斑はシナカミキリのようなパターンです。 カミキリの仲間はとても種類が多く似たものもたくさんいて、個...
写真はツルゴケ Pilotrichopsis dentata のようです。 一次茎は石灰岩の割れ目に生えた木の根元近くをはい、二次茎は絡まるように育ち、その一部は長く垂れ下がっていました。 なお、周囲は石灰岩ですが、ツルゴケは樹上や岩上に生えるコケで、石灰岩地帯であることと...
ハスの葉は非常に水をはじきやすい構造になっています。 ハスの葉に降った雨は水滴となり、葉が揺れるたびにコロコロと葉の上を転げまわり、ついには葉から落ちてしまいます。 なぜこんなに水をよくはじくのでしょうか。 1つには、雨の多い熱帯地方にも分布するハスですから、葉の表面にカビが...
クマノチョウジゴケ Buxbaumia minakatae は配偶体が退化し、光合成は主に原糸体で行っていると考えられています。 胞子体が見られることも稀で、珍しいコケとされています。 私も2022年の3~4月に本種の胞子体を発見し( こちら )、その後数回見に行きましたが、...
写真のコケ、コマノヒツジゴケかと思ったのですが、調べてみると少し違うようです。 ナガバヒゲバゴケ Cirriphyllum piliferum ではないかと思うのですが、決め手に欠けます。 蒴があれば情報量が増えるのですが、本種の蒴は日本では未知のようです。 また、平凡社...
ヤブデマリ Viburnum plicatum var. tomentosum の実が美しく色づいていました。 果序は枝の上に並んでいるようにみえます(2024.7.21. 京都市西京区大原野)。 果実は、完熟すれば黒紫色になり、もうそろそろ完熟した果実が混じる時期だと思...
石灰岩上に育っていた上の写真のコケ、タチヒラゴケ Homaliadelphus targionianus かと思ったのですが、以前に見たものより明るい色で、より光沢があるように思ったので、持ち帰り、調べました。 一次茎は基物上を這い、二次茎は長さ2cm前後で、少数の枝を出し...
石灰岩上に育っていた上の写真のシノブゴケの仲間は・・・ シノブゴケの仲間としては小形です。 茎葉は長さは 0.2~0.3mmで、まばらについています。 特に茎が緑色の所についている茎葉はいじけていて、茎から離すのも困難です(上の写真)。 ただし、これはこの種の特徴ではなく、...
コケは小さな植物です。 小さなコケの小さな違いを見分けるには拡大する必要があります。 最近はカメラの性能が良くなり、かなり拡大して撮ることのできるカメラもありますが、違いを探しながらいろいろな方向から見るには、やはりルーペが便利です。 ただ単にシャッターを押しても、そのコケの...
小さな渓谷の、水際の岩上に育っていた写真のコケ、平凡社の検索表をたどると、オオツボミゴケ Solenostoma radicellosum になりました。 この時期の花被は稜のある三角錐です 上は花被の縦断面です。 ペリギニウムが発達し、最内側の雌苞葉は明らかに造卵器より...
前著「コケの国のふしぎ図鑑」は、コケとはどのような植物かを知ってもらうとともに、コケに関心を持ちはじめた人にコケの持つ魅力を伝えたいと思い、作成しました。 「ミクロの世界のコケ図鑑」は、前著の改訂版という位置づけですが、コケをもっと知りたいという人のために、図鑑としての機能をか...
2024.7.17.に兵庫県西宮市の北山公園でキツネノハナガサ Leucocoprinus fragilissimus を見ました。 これまで何度も見ているので、写真も撮らなかったのですが、帰って過去の記録を見ると、Part1の 2008.9.8.には次のように書いています...
朽木の上にあったムラサキホコリ科の変形菌、かなり小さく、フィールドでの撮影の段階で、ムラサキホコリ属( Stemonitis )ではなく、コムラサキホコリ属( Stemonitopsis )だろうと思いました。 柄は子嚢の1/2~2/3ほどの長さです。 子実体の高さは約3mm...
クヌギの葉にたくさんついていた赤い虫こぶ(2024.7.17. 兵庫県西宮市で撮影)、クヌキハマルタマフシという名がつけられています。 長い名前ですが、ふつう虫こぶの名前は、 植物の名前+作られる場所+虫こぶの形状+「フシ(附子:こぶのこと)」 というふうにつけられてい...
写真はジクホコリ Diachea leucopodia です。 子実体の大きさは2mm足らずで、柄は石灰質でもろく、白色です。 鮮度の良い子嚢に光を当てると、とても美しい構造色を示す場合が多いのですが、今回は古くなってボロボロ。 それでもほんの少し残っている子嚢壁は美しい色を...
7月10日に高槻市の川久保渓谷で実施されたコケ観察会の解散後に出会った変形菌です。 持ち帰り用の入れ物も無く、1種を除いて写真撮影だけで、顕微鏡での同定作業は行っていません。 なお、4種とも腐木上に発生していました。 ■ アオモジホコリ Physarum viride ...
岩上に明るい緑のコケ、調べるとナガシタバヨウジョウゴケ Cololejeunea raduliloba でした。 「平凡社では樹幹や生葉に着生」とあります。 いつものことながら、葉の質が薄く、背片と腹片がぴったりとくっついていて、顕微鏡では腹片の輪郭が分かりにくいコケです。...
写真はアカキツネガサ Leucoagaricus rubrotinctus だと思います。 ひだは離生、柄は中空で根元が膨らみ、つばの縁が赤色を帯びます。 (2024.7.4. 箕面公園)
ナミガタタチゴケに囲まれてニオイワチチタケ Lactarius subzonarius 、カレー粉のにおいが漂っていました。 【類似種】 ニセヒメチチタケは、カレー粉のにおいはするが、かさ表面の同心円状の環紋が無い。 チョウジチチタケは、かさ表面に同心円状の環紋があるが、カ...
スギの枯れ枝についていたシロホウライタケ Marasmiellus candidus (ハラタケ目ツキヨタケ科)です。 傘は膜質で、雨の影響が残っていて、透明感があります。 ひだは疎で不規則に波打っています。 柄の最下部が黒ずんでいます。 本種は老成するにしたがって、上の写真...
写真はチラカゲロウ Isonychia japonica だと思います。 分布は全国で、4月~10月に見られるとのことです。 成虫の体色は暗赤褐色、翅には模様がなく透明、脚は前脚が暗褐色で、中・後脚は淡黄色です。 なお、亜成虫の翅は暗灰色です。 カゲロウ目の尾毛は3本のも...
水辺に咲くハンゲショウ Saururus chinensis (ドクダミ科)です。 属名はラテン語で「トカゲの尻尾」の意味です。 上はハンゲショウの葉の影から顔を出していたトカゲの仲間のカナヘビですが、もちろんカナヘビの存在とハンゲショウとは関係なく、属名は細長い花序の形から...
樹幹にたくさんの蒴、調べてみるとヒメウスグロゴケ Leskeella pusilla でした。 「 ミクロの世界のコケ図鑑 」では「岩やコンクリート壁の世界」(P.148)に入っていますが、本種は今回のような樹幹の他にも、コンクリート製の擬木にもよく見られます。 図鑑に...
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平凡社の『日本の野生植物 コケ』(2001年発行)には、日本産のコケの(当時分かっていた)すべての種の検索表が載せられていますが、発行から四半世紀が経ち、その間、コケ植物の分類体系は分子系統学的手法を取り入れることで大きく変更されています。 コケ植物の多様性を体系的に把握す...
写真はホソハリゴケ Claopodium gracillimum でしょう。 細かい砂質土壌の斜面で育っていました。 ところで、コケ植物の分類体系は分子系統学的手法を取り入れることで大きく変更しています。 Claopodium (ハリゴケ属)も、下に書くように葉身細胞にパ...
上は2025.2.12.に兵庫県西宮市の廃線跡にあったオオジャゴケ Conocephalum orientalis です。 雌器托がタケノコのように伸びはじめていました。 雌器托は、葉状体の背面からではなく、葉状体の裂け目の奥から出ています。 また、雌器托の傘の表面にも気室...
写真はナガサキテングサゴケ Riccardia nagasakiensis でしょう。 水の滴る斜面に育っていました。 群落をほぐしてみると、上の2枚の写真のように、たくさんの胞子体が隠れていました。 葉状体の基部は褐色を帯びています。 雌枝の縁は鱗片状で、先は鋸歯状にな...
モリノコダマタケ Bryoperdon acuminatum をいただきました。 本種は2023年に日本新産種として報告されたホコリタケ科のきのこで、蘚類に寄生します。 子実体は卵形~円錐形で、無性基部(いわゆる「柄」)を欠き、外皮には刺があります。 和名を漢字で表現す...
樹幹についていた写真のコケは、ナガシタバヨウジョウゴケ Cololejeunea raduliloba だと思います。 下は上の赤い四角で囲った部分の拡大です。 あちこちに胞子を出し終えて白っぽくなった蒴がついています。 蒴は最初の写真には10個(以上)、上の写真には5個写...
上は、2月12日に行われた「岡山コケの会関西支部」(通称「オカモス関西」)の観察会で撮った写真で、アカメガシワ?の樹幹に、小さなコケと、その周辺に赤い小さな粒がついています。 コケは、その大きさや育っている様子からヤマトヨウジョウゴケだろうと見当がつくものの、赤い粒については...
前回に続き、いただいたコケで、ホソバコオイゴケ Diplophyllum taxifolium でしょう。 分布は、平凡社では「北海道~九州の亜高山帯以上にふつう」となっていますが、写真のコケの産地は京都府の美山町佐々里です。 腹片は鈍頭です。 背片と腹片の長さの比など葉の...
京都府の美山町佐々里で採集されたコナシガタソロイゴケ Solenostoma minutissimum をいただきました。 本種は平凡社では ナシガタソロイゴケ の変種となっていますが、片桐・古木(2018)の日本産タイ類・ツノゴケ類チェックリストでは独立した種となっています...
写真はキダチヒダゴケ Thamnobryum plicatulum だろうと思います。 コトラノオゴケという別名があるように、オオトラノオゴケによく似ています。 這う一次茎から二次茎が立ち上がり、二次茎は枝分かれして横に広がっています。 二次茎の下部は細長い柄のようになっ...
写真はオオキヨズミシダ Polystichum tsus-simense var. mayebarae だろうと思います。 上記の学名はヒメカナワラビの変種の扱いですが、ヒメカナワラビとオニイノデの雑種とする意見もあるようです。 シダはコケより種数は少ないのですが、雑種が多...
数十年前と現在とでは、時間や空間といったものの本質に対する理解は大きく変わっています。 前に記事にした『 なぜ重力は存在するのか 』ではこれらの最新の発展については軽く触れられていただけですが、最近耳にすることも多くなったマルチバース(多元宇宙論)について、私の聞きかじりの知識...
大学受験時、私は理学部の生物学科を志望しました。 私の当初受験しようとしていた大学の理学部の受験科目は、学科に関わらず物理と化学だったので、私も物理と化学を勉強して入学しました。 受験勉強では、化学は有機化合物の多さに、どこまで学習すればよいのかとまどい、物理はちょうどCGS...
写真はツルデンダ Polystichum craspedosorum でしょう。 大きな石灰岩の上で育っていました。 私がこれまでに六甲山や滝畑などで本種を見た岩は石灰岩ではありませんでしたが、図鑑を見ると、石灰岩上でもよく見られるようです。 包膜は大きく、ソーラスを深く包...
古い コウヤコケシノブ の葉についている白っぽい緑色のひも状のコケ、調べてみるとコミミゴケ Lejeunea compacta でした。 上は背面から撮っています。 反射光と透過光を併用して撮りましたので、気泡が小さい粒子状に写っています。 背片は重なり、強く内曲していま...
1月、ヒョウタンゴケ Funaria hygrometrica の帽の長い角が葉の間から突き出ていました。 まるで伸び出したばかりの細い蒴のようです。 ヒョウタンゴケはよく知られているコケで、蒴はよく目立ちますが、このような姿を見た人は多くないだろうと思い、Facebookで...
蓋の取れた蒴をつけたハマキゴケ Hyophila propagulifera は こちら にも載せていますが、帽のある蒴をつけたハマキゴケを載せるのは初めてです。 上の写真で、ピントの合った3本の蒴のうち、右の1本は何者かに齧られていますが、左の2つの蒴には帽がついています...
湿った土上にヤナギゴケ Ambiystegium riparium がありました(上の写真)。 よく見ると、あちこちで胞子体が立ち上がり始めています。 春のかすかな気配を感じます。 茎は横に這い、不規則に分枝しています。 茎頂近くの葉はほとんど広がっていません。 葉の長...
枝分かれした雌器托をつけたゼニゴケ Marchantia polymorpha subsp. ruderalis です。 蒴柄が枝分かれしていると大変ですが、雌器托は配偶体の一部ですから( こちら )、枝分かれしていても大騒ぎすることもないでしょう。 一方、枝分かれしてい...
写真は2024年11月に京都府南丹市の美山で採集され、しばらく育てられた後に分けていただいたもので、ナシガタソロイゴケ Solenostoma pyriflorum だそうです。 この類は私には雌花序が無いとお手上げで、同定された結果を信じるしかありません。 平凡社ではブナ帯...
ミドリコケビョウタケ Mniaecia jungermanniae は苔類に寄生する子嚢菌で、やや肉厚なクッション状の、直径1mmに満たない小さな子嚢盤をつくります。 アカウロコゴケに寄生している様子は こちら に載せていますが、古い写真を整理していて、たまたま本種らしきもの...
写真はサクラジマツヤゴケ Entodon calycinus でしょう。 倒木の上に広がっていました。 蒴が直立しているのは、この属の特徴です。 内雌苞葉が長いのは本種の大きな特徴です。 上の写真の内雌苞葉は約4mmですが、4.5mmに達するようです。 蒴柄の長...
上は石灰岩から垂れ下がっているコケ群落で、蘚類(センボンゴケ科?)や大小2種類の苔類などが写っていますが、大きい苔類はツジベゴヘイゴケ Tuzibeanthus chinensis だと思います。 和名は辻部正信氏を記念してつけられています。 上は腹面から撮っています。 植物...
写真はミヤベゴケ Miyabea fruticella でしょう。 樹幹に大きな群落を作っていました。 樹皮上を這う一次茎から二次茎が斜上しています。 二次茎は不規則な羽状に分枝しています(上の写真)。 葉は乾くと枝に接します。 枝葉は長さ 0.5-0.8mm、葉縁上部に...
写真は、雨で濡れていますが、ナガスジハリゴケ Claopodium prionophyllum だと思います。 石灰岩上にありました。 茎はやや羽状に分枝しています(上の写真)。 乾くと葉はやや縮れます。 上は枝先です。 枝葉は披針形で、パピラがあります。 上は枝葉...
樹幹に育っていた写真のコケ、イワイトゴケモドキ Haplohymenium sieboldii のようです。 イワイトゴケ によく似ていますが、イワイトゴケの枝葉が円頭~広い鋭頭であるのに対し、本種の枝葉は上の写真のように鋭頭です。 上は湿った状態で、下は乾いた状態で...
石灰岩上で干乾びてほとんど真っ黒になっていた写真のコケ、少し持ち帰って湿らせると、一部に緑色の所が現れ、調べるとリュウキュウゴヘイゴケのようです。 なお、学名は平凡社では Mastigolejeunea auriculata 、片桐・古木(2018)では M. replet...
石灰岩上のコケ群落(上の写真)、蘚類はニセイシバイゴケ Tuerckheimia svihlae 、苔類は イトコミミゴケ Lejeunea parva だと思います。 以下は前者についての観察記録です。 上は、少し離れた場所にあった、乾いた状態の本種です。 葉は線状披...
写真はキサゴゴケ Hypnodontopsis apiculata だと思います。 ヤシ(フェニックス?)の樹幹についていました。 蒴柄がらせん状に巻く特徴的な胞子体があれば、もっと確実になるのですが、蒴は確認できませんでした。 湿ると上のようになります。 茎の長さは約3...
写真はフタバムチゴケ Bazzania bidentula だと思います。 北海道・雌阿寒温泉近くの森の、朽木の凹んだ穴の奥にありました。 比較的小形のムチゴケで、茎は基物にくっついて這い、鞭枝も同様に基物にくっついていました。 水谷(1992)によれば、大雪山から屋久島の...
コマノキヌイトゴケ Anomodon thraustus と マキハキヌゴケ Pylaisiella subcircinata の混生した群落が、北海道の阿寒湖畔の樹幹にありました(2023.9.8.撮影)。 上の写真の、光沢のある葉が巻いているのかマキハキヌゴケで、蒴...
これまでもアオギヌゴケ科の同定は難しいと書いてきましたが、上の写真は、左にコツボゴケなど、いろいろ混生していますが、多くはムツヤノネゴケ Brachythecium noecicum (アオギヌゴケ科)だろうと思います。 なお、エゾヤノネゴケはシノニムでしょう。 本種は、岩月...
大阪市の「 咲くやこの花館 」で、2024年1月の6日から21日までの予定でコケ展が開催されます。 期間中、盛りだくさんの内容が予定されていますが、私の担当は「もっとコケを知ろう」で、「コケ講座」と「コケの観察・解説ツアー」を実施します。 コケの楽しみ方は、見る楽しみ、作る楽...
写真はオウコチョウ(黄胡蝶) Caesalpinia pulcherrima です。 マメ科ジャケツイバラ亜科の常緑性小高木です。 京都府立植物園の温室で撮影しました。 西インド諸島の原産ですが、花が美しいため、現在では世界の熱帯から亜熱帯域に栽培されていて、日本でも沖縄な...
青森県産のイトヤナギゴケモドキ Platydictya subtilis をいただきました。 Kさんが採集されたもので、作沢川の蛇籠についていたそうです。 上は乾いた状態、下は湿った状態です。(倍率は同じです。) 茎は糸状で、不規則に分枝しています。 葉はあまり横に広が...
アオギヌゴケ科には同定の難しいコケが多く、平凡社の図鑑には「分類のもっともむずかしい科の一つである。」と書かれています。 なかでも Eurhynchium (ツルハシゴケ属)は、変異が大きく同定はむずかしい(平凡社)とされています。 Kさんが確信を持って同定できたというキノク...
ネジクチゴケ などが属する Barbula (ネジクチゴケ属)は、平凡社の検索表には日本産9種が載せられていますが、その違いはわずかで、同定がなかなか難しい属です。 オカモス関西(正式名称は岡山コケの会関西支部)では毎月定例で「コケサロン」を開いています。 以前このコケサロ...
上の写真は、2019年の10月に奈良県宇陀市で撮った写真です。 流水下の黒っぽい緑色のものはフクロハイゴケ Vesicularia ferriei のようにも思うのですが、よく分からず、載せるのも遅くなってしまいました。 本種は写真のような水面下でも陸上でも生育する事がで...
写真はシクンシ Combretum indicum です。 京都府立植物園の温室で撮影しました。 熱帯アジアに広く分布していますが、薬用や観賞用に栽培されているためで、厳密な意味での原産地はよく分からないそうです。 日本でも、石垣島や西表島などでは野生化していますが、元は...
写真はスジシノブゴケ Haplocladium strictulum でしょう。 礫の隙間をコンクリートで埋めて作った壁の凹みについていました。 全体が茶色なのは、2月に撮った写真で、寒さの影響でしょう。 茎は這い、やや羽状に枝を出しています。 茎葉の長さは1mm前後です...