その男、不遜につき 30

その男、不遜につき 30

なんとなく、ひと呼吸置いた方がいいような気がして、ヨンファはさりげなく提案してみた。寒かったのもあるし、ジョンシンと真摯に向き合いたいとごく自然に思えたからだ。決して、うやむやにするつもりではない。「お前の淹れたコーヒーって、冗談抜きで美味いんだよな」リップサービスでも何でもなく、日頃から思っていることを素直に言うと、腰に巻きついていた腕からすっと力が抜けるのがわかった。ほぼ同時に、上から重ねてい...