南京子(みなみきょうこ)は学校の教師である。 夜、京子は自宅で電話を受けていた。 電話の相手は真宮裕明(まみやひろあき)の保護者だった。 息子の裕明が行方不明になり、担任に事情を問いただそうとしているのだ。 裕明が帰らないのは当然だった。 この時点で、裕明はすでに春花の手にかかり、命を失っていたのだから。 しかしそれは京子も含め、町の大人たちは誰も知らない。 知るはずもないことをしつこく問われ、京子は電話に辟易としていた。 ガンッ! 突然、部屋の窓にひびが入った。 何かが飛んできたのだ。 窓の外には橘吉絵(たちばなよしえ)の両親がいた。 裕明の親同様、娘の吉絵が帰らないことを不審に思い、担任で…
刃物を握り締め、対峙する2人の少女。 先制したのは佐山流美(さやまるみ)だった。 流美の持つ包丁が、小黒妙子(おぐろたえこ)の膝を切り裂いた。 「ひっ」 思わず妙子が悲鳴をあげた。 流美はそれが愉しくてたまらなかった。 これまで偉そうに自分を見下ろしていた妙子が、自分の一撃で悲鳴をあげた。 それが愉しくて仕方なかったのだ。 勢いづいた流美はさらに追い討ちをかける。 石を投げつけ、妙子がひるんだ隙に斬りかかった。 妙子も反撃しようとするも、切られた膝の痛みで思うように動けなかった。 倒れ伏した妙子の右手を、執拗に切りつける流美。 美容師志望の妙子の右手を破壊することは、流美にとって大きな復讐だっ…
小黒妙子(おぐろたえこ)は自室にこもり、過ぎた日を思い返していた。 佐山流美(さやまるみ)の髪を切り、春花をどう思っているかを尋ねたあの日。 (第4話紹介参照) 流美は春花に 死んで欲しい、殺したい と漏らした。 その言葉を、妙子の他に、放火に関わったメンバーが聞いていた。 「口だけだろ。そんな度胸あるわけない」 そこにいた誰もがそう思い、流美をなじった。 流美は、妙子に認められたかった。 春花を排除して、妙子に認めてほしかった。 流美は灯油タンクを用意し、いじめグループの面々に春花の家への放火を宣言した。 具体的に行動を起こそうとする流美に、同行しようとする者も現れた。 しかし、妙子はそっけ…
【第15話】 相場晄(あいばみつる)は自室で昔を思い出していた。 晄の父親は、暴力的だった。 幼少の晄は、毎日、父親に殴られる母親を見て育った。 殴られながら、母親は笑っていた。 父親は殴りながら言う。 「母さんは笑っている。父さんと母さんは仲良しなんだ」 しかし、晄は母親の涙を見た。 幼い晄にはどう受け止めていいのかわからなかった。 そんな夫婦関係は、晄が中学生になっても続いた。 夏のある日、いつものように父親は母親を殴打したいた。 両親は仲良くしているのだ。 そっとしておけばいい。 いつもなら、そうやって受け流していた。 しかし、この日、晄の中で何かが覚醒した。 気がつくと、晄は父親の背中…
【第14話】 相場晄(あいばみつる)は春花を誘い出し、かつて写真撮影に訪れたスポットに向かった。 綺麗な景色で春花を元気付けるつもりではあったが、降る雪に霞んでしまっていた。 家族を失って以来、言葉を失った春花。 学校でも別人のようになってしまっていた。 晄は元の春花に会いたかったのだ。 春花を想う気持ちをまっすぐに伝えた。 「野咲に会いたかった……!」 晄の優しさに触れ、春花の凍りついた心が溶けかかった。 しかし、その瞬間、押さえ込んでいた感情も一緒に溶け出した。 クラスメイトを6人も殺害した事実。 炎に包まれる家族。 悲しげに涙する妹・祥子の姿。 押し寄せる感情の大波に、春花は涙をこらえ切…
【第13話】 佐山流美(さやまるみ)は確かめずにはいられなかった。 学校裏の廃材置き場で春花に自殺を迫ったあの日以来、放火に関わったクラスメイトが6人も姿を消した。 そのうちの1人、真宮裕明(まみやひろあき)は、放火で家族を殺された春花が復讐をしていると推理していた。 だとすれば、放火首謀者の 自分は、確実に狙われる。 しかし、心のどかではまだ「まさか」という気持ちがあった。 確かめずにはいられなかった。 流美は、廃材置き場にやってきた。 ここ数日で降った雪が積もり、辺りは新雪で覆われていた。 流美は雪を退け、廃材を一つ一つどかしていった。 大きなビニルシートをどかしたとき、流美は真実を確信し…
【第12話】 春花の担任、南京子(みなみきょうこ)は過去にいじめに遭っていた。 教師となった今もその時のトラウマから逃れられずにいた。 京子は警察に呼び出された。 警察署では、行方不明になった久賀秀利(くがひでとし)の両親が待っていた。 秀利は春花に襲撃され、このときすでに古井戸の中で絶命していた。 秀利の両親は狼狽し、京子に行き先の心当たりはないかを問い詰めた。 一方の京子は、秀利の素行を非難した。 秀利のような問題児が数日帰らないことは珍しくない。 京子は悪びれることもなく、言ってのけた。 秀利の両親は激怒するが、京子は意に介さない。 京子の心は歪んでいた。 担当のクラスの生徒たちが、かつ…
【第11話】 雪の降りしきる中、春花は妹の祥子の見舞いに向かっていた。 町外れの雑木林に差し掛かる頃、それは起こった。 パシュッ! 何かが春花の顔のすぐ横をかすめた。 ボウガンの矢だった。 春花は素早く逃げ出した。 放火に関わった者のうち、すでに4人が姿を消した。 これを春花の復讐だと確信した真宮裕明(まみやひろあき)と池川努(いけがわつとむ)は、自分が殺される前に春花を殺すことを決意。 2人は春花の後をつけ、人目につかない雑木林に差し掛かったところでボウガンで狙撃した。 逃げた春花を追って、2手に分かれた。 春花を追いながら、努は春花が転校してきた日を思い出していた。 努にとって春花は高嶺の…
【第10話】 久賀秀利(くがひでとし)は古井戸の中でうずくまっていた。 秀利を追っていた春花は、諦めて立ち去った。 刺された腹部と切られた頬がズキズキと痛む。 雪は古井戸の中にも容赦なく降り付ける。 このまま誰にも見つけてもらえなかったら……! 痛む頬に苦しみながら助けを呼ぶ。 しかし、深い雪がそれを非情にかき消した。 その頃、春花の住まいを相場晄(あいばひかる)が訪ねる。 春花は帰宅して早々に床に伏しており、代わりに祖父が応対した。 春花の祖父は、春を待って、春花たちと東京に戻ることを告げた。 「相場くん、卒業まで春花を頼む」 晄は静かに頷いた。 夜になり、佐山流美(さやまるみ)に一本の電話…
【第9話】 小黒妙子(おぐろたえこ)には美容師の夢があった。 東京の専門学校に行きたかったが、家族はそれを許さなかった。 佐山流美(さやまるみ)は不安の中にいた。 野咲春花(のざきはるか)を追い詰めたあの日、校内放送の呼び出しから戻ると、そこには誰もいなかった。 一緒にいたはずの橘吉絵(たちばなよしえ)、三島ゆり(みしまゆり)、加藤理佐子(かとうりさこ)にも連絡がつかない。 いったい何が起こったのか。 翌日学校で、放火に関わったいじめグループの面々とその話をした。 まさか野咲が……? 春花への疑念が浮かぶ。 そのとき、学校に警察が来ていることに気づいた。 行方不明の吉絵たちの件で捜査に来ていた…
【第8話】 春花の手には釘が握られていた。 釘が橘吉絵(たちばなよしえ)の左目に突き刺さった。 吉絵には何が起こったか解らなかった。 それは吉絵と一緒に来ていた三島ゆり(みしまゆり)と加藤理佐子(かとうりさこ)も同じだった。 春花の反撃は、全くの想定外だったのだ。 狼狽する吉絵、ゆり、理佐子に対し、春花の報復は止まらない。 吉絵は隠し持っていたナイフで反撃を試みるも、勢いづいた春花の前では無力だった。 春花は鉄パイプで吉枝の頭部を強打する。 何度も、何度も強打した。 吉絵が動かなくなると、春花は吉絵のナイフを拾い上げ、ゆりと理佐子に向き直った。 理佐子の必死の命乞いも虚しく、指を深く切りつけら…
【第7話】 春花は抜け殻のように過ごしていた。 祖父の呼びかけにも反応しない。 妹の祥子の病室で、祥子との楽しかった日々に想いを巡らせる。 その目に生気はなかった。 いじめグループの面々は、それぞれに心を病んでいた。 橘吉絵(たちばなよしえ)は暴力的な父と、そんな父に服従し頼りにならない母に苛まれていた。 佐山流美(さやまるみ)はいじめグループのリーダー、小黒妙子(おぐろたえこ)の気を引こうとするが、邪険にされ、追い詰められた。 妙子自身も、相場晄(あいばひかる)に異常を指摘され、苛立ちを隠せない。 放火を勘付かれたと思った流美は、春花を学校裏の廃材置き場に呼び出した。 放火に関わったクラスメ…
【第6話】 春花をいじめていた者たちが集まって密談をしていた。 少年たちは、その数日前におぞましい事件を引き起こしていた。 春花の家への放火である。 放火の首謀者は、春花の前にいじめの標的にされていた佐山流美(さやまるみ)。 春花と相場晄(あいばひかる)が撮影散策に出かけたあの日、流美はクラスメイト数名と、野咲家に対し凶行に及んだのだった。 火事から数日、春花は祖父と小さなアパートで暮らしていた。 火事を境に、春花はショックで声を失っていた。 もはや登校するつもりがなかった春花だったが、火事の後、再び登校を始める。 クラスメイトたちも訝しがった。 いったい、何のつもりだ? 流美は再び登校してき…
【第5話】 炎上する自宅の前で、家族の名を叫ぶ春花。 まだ、家族が家の中にいるらしい。 今にも燃える家に飛び込んでいきそうな春花を、近隣の人間が抑える。 相場晄(あいばひかる)は意を決して、家に近づいた。 玄関の引き戸が棒で開かないようにされていた。 晄は扉を開け、中に飛び込んだ。 夢なら覚めて!! その思い虚しく、春花は燃えていく家を、ただ見ているしかできなかった。 晄が春花の妹の祥子を抱えて出てきた。 全身にやけどを負っていたがまだ息があった。 炎の中で、父・和生(かずお)が、祥子を庇うように抱え込んでいたため、炎の直撃を免れたのだ。 祥子はすぐさま救急搬送された。 翌朝、春花の祖父が春花…
【第4話】 春花の代わりにいじめの標的となった佐山流美(さやまるみ)。 流美へのいじめが続く。 いじめグループのリーダー・小黒妙子(おぐろたえこ)は、流美の髪を無造作に切りながら流美に尋ねた。 あの女をどう思ってる? 流美は一言答えた。 死んで欲しい… 一方、春花は学校から離れ、徐々に笑顔を取り戻しつつあった。 相場晄(あいばひかる)が春花と妹の写真を持って野咲家を訪れた。 春花もカメラを始め、晄と撮影散策に行く約束をしていた。 晄は、時期こそ違うが、春花と同じ転校生だった。 いじめには遭わなかったが友人はなく、いつも1人で写真を撮っていた。 そのため綺麗な景色が見られるスポットをたくさん知っ…
【第3話】 春花は風邪を引き、学校を休んだ。 だが、眠っていても気は休まらない。 春花はいじめの悪夢にうなされていた。 数日間を療養に充て、春花は体調を取り戻した。 妹の祥子と散歩に出ていた春花は相場晄(あいばひかる)と出会う。 晄は写真が趣味で、自前のカメラで春花と祥子の写真を撮った。 晄は趣味として「カメラ」を春花に勧めた。 春花は父にカメラを借り、晄と写真を撮ることを楽しみにしていた。 学校では春花が休んだことで、いじめの標的がいなくなった。 しかし、一度始まったいじめの連鎖はそうそう消えるものではない。 新たな標的を作り、いじめは続く。 春花が転校してくるまで、いじめの標的は佐山流美(…
【第2話】 第1話ラストの衝撃の展開。 その数日前から話は始まる。 春花には家族がいた。 父・和夫(かずお)の転勤で越してきて、母と妹・祥子(しょうこ)を加えた4人で暮らしていた。 父は娘の異常に気付き、学校で担任教師と面会した。 しかし、担任教師・南京子(みなみきょうこ)の態度はあまりにも素っ気ないものだった。 もうすぐ廃校になる学校、最後の締めくくりに事を荒立てたくない。 それが京子の言い分だった。 面会からの帰り際、和夫は突然背後から蹴り飛ばされた。 生徒の悪ふざけである。 娘はこんな学校に通っているのか……! 和夫は春花に、学校に行かないように勧めた。 父の勧めもあったが、春花は気丈に…
【第1話】 中学生の野咲春花(のざきはるか)が、父親の転勤により東京から地方の中学校へ転校してきた。 春花はそこで、異常なまでに陰湿ないじめに遭う。 廃校が間近に迫った中学校で、教師も事を荒立てるのを嫌い、救いの手は差し伸べなかった。 春花自身も、家族に心配をかけまいとしていじめに遭っている事実を隠していた。 (春になれば卒業できる…この地獄も終わる……!) その思いで、春花は静かに耐えていた。 春花のもう1つの拠り所は、クラスメイトの相場晄(あいばみつる)だった。 彼だけが、春花を庇ってくれていたのだ。 相場の存在が、春花の大きな支えになっていた。 もう少し、もう少し耐えれば、すべて終わる。…
押切蓮介のバイオレンス作品、ミスミソウのネタバレです。 無料の試し読みはこちら! → まんが王国 容赦なきまでに、救いがありません! 閉鎖的な田舎の中学校に引っ越してきたヒロイン・春花は、クラスメイトからひどいいじめを受けます。 いじめはエスカレートし、ついには春花の家族にまで及びました。 あるとき、春花の家に放火される事件が起こります。 両親は火事に巻き込まれて死亡し、春花の妹も瀕死の大火傷を負ってしまいました。 この放火の犯人は、春花のいじめに歯止めが効かなくなったクラスメイトたちです。 あることをきっかけに、放火の犯人が自分をいじめたクラスメイトたちだと知った春花は心を壊し、復讐の権化と…
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